2020年は全4戦!

この週末は埼玉県・オフロードビレッジで全日本モトクロス最終戦が行われました。全日本モトクロスもご多聞に漏れず、コロナウィルス感染拡大の影響で、シリーズ全8戦の予定が4戦となって開催。この最終戦も「第6戦」と銘打っていますが、第2戦と第4戦が中止になったことから、今大会が実質4戦目となるのです。
例年、最終戦は宮城県スポーツランドSUGOで行なわれることが多かったので、オフロードビレッジで最終戦が行われるのは2011年以来、9年ぶり。モトクロスの大会なんだけど、関東大会はずっと「埼玉トヨペット」が冠スポンサーとしてサポートしてくれて11年目になるそうです。ありがたいことです。

画像: IA1ヒート1のスタート。400山本は内気味のグリッドから好スタート!

IA1ヒート1のスタート。400山本は内気味のグリッドから好スタート!

全日本モトクロスのトップカテゴリーIA1クラスは、ここまで山本鯨(ホンダドリームレーシングBells)が3戦8ヒートで5勝を挙げ、202ポイントでランキングトップ。ん? 3戦なら6ヒートじゃないの?という方はスルドい。でも今シーズンは、第3戦SUGOと第5戦HSR九州で1レース3ヒート制レースとして行なわれたので8ヒートなんですね。
その山本を追うのは、今年からヤマハへスイッチ、ファクトリーチームから参戦する富田俊樹(ヤマハファクトリーレーシング)で、ポイント差は31点。2ヒート合計で50ポイントを獲得できることから、能塚智寛(ホンダドリームレーシングHAMMER)と渡辺祐介(ヤマハファクトリーレーシング)までチャンピオンの可能性はありますが、ここは山本と富田の一騎打ちとみていいでしょう。

画像: 2019年のチャンピオンチーム「TeamHRC」は活動終了 今シーズンはファクトリーサポートのプライベートチームからのエントリーでした

2019年のチャンピオンチーム「TeamHRC」は活動終了 今シーズンはファクトリーサポートのプライベートチームからのエントリーでした

ここでちょっと触れておかなきゃいけないのは、モトクロスの「鉄人」成田亮のこと。ここまで12回全日本チャンピオンを獲り、押しも押されもせぬ日本モトクロスの第一人者だった成田ですが、報道でご存知の方も多いでしょう、11月はじめに交際女性に暴力をふるったとのことで、傷害容疑で逮捕。釈放されましたが、今年限りで現役を引退する、と発表してからのフェアウェルシリーズだったのに、このことで熊本大会、関東大会を欠場。輝かしい戦歴に泥を塗ってしまいました。なにやってんだ、アキラ! ばか!

シリーズに話は戻ります。山本はヒート1終了時に富田に25ポイント差をつけていればいいわけですから、富田が優勝しても3位に入れば2年連続チャンピオン確定。スタートから、山本はきちんとこの「チャンピオン確定条件」をアタマに入れてレースをしているように見えました。
スタート直後、1コーナーの大混雑を終えて、山本がトップでレースをスタート。しかし、すぐに星野優位(bLU cRU レーシングチーム鷹)がトップへ。山本に続いて富田、能塚、小方 誠(TeamカワサキR&D)といったオーダー。山本は一時トップに復帰しますが、序盤から無理をしていないのか、富田に抜かれ、能塚に抜かれ、徐々にポジションを下げるんですが、ずっとトップが見える位置を走っています。このあたりではヤマハが1-2ですね。

画像: ヒート1序盤、166星野がトップ、400山本、317富田、555能塚の順です

ヒート1序盤、166星野がトップ、400山本、317富田、555能塚の順です

レースは序盤、能塚がポジションをかき回し、10分経過あたりで2番手、そしてトップへ浮上! 能塚→星野→富田→小方→山本のオーダーとなりましたが、残り10分くらいで山本がスリップダウン! 7~8番手にポジションを落としてしまいます。
トップで逃げていた能塚ですが、残り8分くらいで星野がアタック! 星野に抜かれてからは、能塚が一度はトップを奪い返しますが、富田はペースが上がらずに3~4番手あたり。山本は7番手あたりで、このポジションでは山本はチャンピオンを決められず、能塚がランキング2位となって最終ヒートを迎えることになります。

画像: A級7勝目を飾った166星野 今シーズン、ヤマハはこれで3勝をマーク!

A級7勝目を飾った166星野 今シーズン、ヤマハはこれで3勝をマーク!

