英国男優の絶大な人気は決して最近始まったことではありません。演技力があり、品格も見た目も良しと来ている彼らは、いつの時代でも映画界から重宝される存在であり、目の肥えたファンたちのアイドルでもありました。そこで、戦後から現代に至るまでに主だった人気英国男優の流れを辿ってみましょう。今回は、1940年〜1970年代に注目します。(文・大森さわこ/デジタル編集・スクリーン編集部)

ハリウッド映画でも主演し、常にアカデミー賞の常連となる英国男優の歴史は遥か昔から

今大ベテランのあの人も、新進若手俳優の時代が…!

今も昔もイギリス映画界の大きな財産となっているのは俳優である。本国だけではなく、ハリウッドで活躍する人も多く、アカデミー賞などでも常に注目される。今回は戦後の1940年代から現在に至る英国男優たちの歩みに振り返ってみたい。

1940年代以降の映画界を代表する名優としてまっ先に浮かぶのがローレンス・オリヴィエである。英国の舞台の世界でシェイクスピア男優として評価されていたが、1939年に「嵐が丘」でハリウッド・デビューを果たし、監督もかねたシェイクスピア作品の映画化「ハムレット」(1948)で、見事にオスカーを受賞。舞台男優でありながら映画というメディアの強みを最大限に利用することで世界的な大スターとなった。

ローレンス・オリヴィエ

イギリス人でありながら、すっかりハリウッドに溶け込んでいたのがケーリー・グラントで、ヒッチコック監督の「断崖」(1941)、「汚名」(1946)、「北北西に進路を取れ」(1959)等で紳士的なキャラクターを演じて人気を得る。個性派として評価された男優には「邪魔者は殺せ」(1947)や「スタア誕生」(1954)で渋い味わいを見せたジェームズ・メイソンがいる。

画像: ケーリー・グラント

ケーリー・グラント

画像: ジェームズ・メイソン

ジェームズ・メイソン

また、「二重生活」(1947)でオスカーを受賞したのがロナルド・コールマン。他にオスカーを手にした男優には「戦場にかける橋」(1957)の名優、アレック・ギネスや「旅路」(1958)の粋な雰囲気を持つデヴィッド・ニーヴンがいる。

「陽気な幽霊」(1946)で注目された実力派がレックス・ハリソンで、ミュージカル「マイ・フェア・レディ」(1964)ではオスカー受賞。

一方、ローレンス・オリヴィエの後継者といわれるシェイクスピア男優のリチャード・バートンは1940年代後半から映画界に進出したが、超大作「クレオパトラ」(1963)や舞台劇の映画化「バージニア・ウルフなんかこわくない」(1966)に主演。

画像: リチャード・バートン

リチャード・バートン

画像: ダーク・ボガード

ダーク・ボガード

同じく1940年代に映画界入りしたのがダーク・ボガードで、最初はアイドルスターとなるが、後にジョゼフ・ロージー監督の「召使」(1963)、「できごと」(1966)、ルキノ・ヴィスコンティ監督の「ベニスに死す」(1971)では陰影のある演技派となった。

また、1950年代に英国の怪奇映画のスターとして注目されたのがクリストファー・リーで、「フランケンシュタインの逆襲」(1957)などで人気を博した。

クリストファー・リー

1960年代は「007」シリーズの世界的大ヒットと“怒れる若者たち”の世代

1960年代はイギリス映画界の一つの転機となり、新時代のスターたちが生まれた。まずは娯楽映画の王道、007シリーズの誕生が記念すべき出来事となった。1962年に「007は殺しの番号」(後に「007/ドクター・ノオ」と改題)で英国のスパイ、ジェームズ・ボンド役を演じて大スターへの道を歩み始めたのがショーン・コネリーだった。

ショーン・コネリー

1970年代にボンド役をひきついだのがロジャー・ムーアで、「死ぬのは奴らだ」(1973)などに主演。1980年代はティモシー・ダルトンが「リビング・デイライツ」(1987)でボンド役を手にした。

ロジャー・ムーア

ティモシー・ダルトン

また、〝怒れる若者たち〞と呼ばれる新しい映画の波が生まれたのも年代でもあり、「土曜の夜と日曜日の朝」(1960)のアルバート・フィニーが反逆児的なキャラクターを演じて〝英国のマーロン・ブランド〞と呼ばれた。その流れを継いでいたのが「孤独の報酬」(1963)のタフなリチャード・ハリス。

アルバート・フィニー

リチャード・ハリス

アラン・ベイツも新しい青春映画の系譜上にいる男優で、「或る種の愛情」(1961)に主演し、後に「恋する女たち」(1969)での演技も評価された。そのベイツと「恋する女たち」で共演していたのがオリヴァー・リードで、強烈な肉体の存在感を持つ彼は「脱走山脈」(1968)、「肉体の悪魔」(1971)も評判となる。

アラン・ベイツ

マルコム・マクダウエル

1960年代きっての反逆児キャラとして知られるのが「if…もしも」(1968)のマルコム・マクダウエルで、後に「時計じかけのオレンジ」(1971)でも反逆児を演じた。

今も活躍中の英国を代表するベテランたちが登場したのも1960年代

マイケル・ケイン

また、ザ・ビートルズ登場後の1960年代のロンドンでは新しい若者文化が開花したが、そんな時代の軽やかさを体現したのがマイケル・ケイン。1966年の「アルフィー」のプレイボーイ役でオスカー候補となる。

無名時代にケーンのルームメートだったのがテレンス・スタンプで「コレクター」(1951)の異常なキャラクターでカンヌ映画祭男優賞受賞。デヴィッド・ヘミングスも新時代の男優で、「欲望」(1967)のカメラマン役が人気を呼んだ。

テレンス・スタンプ

デヴィッド・ヘミングス

シェイクスピア系の王道男優として注目されたのが「アラビアのロレンス」のピーター・オトゥールで、端正な容姿で多くのファンを獲得した。同じくシェイクスピア系の男優として登場したのが「冬のライオン」(1968)のアンソニー・ホプキンスと「愛のふれあい」(1969)で映画デビューをはたしたイアン・マッケラン。

ピーター・オトゥール

イアン・マッケラン

画像: アンソニー・ホプキンス

アンソニー・ホプキンス

ふたりとも年を重ねた後に演技派として知られるようになる。年代に映画界に入り、「ミッドナイト・エクスプレス」(1978)で認められたのがジョン・ハート。子役として人気者になったのが「オリバー!」(1968)や「小さな恋のメロディ」(1971)に出演したマーク・レスターとジャック・ワイルドで、その達者な演技が注目された。

画像: マーク・レスターとジャック・ワイルド

マーク・レスターとジャック・ワイルド

Photos by Getty Images

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