2020年10月7日、BMW AGは128tiを発表。ドイツでの販売価格、そして2020年11月に発売することを公表した。E46型 3シリーズコンパクト以来16年振りに「ti」のグレード名が採用されたが、果たしてBMW 128tiは1990年代のE36型やE46型3シリーズコンパクトの再来なのか。

「ti」は歴史のあるグレード名

BMWはドイツ本国で、コンパクトハッチバックの1シリーズに新たなグレード「128ti」を発表した。グレード名の最後にある「ti」という名称は、2004年に生産終了したE46型3シリーズコンパクト以来、16年ぶりの採用となる。これは1800tiや2002tiなど、BMWの歴代モデルで幾度となく採用されてきたもので、新型128tiを語る前にまずは過去に遡ってみようと思う。

「ti」というグレード名が初めて採用されたのは1960年代初頭のこと。戦略のひとつとしてBMWのラインアップ拡充を図るなかで発表されたのが1500/1600/1800/2000で、ノイエ・クラッセとも呼ばれる現在の3シリーズの原点になった車種だ。

そのなかでも1800はソレックスキャブレターを1基搭載して最高出力90hpを発生、最高速は162km/hをマークしていた。そのハイパワー版として設定されていたのが「1800ti」だ。ソレックスサイドドラフトキャブレターを2機搭載して最高出力を110hpに高められ、最高速は175km/hに到達。1800tiの高性能ぶりは当時のヨーロッパ―ツーリングカー選手権で好成績を収めるほどで、BMW社は後に正式なホモロゲーションモデル1800ti/SAを発表していた。

画像: 1960年代にレースでも活躍したBMW 1800ti。「ti」は「Touring International(ツーリング インターナショナル)」の頭文字からとられたという。

1960年代にレースでも活躍したBMW 1800ti。「ti」は「Touring International(ツーリング インターナショナル)」の頭文字からとられたという。

その後もバリエーションとして2000tiや、ノイエ・クラッセの後継となる02(マルニ)シリーズでも高性能バージョンとして2002tiが設定されるなど、ハイパワーモデルとして展開されてきた。「ti」はBMW流「羊の皮を被った狼」に与えられるグレード名と捉えることができる。

その後の空白期間を置いて1990年代にデビューしたのがE36型と、2000年代のE46型3シリーズコンパクトだ。いずれもセダンモデルより全長を20cm強も短くしてトランク部を短縮、ハッチバック化して30~50kgほど軽量化したモデルだった。日本未導入ながら2.5L直6エンジン搭載車も存在し、コンパクトカー市場では珍しいFR駆動のハッチバックとして知られていた。

画像: 1994年に日本市場でも発売された3シリーズコンパクトの「318ti」。全長はセダンより23cmほど短かった。

1994年に日本市場でも発売された3シリーズコンパクトの「318ti」。全長はセダンより23cmほど短かった。

つまり、「1960年代のハイパワーなti」と「1990年代のコンパクトなボディのti」とで車両キャラクターは大きく異なるということだ。では新型の128tiはどちらのtiの意味を持っているのか、これについてBMWは公式に1990年代のtiの伝統を汲む車両として紹介している。しかし私は、ここに異論を唱えたい。

というのも、BMW流のスポーティさとは人馬一体感であり、大パワーエンジンを与えられたならそれに見合う足回りも必要で、「1960年代のti」はまさにここに当てはまる。一方の「1990年代のti」はコンパクトボディにそれ相応、もしくは少し大きな排気量のエンジンを搭載した標準車であった。

下で解説するが、新型128tiはエンジン・足回りともにスポーティに改良され、「1960年代のti」の流れを汲むモデルではないかと推察できるのだ。

BMW 128tiはFFのMパフォーマンスモデルとも言える内容

では、以上を踏まえた上で、新型を見てこう。BMW 128tiはコンパクトスポーツ派やハッチバック派には魅力的なモデルだ。シルエットは118i Mスポーツと同様だが、フロントバンパーに設置されたエアインテークとリアバンパーのエアアウトレット内側、サイドエアダム、それにブレーキキャリパーが専用アイテムとなり、赤く塗装されている。

BMWのブランドアイコンであるキドニーグリルはFFの1シリーズと同様のデザインだが、縁取りがクロームメッキではなくハイグロスブラック塗装が施されていて、ただ者ではない雰囲気を醸し出している。ボディサイドにはグレードを表すデカールが貼られているが、もちろん採用しないバージョンも選択できる。

画像: 新型BMW 128tiの外観はBMW 118tiと大きく変わらないが、随所の赤いアクセントが特徴的だ。

新型BMW 128tiの外観はBMW 118tiと大きく変わらないが、随所の赤いアクセントが特徴的だ。

駆動方式はFFのみで、コーナリング時の車両姿勢制御に優れるトルセンLSDを組み込み、FFコンパクトスポーツならではの軽快なドライビングプレジャーを追求している。エンジンは可変バルブ付きの2L直4 DOHCにツインパワーターボを装着。「直噴」と「可変バルブ」のふたつの機構を採用して「ツインパワーターボ」を名乗り、決してタービンを2機設置したツインターボではない。最高出力は265hp/4750-6500rpm、最大トルクは400Nm/1750-4500rpmを発揮する。

トランスミッションにステップトロニック付き8速ATを与えられ、サスペンションはMスポーツのものに専用チューンを施し10mmローダウン。ブレーキはフロント/リアともにBMW M社製ベンチレーテッドディスク式を装備され、フロントは4ピストン式となる。

画像: 新型BMW 128tiの内装はブラック基調。赤いスティッチがレーシーな気分を盛り上げてくれる。

新型BMW 128tiの内装はブラック基調。赤いスティッチがレーシーな気分を盛り上げてくれる。

内装は118iと大まかなデザインに変更なく、室内色はブラック基調だ。そこにアームレスト、ドアトリム、ステアリングなど随所に赤いスティッチが施され、アームレストに赤い「ti」のロゴも刺繍されている。シートはスポーツシートで、色は同じく赤いアクセントを与えられたブラック。黒い内装に赤いアクセントとは古典的なスポーツイメージの演出だが、定番の取り合わせだけあってカッコいい。

BMW 128tiはドイツ本国で、2020年11月より販売される予定だ。価格は約4万1575ユーロ(付加価値税16%込み)というから、円換算すると約520万円となる。これはつまり118i MスポーツとM135i xDriveのほぼ中間にあたる。日本導入はまだアナウンスされていないが、BMWファンならずとも日本でも注目を浴びる1台ではないだろうか。(文:猪俣義久)

BMW 128ti 主要諸元(欧州仕様値)

●全長×全幅×全高:4319×1799×1434mm
●ホイールベース:2670mm
●車両重量:1445kg
●エンジン:直4 DOHCターボ
●排気量:1998cc
●最高出力:265hp/4750-6500rpm
●最大トルク:400Nm/1750-4500rpm
●トランスミッション:8速AT
●駆動方式:FF
●タイヤサイズ:225/40R18

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