2007年、2代目キャデラックCTSがデビューした。2001年に新世代キャデラック第一弾として「アート&サイエンス」をコンセプトに誕生した初代から6年、2代目はフルモデルチェンジでどう変わったか。アメリカ・カリフォルニアで行われた国際試乗会の模様を振り返ってみよう。(以下の試乗記は、Motor Magazine 2007年11月号より)

従来の印象を覆すデザインと造り込みの確かさ

新型CTSの完成度は、見栄えから性能まで、日欧プレミアムブランドのFRセダンたちと比べても、決して見劣りすることがない。アメリカ車としては初めて、彼らと同じ土俵で堂々の勝負ができるクルマだ。ボディサイズ的には欧州Eセグメントに属するが、販売価格と性能的にはDセグメント勝負である。すなわち3万ドル台で、5万ドルぐらいまでの日欧ライバル車購買層に食い込もうという魂胆だ。

STSやSRXと同じFR用プラットフォームをベースに、旧型よりも5インチワイドトレッドとし、最上級グレードには直噴3.6L V6エンジンを搭載。ライバルたちを見据え、オーバー300psにこだわったという。自社製6速ATとアイシン製6速MTが用意される。

日本での発表は今年2007年の11月が予定されており、直噴3.6L V6仕様の他に2.8L V6仕様も導入されるとのこと。当初は左ハンドル仕様のみで、4WDモデルの導入予定はないという。ちなみに、欧州市場向けにはディーゼルターボエンジンの搭載も予定されている。

キャビンサイズは旧型と同じだが、フェンダーが大きく膨らんでいて、存在感は相当に大きい。Aピラーの傾斜がかなりきつく、スポーティさを強調している。大きな縦型フロントグリルに後ろから迫られると、威圧感を覚えたほどだ。またライトまわりやメッキパーツなど、各ディテールの質感も大幅に向上している。

外装よりも驚いたのが内装だ。やや凝りすぎの印象もあるが、外観の派手な雰囲気をそのまま引き込んでいるとも言える。マテリアルの数が多いにもかかわらず、チラついて見えないのは、デザインと造り込みの良さが効いているからだろう。

画像: これまでのキャデラックから一新されたCTSのインテリア。入念な仕立てによる気持ち良くて使い心地に、優れた上質感を備える。インストルメントパネル上部やドアトリムの表面は、エキスパートによる手作業で仕上げられる。

これまでのキャデラックから一新されたCTSのインテリア。入念な仕立てによる気持ち良くて使い心地に、優れた上質感を備える。インストルメントパネル上部やドアトリムの表面は、エキスパートによる手作業で仕上げられる。

アメリカンサルーンのイメージを打ち破るパフォーマンス

試乗したのは最上級グレードの3.6L V6モデルで、18インチタイヤと大型ブレーキを組み合わせた「スポーツ」仕様であった。他には17インチの「ベース」仕様と、18インチ高性能サマータイヤとリアにザックス製ニボマットダンパーを組み合わせた「パフォーマンス」仕様があり、3種類のセットから選べる。

いかにもアメリカ人が好みそうな「アジリティ豊かな操作フィール」というのが動き始めの印象だ。アクセルペダルが思いがけず軽く、レスポンスも上々。ぐぃっと発進するため、微妙な前進は不得手である。初期のインフィニティG35(V36型スカイライン)のようだ。ワイドトレッドなクルマであることを強調するかのように、ステアフィールも軽く、速い。

乗り心地は、いかにも欧州車的というよりも、「BMW」にとても近かった。トタントタントタンと段差を硬めに乗り越え、リズミカルに心地よく路面の凹凸をこなしていく収め方に雑な面が残ってはいるものの、総合的にはよくできた足まわりといえる。高速走行時の安定感もまったく問題ない。

加速フィールは、迫力のサウンドとも相まって、従来よりも相当にスポーティである。ただし車重があるためか、ツインターボの335iはもちろん、C350やスカイライン350GTよりも若干遅く感じる。

ブレーキフィールは上々で、私は減速時に「このクルマは日本人の思うアメ車じゃなくなったな」と思った。走りの質感、性能ともに上級のSTSと並ぶかそれ以上のレベルに達していると言っていい。その性能の確かさは、名物の「コークスクリュー」を有するラグナセカ・レースウェイを走って、さらに確信するに至った。

6速MTの「パフォーマンス」仕様で、スタビリティコントロールの効きを抑えたコンペティティブモードを試してみると、ボディの強さ、よく動くアシ、正確でコントローラブルなハンドリング、頼もしいブレーキフィール。旧型CTSを含めて、従来のアメリカンサルーンのイメージをことごとく打ち破るパフォーマンスを見せてくれた。

来年には、500psオーバーのV8エンジンを積むCTS-Vも発表される。その出来映えが楽しみに思えるほど、CTSの完成度は高い。

足まわりが17インチの「ベース」仕様にも試乗したが、基本的なイメージは同じ。18インチに比べてタイヤのハイトをしっかりと感じる、しなやかな走りが印象的であった。E39型5シリーズや現行スカイラインのタイプP系に近い乗り味だ。

キャデラックブランド100周年を機に始まったプロダクト・ルネッサンス。そのフェーズ1といえる「アート&サイエンス」の、日本における盛り上がりはいまひとつだった。新型CTSは、フェーズ2「PURSUIT(追撃)」突入の旗印である。価格次第では日本でも勝算あり!だと、私は思っている。(文:西川 淳/Motor Magazine 2007年11月号より)

画像: 欧州車や日本車とはまた異なる個性や走り味でキャデラックはグローバル市場に打って出る。日本仕様には、最新の直噴機構採用の3.6L V6DOHCエンジンと、従来のポート噴射型2.8L V6DOHCエンジン(211ps/246Nm)の2種類のパワーユニットが用意される。

欧州車や日本車とはまた異なる個性や走り味でキャデラックはグローバル市場に打って出る。日本仕様には、最新の直噴機構採用の3.6L V6DOHCエンジンと、従来のポート噴射型2.8L V6DOHCエンジン(211ps/246Nm)の2種類のパワーユニットが用意される。

ヒットの法則

キャデラック CTS 3.6L V6 主要諸元

●全長×全幅×全高:4860×1842×1463mm
●ホイールベース:2880mm
●車両重量:1882kg(EU)
●エンジン:V6DOHC
●排気量:3564cc
●最高出力:311ps/6400rpm
●最大トルク374Nm/5200rpm
●トランスミッション:6速AT
●最高速:241km/h
●0→100km/h加速:6.3秒
※データは欧州仕様

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