ノーマルの乗りやすさプラス、カスタムの楽しさ

旧車から現行車まで、バイクカスタムの楽しみを味わえるようなさまざまなパーツを送り出すケイファクトリー。そのデモ車であり、同社代表の桑原さんが長く愛用しているのが、このカワサキGPZ900Rだ。写真はその2020年始めのもので、最新の変更はスイングアームピボット位置を15mm下げていることだ。

画像1: ノーマルの乗りやすさプラス、カスタムの楽しさ

市販車をベースとしたレーサーでは、バンク角の増加を目指して車高を上げることが多い。そのことでスイングアームの垂れ角が大きくなるが、アンチスクワット(簡単に言えば、リヤまわりが踏ん張る力)が強くなり過ぎ、その補正のためにフレーム側でスイングアームピボット位置を下げることもある。

ただGPZ-Rのカスタムにおいてスイングアームの垂れ角とアンチスクワットが強くなる理由の最大のものは、そのようなバンク角増大ではなく、リヤホイール[純正サイズ:18→]の17インチ化。そしてそれにともなう車高補正だ。この問題に対しては、前後サスの調整で解消できる、抜本的なディメンション見直しが必要、そもそも車高と垂れ角の変化がマイナス要素なのか……というように、見解はいくつかある。

そんな中で、桑原さんがスイングアームピボット位置の変更という手法を選択した理由は、もっと分かりやすいところにあった。

「アンチスクワットの最適化も考えなかったわけじゃないですけど、今回ピボット位置を変えたのは“カスタムバイクでありながら、ノーマル車の乗りやすさを再現したい”。そう思ったからです。私の愛車もそうでしたけど、ニンジャのカスタムって、絶対的な運動性能が上がってても、日常域では乗りづらいのが多いからねえ(笑)。

それで、ノーマル車両との違いをじっくり考えているうちに、スイングアームが車体のどこを押しているかが気になり始めたんです。そこでスイングアームから延長するように前の方に線を引いて考えると、私のニンジャではシリンダーヘッドを押していたのに対して、ノーマルはクランクシャフト。なるほど。ノーマルでは高速回転する重量物を押していたのかと。だったら同じ条件にしてみようと思って、ピボット位置を下げたんですよ」

画像2: ノーマルの乗りやすさプラス、カスタムの楽しさ

このように、現状の桑原車の狙いは、ノーマルの乗りやすさを再現すること。でも、そうした目的であれば、ノーマルのままでよしとする。あるいは、スイングアームの垂れ角とリヤの車高を変えないライトカスタムという選択肢もあったはずだ。どうして桑原さんは、スイングアームピボット位置を下げるという、手間のかかる手法を選択したのだろう。

「1番の理由は、カスタムが楽しいからですよ。ノーマルがよく出来ているのは分かってます。でも私としては、ノーマルやライトカスタムでは面白味が足りない。ふたつめの理由は、自分が歳を取ったこと。若い頃なら、多少の乗りづらさは気力と体力でカバーできますが、50代半ばになってくると、なかなかそうはいかないんですよ。そのあたりを考えると、今回のピボット位置変更は、ジジイがニンジャを長く楽しむための延命策かもしれない(笑)。

と言っても、TOTを走っていて、普段もカスタムニンジャに乗っている芦田君にこのニンジャの印象を聞いたら、“僕のより、安心して速く走れます”と答えてくれたので、この手法は運動性能向上にも結び付きそうです。

そこだけじゃなくて、既存のニンジャカスタムに疑問があるような人、今持ってるニンジャカスタムに疲れて乗り換えを考えている人にこそ、ピボット位置の変更を試してほしいとも思います。その結果として、ニンジャカスタムの世界が今以上に盛り上がってくれることが望みですね」

エンジンから車体に至るまで、随所に手が入ったフルカスタムでありながら、ノーマル状態同様の親しみやすさを実現する。そんな特性を獲得するための手法を施したニンジャ。これからもこの車両は、ニンジャカスタムの新しいヒントを提案してくれそうだ。

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アッパーカウル/インナーカウル/スクリーン/バックミラーはいずれもマジカルレーシング。ヘッドライトはLED化されている。

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φ43mmフォークはオーリンズ。ステムの現在のフォークオフセットは[40→]27.5mmだが、桑原さんはこれまでに25から40mmまで、2.5mm刻みで数値を試している。セパレートハンドルもケイファクトリー製だ。

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シートはMCジェンマによるもので、運動&快適性を高次元で両立している。ナンバープレートホルダーはケイファクトリー・チタン。

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ワイセコ鍛造ピストンとZX-10用58mmクランクでφ[72.5×55→]75×58mmの1025ccとしたエンジン。クランクケースの左右ビレットカバーやダウンチューブ、ヘッドバイパスキットなどはケイファクトリーのオリジナルパーツ。ビッグラジエーターはプロトで、ウォーターパイプ類はケイファクトリーオリジナル。サビを呼ばないチタン製だ。

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フレームのスイングアームピボット加工跡は覗き込めば見える。15mm下げられるが、これはスイングアームの延長線上にクランクシャフトが来ることを念頭に置いて決められた。

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GPZ900Rでピボット位置を変更する場合、フレームだけではなく、ステッププレートも見直す必要がある。ケイファクトリーの製品は以前からそれを見越して、ピボット部に組み換え式の楕円型カラーを採用している。

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[純正サイズ:3.00-17/3.50-18→]3.50-17/6.00-17の前後ホイールはアルミ鍛造のゲイルスピードGP1S。ブレーキキャリパーは前後ともブレンボを使う。

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排気系はヘッダーパイプの内部を異形断面(3Dチタン)としたケイファクトリー・D-Headerチタンフルエキゾーストで、サイレンサーは最新のヘキサゴンタイプ(前後ピースはジュラルミンビレット)。キャブレターはFCRφ39mmだ。

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リヤショックはYSSで、スプリングのみハイパープロに。またリンクはノーマルでのレバー比が必ずしもベストとはしないとして、ワンオフ製作。アジャスト機構は車高調整にも使えるが、この車両ではレバー比の調整で使う。

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アルミスイングアームもケイファクトリーで、90×30mmの目の字断面材製。市販の標準仕様はバフ仕上げとなる。

取材協力:ケイファクトリー

記事協力:ヘリテイジ&レジェンズ

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画像: handl-mag.com
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