しかし、ラスト5分くらいで星野がみたびトップに立ち、能塚はここからペースダウン、これは腕アガリと、ジャンプ着地で足を痛めてしまったそうで、ガクッと後退してしまいます。
結局レースは、このまま星野が後続を引き離し、2017年以来3年ぶり(あのときはKTMでした)の優勝。2位渡辺、3位小方の順でフィニッシュ。山本は6位に終わったものの、富田が5位、能塚は7位に終わったため、チャンピオン確定! 見事2年連続でIA1クラスを制しました。
ふだんはムスッとして(ごめん)戦うサムライ感をビンビンに振りまいてる山本ですが、さすがにタイトル確定は嬉しそうでした。仕事をやり遂げると、普通の28歳のスポーツマンに戻るんですね。

ヒート2では、2020チャンピオン山本が序盤から飛ばしに飛ばし、2番手は、その山本のチームオーナーともいえる小島庸平(ホンダドリームレーシングBells)がキープ! 小島はその後、小方、富田、渡辺にかわされてしまいますが、ファンの多いベテランの力走に大歓声でした。 

レースは中盤にかけて小方、富田がジリジリと山本を追い、終盤は小方が山本にアタック! しかし6秒差を小方が詰めて、背後につかれてからの山本が速かった! あれ、最後のひと逃げのパワー残してましたね。山本はのびのびと走ってるように見えて、しかも速かった! チャンピオンを決めなきゃ、という重圧がなくなった速さなのかな、って思いました。3位に富田、4位に渡辺、5位に大塚豪太(T.E.スポーツ)、6位に小島が入りました。

画像: チームのプレイングマネージャー小島(左)と笑顔を見せる山本(中央)

チームのプレイングマネージャー小島(左)と笑顔を見せる山本(中央)

山本鯨
「最終戦ってことでヒート1は走りが硬くなっていた感じでしたが、どうしてもチャンピオン、という僕の仕事を精いっぱいやり遂げました。ヒート2はチャンピオンを決めたんで、全力で走ろうと。IA1で3回チャンピオンを獲れましたが、まだまだ。モトクロス界を引っ張っていくようなライダーになりたいです!」

横山、圧倒的追い上げで2年連続チャンピオン!

画像: スタート直後の1コーナー 赤丸で囲んだところに転倒寸前の横山が!

スタート直後の1コーナー 赤丸で囲んだところに転倒寸前の横山が!

以前は125ccクラス、と呼ばれていたIA2は、ここまで3戦6ヒートを消化。このクラスは、19年チャンピオンの横山遥希(TeamカワサキR&D)が、開幕戦のヒート1を5位で終えながら、以降の5ヒートを連勝。大城魁之輔(ホンダドリームレーシングBells)に31ポイント差をつけてランキングトップに立っています。これもIA1と同じく大城が優勝しても横山が3位に入ればヒート1でチャンピオン決定、というレース。

レースでは、横山のスゴみばかりが目立つ結果となりました。ヒート1、大城、横山ともに好スタートを切ったんですが、スタート直後にクラッシュがあって、マシンがコースに残ったことからレースは赤旗中断。その仕切り直しのスタートで、横山は1コーナーの大混雑にもまれながら、あわや転倒、というシーンを見せ、ポジションを大きく落としてしまいます。この時のみし奈さんの場内アナウンスでは「横山、後ろから数えた方が早い順位だー!」と叫んでいましたから、20番手くらいでしょうか。

画像: V2チャンピオン、横山遥希 今シーズンはちょっとケタ違いに速かった! 2021年はIA1に??

V2チャンピオン、横山遥希 今シーズンはちょっとケタ違いに速かった! 2021年はIA1に??

レースは平山力(RC弘前&TSF)のリードでスタート。内田篤基(SRMマウンテンライダーズ)、袴田哲弥(bLU cRU YSP浜松BOSSレーシング)が続く中、大城が6番手あたりからのスタート。この頃、横山はオニのようなスピードで順位をぐんぐん上げています。もう、この頃は前のマシンをコーナーで抜き、続くストレートでまた抜き、次のコーナーで抜き、というポジションアップっぷりでした。
チャンピオン争いを、せめてヒート2まで持ち込みたい大城は、優勝あるのみ。レースは、IAルーキーの袴田がトップに立ち、レースを引っ張りますが、転倒。変わってトップに立ったのは内田で、大城は4~5番手あたりからジリジリとポジションを上げてきます。

画像: ついに36大城をパスして2番手までポジションを上げた1横山

ついに36大城をパスして2番手までポジションを上げた1横山

レース中盤には内田→大城→岸 桐我(とあ、って読むのかな TEAM KOH-Z)で、この頃にはいつの間にか横山が5~6番手までポジションアップ。下位グループにいる時は当たり前なんだけれど、このトップグループに追いついても、横山は明らかに回りより速い! なかなかトップに出られない大城は、ずっと2番手ですから、この順位では横山のチャンピオンが決まってしまいます。

ラスト10分を切ったくらいで、横山は大城をパス! 横山はその勢いのまま、今度は内田をパスしてトップに立つと、そのまま後続を引き離して優勝! 大城、内田が続く、まさに横山のひとり舞台、大逆転劇でした! 横山、6連勝で2年連続のチャンピオン決定です!
ヒート2も横山がスタートから前に出るレースを展開。オープニングラップからガッツポーズしてなかった?ってくらい楽しんでレースをしていた印象で、7連勝めをマーク! 
2位に内田、3位に大城と、同じ顔触れが表彰台に上がることになりました。

