アメコミライターとして活躍する杉山すぴ豊さんの連載コラムです。アメコミ関連の映画について、縦横無尽に楽しい知識、お得な情報などをみなさんにお届け。お待ちかね『DCファンドーム』の内容はこちらを参照していただき、ここではアメコミ映画の次世代を示唆する3つの作品を紹介します。

杉山すぴ豊

アメコミ系映画ライター。雑誌や劇場パンフレットなどにコラムを執筆。アメコミ映画のイベントなどではトークショーも。大手広告会社のシニア・エグゼクティブ・ディレクターとしてアメコミ映画のキャンペーンも手がける。

これから生まれるアメコミ映画の方向性を示唆する3つの作品が時を同じくして登場

新型コロナ・ウィルス禍が長引いていろいろお楽しみが延期になってしまいましたが、そんな中アメコミ映画・ドラマ好きをワクワクさせたのは「DCファンドーム」でしょう。これについては別でレポートを書きましたのでこちらをご覧ください。

それ以外でちょっと注目したいのが、これからのアメコミ映画の方向性を示唆する作品が相次いてリリースされたことです。映画「ニュー・ミュータンツ」、ドラマ「ザ・ボーイズ」、そしてゲーム「Marvel's Avengers(アベンジャーズ)」です。それぞれジャンルは違いますが面白い共通点が見えてきました。それは従来のヒーロー物へのアンチテーゼになっているということです。

PlayStation®4ソフト「Marvel's Avengers(アベンジャーズ)」

「ニュー・ミュータンツ」は「X-MEN」の映画化権を持っていた20世紀フォックスが、一連のX-MEN映画のスピンオフとして製作した作品。2018年公開を目指していましたが、その内容についてフォックス側が納得せず、撮り直しする・しないの問題となり、そうこうしているうちにフォックスがディズニーに買収されました。

ところがディズニー側は完成していたバージョンを気に入り、このまま公開となったのですが、今度はウィルス禍で延期。すったもんだのあげく8月28日に全米劇場公開となりました。これはX-MENに属さない、主に十代の新世代ミュータントたちが悪霊たちと戦う!という異色のホラーアクションです。

「ミスター・ガラス」のアニヤ・テイラー・ジョイや「ゲーム・オブ・スローンズ」のメイジー・ウィリアムズ、「ストレンジャー・シングス」のチャーリー・ヒートンら若手スターが出演。

これまでの代表的なヒーロー映画に反発するような内容をはらんだ作品揃い

画像: 「ザ・ボーイズ」シーズン2 (Amazon Prime Videoで配信中)

「ザ・ボーイズ」シーズン2 (Amazon Prime Videoで配信中)

9月よりシーズン2がリリースされたドラマ「ザ・ボーイズ」。これはDC、マーベルではない出版元のアメコミが原作ですが、ヒーローがセレブとしてもてはやされている世界。

特に〈セブン〉と呼ばれるヒーロー・チームの人気は絶大(この集団、明らかに“ジャスティス・リーグ”のパロディです)。しかし彼らは人間の屑みたいな奴らで、この〈セブン〉によって被害を被った過激な一般市民たちがヒーローに戦いを挑むという、お子様視聴厳禁な暴力描写が話題のブラック・コメディ。カール・アーバンや福原かれんさん等アメコミ映画好きにはツボなスターが出演しています。

ゲーム「Marvel's Avengers(アベンジャーズ)」は、アイアンマンやソー、ハルクといったおなじみのヒーローを操作できる痛快アクション・ゲームですが、ストーリー上の主役はアベンジャーズではなく、カマラ・カーン(ミズ・マーベル)という10代の女性ヒーロー。

カマラはオタク少女で、マーベル初のイスラム教徒。このダイバーシティの申し子のようなヒーローが先輩ヒーローたちアベンジャーズを助けます。カマラはこの先マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)にも登場予定で、まずはゲームで世界デビューとなります。

この3つの作品は、それぞれ今までのヒーロー文化を象徴するX-MEN、ジャスティス・リーグ、アベンジャーズに反発するような内容になっていますよね。考えてみれば2019年は20世紀フォックスのX-MEN映画路線が一旦終了、MCUも「アベンジャーズ/エンドゲーム」をもってアベンジャーズ映画が一段落。

「ザ・ボーイズ」はアマゾンのドラマですが、ディズニー(マーベル)、ワーナー(DC)が独自の配信サービスを立ち上げる中、マーベル、DCに頼らないかつ差別化できるヒーロー物をつくる必要がある。

そうした事情・都合が、2020年以降に向けて新たなヒーロー物を生み出した。そして「ニュー・ミュータンツ」がヒーロー物の舞台をホラーの世界に広げ、「ザ・ボーイズ」が“ヒーロー物ではない、ヒーロー物”という新たなジャンルを創り上げ、ヒーローゲーム「アベンジャーズ」がヒーローの若返り(これは「ニュー・ミュータンツ」もそうですが)をはかります。これから生まれるヒーロー物は、この3作が示した路線を発展・拡大していくのかもしれません。

画像: 新たなヒーローたちに注目!次世代のアメコミを示唆する3作品【連載:すぴのアメコミワンダーランド】

「Marvel's Avengers(アベンジャーズ)」
対応機種:PlayStation®4
発売元:スクウェア・エニックス 
希望小売価格:スタンダードエディション(通常版)7,980円+税、
ダウンロード版=8,778円(税込)

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