トライアンフ「タイガー900 GT プロ」試乗インプレ(濱矢文夫)

画像: TRIUMPH TIGER900GT Pro 総排気量:888cc エンジン型式:水冷4ストローク並列3気筒DOHC4バルブ メーカー希望小売価格:182万円(消費税10%込)

TRIUMPH TIGER900GT Pro

総排気量:888cc
エンジン型式:水冷4ストローク並列3気筒DOHC4バルブ
メーカー希望小売価格:182万円(消費税10%込)

狭苦しい道もスイスイと軽やかにこなす高い順応性

トライアンフのタイガーという車名は、1930年代に単気筒エンジンのスポーツバイクに使われたの
が最初で、デュアルパーパスとしては1980年代初頭に発売された650と750のタイガートレイルがあった。アドベンチャーモデルにその名が使われたのは、1990年代に復活をとげてから。

1993年に、BMWのGS、ホンダのアフリカツイン、ヤマハのスーパーテネレに対抗して、水冷のトリプルエンジンに丸形デュアルヘッドライトのフェアリングを装着した同名のタイガー900を発売している。それ以後、タイガーはトライアンフブランドのデュアルパーパスツアラーに使われるようになった。

今回試乗したタイガー900は、同社のミドルクラスアドベンチャーとして2010年から親しまれてきた
タイガー800の後継モデルになる。このモデルはフロントに19インチ、リアに17インチのキャストホイールを履いたGTで、装備が豊富な上級グレード"GTプロ"だ。

最近のアドベンチャーカテゴリーは、キャストホイール仕様とワイヤースポークホイール仕様の2種類あることが多い。ご存知のように大体の場合は前に21インチワイヤースポークホイールを履いたのがよりダート向けで、19インチキャストホイールを履いたのが舗装路を中心にしたオールラウンドモデルとなっている。

GTシリーズのタイガー900も同じで、これの他にフロントに21インチワイヤースポークホイールのラリーシリーズもラインアップされている。

ずばり、このモデルの最も魅力的な特徴は、ちょうどいいサイズだ。リッターオーバークラスのアドベンチャーよりひとまわり小柄で、低い方を選べば高さ810mmのシートは、身長170cmならしっかり保持できる足つき。

エンジン単体がコンパクトなのもプラスされて直列3気筒エンジンを搭載しているなんて思えないくらい下半身が触れる部分がギュッと細身でフィット感がいい。888ccだが感覚的にはひとつ下の650や750のアドベンチャーモデルに乗っているような感じ。

それでいて小さすぎないので、居心地の良い居住性があって、乾燥重量は200kgを切っている。実際、勾配のある軽自動車がやっと通れる道幅の入り組んだ道を走ったけれど、取り回ししやすく、方向転換や押し引きUターンが苦にならなかった。

画像1: トライアンフ「タイガー900 GT プロ」試乗インプレ(濱矢文夫)

95.2PSの最高出力と、87ニュートンメートルのトルクは高速道路の流れの中でイニシアチブを取ることができる充分なエンジンパワーで、もたつきや力不足でいらいらしない。トップの6速でもギアチェンジせずに巡航し続けることはたやすく、フル加速をしても持て余すようなことはない。すべてが手の中に収まっているような感覚だ。

大きなトピックは、エンジンは前モデルのタイガー800の800ccから単純に88cc追加しただけではないというところ。実はクランクが大きく変わっている。これまでは120度ずつのクランクピンで3つのシリンダがー左から順番に均等の間合いで燃焼していた。この新しいエンジンは、そのクランクピンをそれぞれ90度ずらして不等間隔にした。トライアンフはこれを"Tプレーン"と呼ぶ。

違いは乗れば明らか。高回転まで回し切るより低中回転域の強いトルクを使って走るほうが楽しい仕様だが、以前の等間隔爆発より、対策を施しているとはいえ明確に振動が増えた。しかし独特のくぐもった低い排気音でタイトコーナーの立ち上がりや、路面が荒れたところでも、強いトルクの領域でも後輪が逃げずに前に押し出すから、スロットルを積極的に開けていけるようになった。

画像2: トライアンフ「タイガー900 GT プロ」試乗インプレ(濱矢文夫)

エンジンだけでなくトレリスフレームも新設計で足廻りも含めてしっかりとした剛性感がある。重心位置が変わっているのか、つづら折りを飛ばさず流している時の動きが自然になり、意識することなくより軽く左右に倒し込んでいけるようになった。

このGTプロはリアが電子制御サスペンションになっており、プリロードとリバウンド減衰はライディングモードに応じて電子制御で調節される。ストロークがそれほど大きくない前後サスペンションによるシャキシャキとした機敏な動きが気持ちいい。

オンロードでどんなところでもそつなく走行可能で、あれもこれもと欲張って高機能にせずに、サイズも含めて普通のツーリングや日常での使い勝手での使いやすさに迷いなく絞っているようだ。平均的な日本人の体型と、狭い場所も多い日本の道にマッチしていると思う。

Tプレーンエンジンだから、電子制御だからとまったく考えずに、いつものようにメインスイッチをオンにして、セルボタンを押して始動し走り出して、わずらわしさを感じず、時々コーナーリングを楽しみ、景色を楽しみ、あまり疲れず安全に目的地に到着する。

そんな当たり前のことを支えてくれる役に立つ技術がたくさんありながら、オタク的なところがない。オートバイとしてのベースがしっかりしている絶妙なバランスのアドベンチャーだ。

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