画像: 横山の右にはカワサキの元ファクトリーMXライダー新井宏彰 横山のコーチ役です

横山の右にはカワサキの元ファクトリーMXライダー新井宏彰 横山のコーチ役です

横山遥希
「スタート失敗して追い上げて、なかなか追い上げられなかったけど、なんとか追いついて優勝できました! 勝ちたくて勝ちたくて、ヒート2のこと考えずに全力で走りました。最終レースは楽しみたいな、って気持ちよく走れました。すごく走りやすいコースでした。コース管理の皆さんもありがとうございました!」

史上初の全勝チャンピオンを目指して

画像: レースは1本田がホールショット! 5川井もインつまりで本田の後方にいます

レースは1本田がホールショット! 5川井もインつまりで本田の後方にいます

そして、この日いちばん盛り上がったんじゃないの、ってのがレディスクラスでした。このクラスはここまで川井麻央(まなか・T.E.スポーツ)が3戦全勝! ランキング2位の19年チャンピオン本田七海(bLU cLU TEAM KOH-Z)に11ポイント、久保まな(Seezoo MICHELIN RK)に15ポイント差をつけて、この3人がここまでの表彰台をほぼ占めていて、この3人がチャンピオン獲得可能圏内。川井は史上初の全勝チャンピオン狙い、本田は川井の全勝を阻止したい、ってレースでしょう。

スタートは本田がホールショット! 小野彩葉(いろは・T.E.スポーツ)が続き、川井は3番手でオープニングラップを終了。まずまずのスタートでした。
逆転には今シーズン初優勝しかない本田が逃げ、すぐに川井が2番手に上がって本田にジリジリと迫りますが、真後ろにつけて、いったん川井がトップに立つんですが、再び本田が抜き返し、その差を詰めようとあせったか、川井はミスを連発。
そして残り3分くらいで、なんと川井がマシンをコースサイドの土手に当ててしまってエンスト! 何度も真後ろまでつけていたのに、再スタートの間に約6秒強の差をつけられてしまったのです。

画像: 今シーズン初優勝、逆転チャンピオンを狙った1本田七海 後方に5小野、3川井がつけます

今シーズン初優勝、逆転チャンピオンを狙った1本田七海 後方に5小野、3川井がつけます

6秒はデカい! あーあ、トップに立とう立とうってイレ込みすぎてミスしちゃったかぁ、と思ったら、なんと川井がそこからオニ追い上げを見せ、6秒差を1周で3秒まで追い上げ! ここの川井のスピードはすさまじかった!
川井はそのまま本田の背後につけ、フィニッシュライン寸前でトップに浮上! ここで15分経過! ここからラスト1周で、川井は本田を完封し、川井が全勝チャンピオンを確定! 本田が2番手、3位に小野が入ってフィニッシュ! いやぁ、川井速かった!

画像: 最後の最後に大逆転! 川井と本田、このふたりの走りは群を抜いてます

最後の最後に大逆転! 川井と本田、このふたりの走りは群を抜いてます

川井麻央
「去年はぜんぜん勝てなくて、今シーズンこそ、って頭に入れていて。全勝でチャンピオンを獲れて本当にうれしいです! チームの皆さん、スポンサーのみなさん、お父さん、お母さんのおかげです!」

画像: 18年ランキング2位→19年3位からの全勝チャンピオン! 川井と本田のラスト3周、名勝負でした!

18年ランキング2位→19年3位からの全勝チャンピオン! 川井と本田のラスト3周、名勝負でした!

ロードレースと同じく、コロナ禍に振り回された2020年のモトクロス。今大会も、入場時に体温チェック、体調管理シート提出も求められる中でのレースとなりましたが、なんとかロードレースと同じく4戦を消化することができました。
特に最終戦は、関東地方にコロナウィルス第三波がやってきたなんて、開催をギリギリまで検討しなきゃならない中での開催となりましたが、従来なら毎レース後に行なわれる表彰式も、全クラス終了後にまとめたり、という関係者の苦心もあって、なんとか開催できました。

一時はシリーズ成立も危うい、なんて言われていた全日本選手権ロードレース/モトクロスでしたが、やり遂げました。選手の皆さん、関係者の皆さん、そして観戦にきてくれたファンのみなさん、Webなんかでレースウォッチしてくれたファンのみなさん、お疲れさまでした! 来年はいつも通りのシリーズが開催できたらいいですねー!

画像: 全レース終了後には、お客さんの退場優先で関係者駐車場出口はクローズ まいったなー、しょうがないかー、なんて言うメディア仲間を差し置いていち早く帰ってきました ふふふ、写真のMD30で行ってたんだもんね

全レース終了後には、お客さんの退場優先で関係者駐車場出口はクローズ まいったなー、しょうがないかー、なんて言うメディア仲間を差し置いていち早く帰ってきました ふふふ、写真のMD30で行ってたんだもんね

写真/後藤 純 中村浩史 文責/中村浩史

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