今から20年ほど前、新しい世紀に変わる頃。クルマに対する考え方も変わり始めていた。そんな時代の輸入車ニューモデルのインプレッションを当時の写真と記事で振り返ってみよう。今回は「マセラティ クーペ」だ。

マセラティ クーペ(2003年)

画像: 先代の3200GTを正常進化させた美しい流麗なスタイリングは、ジウジアーロ率いるイタルデザインの手になるものだ。

先代の3200GTを正常進化させた美しい流麗なスタイリングは、ジウジアーロ率いるイタルデザインの手になるものだ。

1997年にフェラーリの傘下となったマセラティが、翌1998年に発表したスポーツクーペが「3200GT」。その後継モデルとして2002年に発表されたのが、今回紹介する「クーペ」だ。ふつう、この手のクルマはクーペが先に登場してスパイダーがあとから登場することが多いのだが、このクルマでは2001年に3200GTを改良したスパイダーが先に登場し、これをベースにしたクーペが今回のモデルということになる。

車名は単純にクーペだが、トランスミッションが6速MT仕様は「GT」、6速セミAT仕様は「カンビオコルサ」というサブネームが与えられている。今回の試乗車は後者だ。カンビオコルサとはイタリア語で「レース用トランスミッション」といった意味だ。

3200GTを正常進化させたスタイリングは、ジウジアーロが率いるイタルデザインの手になるもの。クラシカルな雰囲気も漂わせる流麗でエレガントなフォルムは、さすがイタルデザイン。いかにもイタリアの伊達といった美しさが際立っている。インテリアもシートをはじめダッシュボードにまで上質の本革がふんだんに用いられている。しかもドイツ車のような無機質で機能を重視したものではなく、気分を高揚させてくれるものだ。

画像: フェラーリ由来の90度V8 DOHCは4.2Lの排気量から390psと46.0kgmを発生する。そのサウンドは、なかなか豪快だ。

フェラーリ由来の90度V8 DOHCは4.2Lの排気量から390psと46.0kgmを発生する。そのサウンドは、なかなか豪快だ。

パワーユニットは、3200GTでは3.2LのV8 DOHCツインターボだったが、このクーペではフェラーリ由来の4.2L V8 DOHCに換装し、自然吸気ながら最高出力は390ps、最大トルクは46.0kgmを発生。3200GTより最高出力は20psアップしているが、最大トルクはノンターボゆえ4.0kgmダウンしている。トランスアクスル方式でリア側に搭載されるトランスミッションは、前述のように6速MTと6速セミAT(クラッチペダルレスのMT)が設定されている。

タンの本革に覆われたコクピットに滑り込み、イグニッションをONにすると、V8ユニットはあっさり目覚める。カンビオコルサと呼ばれるセミATは、システム的にはフェラーリのF1シフトと同じものだ。クラッチ操作がロボタイズされ、AUTOモードにしておけば自動でシフトアップ/ダウンするし、ステアリングコラムに備わるパドル(右がアップ、左がダウン)でマニュアルシフトも可能だ。

市街地走行ではAUTOモードのままで走りがちだが、変速には若干のラグがあり、何も知らないパッセンジャーが同乗したら「運転があまり上手じゃないな」と思われてしまうかもしれない。ここはやはりパドルシフトを駆使して、ポンポンとシフトアップしていくほうがスムーズに加速する。大排気量のV8エンジンらしくトルクは低速域からタップリしており、回しただけ豪快に加速していく。そのサウンドは、フェラーリ由来とはいえ官能的ではなく、どちらかといえば迫力あるものだ。

マセラティ クーペはスポーツカーというよりはGTカー的な性格だが、ハンドリングも素直でスポーティだ。ワイドなタイヤを装着しているが、その割には乗り心地は快適だ。ハイウエイクルーザーだがワインディングでもそつなく走る、まさに大人のグランツーリスモだった。

画像: 3200GTでは独特のブーメラン型だったリアコンビランプは、比較的ふつうの形状になった。テールパイプは左右4本出し。

3200GTでは独特のブーメラン型だったリアコンビランプは、比較的ふつうの形状になった。テールパイプは左右4本出し。

■マセラティ クーペ カンビオコルサ 主要諸元

●全長×全幅×全高:4525×1825×1305mm
●ホイールベース:2660mm
●車両重量:1690kg
●エンジン形式:V8・DOHC・トランスアクスルFR
●排気量:4244cc
●最高出力:287kW(390ps)/7000rpm
●最大トルク:452Nm(46.0kgm)/4500rpm
●トランスミッション:6速セミAT
●タイヤ:前235/40ZR18、後265/35ZR18
●車両価格(当時):1195万円

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