ノート、セレナに続く、日産「e-パワー」シリーズの第3弾がコンパクトSUVのキックス。市街地走行が中心だが試乗できたので、ショートインプレッションをお届けしよう。

EVならではのトルクフルな走りは魅力的

画像: 試乗車のボディカラーは、サンライトイエロー パールという鮮やかな黄色。街中を走っていると、けっこう注目を集めていた。

試乗車のボディカラーは、サンライトイエロー パールという鮮やかな黄色。街中を走っていると、けっこう注目を集めていた。

2020年5月の事業構造改革計画「NISSAN NEXT」で、日産は2023年度までにEVを2車種、e-パワーを4車種発売すると発表した。このキックスは、その第1弾となるコンパクトSUVだ。日本市場ではジュークの後継モデルとなる。

e-パワーとは、エンジンで発電した電気でモーターを駆動してクルマを走らせる、いわゆるシリーズハイブリッドだ。日産式に言えば「50%(いや、70%くらいか)電気自動車」というわけだ。エンジンは発電にのみ使用され、クルマの駆動はしない。

さて、キックスは前モデルにあたるジュークのトンガったスタイルに比べると、SUVらしいコンサバティブなものだ。それゆえ、誰にでも受け入れられやすいデザインといえるだろう。サイズ的にはジュークよりひとまわり大きい。

インテリアも、コンパクトSUVにありがちな安っぽさは感じさせない十分なもの。試乗車は2トーンインテリアではなかったが、モノトーンのブラック基調もSUVらしくスポーティな雰囲気で悪くない。安全&快適装備は必要十分なレベルにあり、ラゲッジスペースもけっこう広い。ご存じのようにキックスはマーチと同じくタイ製なのだが、クオリティは高く、黙って乗せられれば日本製との違いは分からない。

画像: Xグレードではインテリアカラーはブラック基調のモノトーンとなる。本革巻きステアリングは標準装備だが、カーナビはオプション。

Xグレードではインテリアカラーはブラック基調のモノトーンとなる。本革巻きステアリングは標準装備だが、カーナビはオプション。

乗りだして感じたのは、同じe-パワーのノートよりはエンジンがかかったときの音は抑えられていること。ノートでは市街地を定速走行中でもエンジンがかかるとけっこうノイジーだったのだが、キックスではさほど気にならない。しかも、エンジンがかかる頻度はノートより少ない。また、モーターならではのトルクフルな発進加速はECOモードでも十分なものがあり、ストップ&ゴーの多い都会ではアドバンテージとなる。

足まわりは、けっこう硬めだ。e-パワーなどのシステムの関係で車両重量がこのクラスとしては少し重めだから、締め上げているのだろう。とはいえ、ゴツゴツした乗り心地ではなく、スポーティな乗り味のセッティングといえる。それでも、高速道路の走行では逆にダンピング不足も感じられる。直進安定性や静粛性などは問題ないので、このあたりはもう少し煮詰めが必要かもしれない。

日産のウリである安全運転支援装備「プロパイロット」は標準装備。これも、以前のモデルより進化している。ACC(アダプティブ クルーズコントロール)は作動が自然になり、急な加減速をしなくなった。レベル2に相当する自動運転は、比較的まっすぐな高速道路では有効だが、首都高速くらいのコーナーでは追従しきれないことが多い。もっとも、これはどこのメーカーのシステムでも同様なのだが・・・。

画像: 1.5Lの直3エンジンで発電して、129ps/260Nmを発生するモーターで前輪を駆動するe-パワーを搭載。

1.5Lの直3エンジンで発電して、129ps/260Nmを発生するモーターで前輪を駆動するe-パワーを搭載。

ジュークもノートやリーフなどのようにワンペダルドライブが可能だ。発進から停止まで、アクセルペダルの操作だけで済むから市街地走行のイージードライブには便利だが、意外と車庫入れなどでは扱いにくい。状況に応じて使い分けたほうが良さそうだ。

今回は市街地での走行が中心だったのでハンドリングに関してはあまり語れないが、街中でのキビキビした走りっぷりから、かなりのパフォーマンスを予感させてくれた。約80km(市街地が7割、首都高速などが3割、エアコンは入れっぱなしでエコランはせず)の走行で、車載の平均燃費計は18.5km/Lを表示した。

SUV=スポーツユーティリティビークル、つまりスポーティなスタイルで人や荷物も積める使い勝手の高いクルマという意味で考えれば、キックスはコンパクトSUVらしいクルマだろう。ただ、RVとしてラフロードも走りたいとか、積雪地帯に住んでいるから4WDは必須条件というオーナー予備軍も多いはず。そういった声に応えるためにも、また他社のライバルに差をつけられないためにも、e-4WDの追加設定を期待したいところだ。(文:篠原政明/写真:森山良雄ほか)

画像: モーターならではのトルクフルな加速はストップ&ゴーの多い市街地でも効果的だ。

モーターならではのトルクフルな加速はストップ&ゴーの多い市街地でも効果的だ。

日産 キックス X 主要諸元

●全長×全幅×全高:4290×1760×1610mm
●ホイールベース:2620mm
●重量:1350kg
●パワートレーン種類:直3 DOHC+モーター
●排気量:1198cc
●エンジン最高出力:60kW<82ps>/6000rpm
●エンジン最大トルク:103Nm<10.5kgm>/3600-5200rpm
●モーター最高出力:95kW<129ps>/4000-8992rpm
●モーター最大トルク:260Nm<26.5kgm>/500-3008rpm
●駆動方式:2WD(FF)
●WLTCモード燃費:21.6km/L
●タイヤサイズ:205/55R17 91V
●税込み車両価格:275万9900円

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