コロナ禍にあり、すっかりコロナに邪魔された形になった、本連載インタビュー。毎回、ご登場の方をリアルに撮影して下さっていた写真家の安井進さんのオリジナル写真も、残念ながらお休みです。この間、コロナに負けない新作映画を選んでの、リモートによる監督インタビューを試みました。誰にとっても起こりうるハプニングを乗り越えて、観る者を心穏やかにしてくれるような作品、『Daughters』との出会いと、津田肇監督(カバー画像)インタビューが、映画へのモチベーションを上げてくれて嬉しいです。

知り尽くした中目黒なら、‟嘘”がつきやすい

画像: 知り尽くした中目黒なら、‟嘘”がつきやすい

「自分が6年近く住んでいて、仕事場もある場所なんですよ中目黒は。学生時代からそのエリア近くに住み、渋谷、恵比寿と並んで、何かが生れる刺激的な場所として、自分のライフスタイルの中で欠かせなかった。

その後男二人暮らしの場に選んだのも中目黒でした。映画を作ろうという時、自分が慣れ親しんでいる場所をロケーションに選んだのは、‟嘘”がつきやすいから。映画の中で見慣れた日常の場所を、見たことのない非日常の場に描くことも、その場所を良く知り尽くしているからこそ出来ることなんです。目黒川の存在も大きいですし」

──映画を拝見したうえで、こうしてお話を伺っていますと、監督のこだわりを実現させるにふさわしいスタッフを集めることも成し遂げ、主演の女優二人のキャテイングも思い通りに叶って、初監督作品としてやり残したと思われるところは無さそうに見えますが?「映画監督は王様である」という気分も満喫されたことでしょう。出来上がったら制作中の苦労なんて吹っ飛んでしまうものだと思いますが、ご苦労はありましたか?

「ハハハ、本当に映画監督は王様だと思いましたね。まあ、完璧な出来上がりかと言えば、心残りの点もあることはありますが。制作中は人間関係も良好で、全く支障なく進みました。苦労はなかったです、本当に。

むしろ、脚本や編集の時点で悩みましたね。正解がわからない仕事だと。これでいいのか?分かりにくくはないか、とか。何度も迷うし判断、決断が本当に難しかったです。そういう時は答えを見つけようと、他の映画作品を観てみたりして気を紛らわしたりとかして、何とか着地点をみつけようとしたりしましたが」

「乗り越える」女性の強さが、コロナ時代に心に響く作品

とても誠実で、フランクで紳士的。打てば響くようなお応えと、いくつものキーワードを下さる津田監督。クリエイテイブなことに諦めない津田肇監督の人となりに触れたインタビュー、ここに書き切れないほど、詳しいお話しもいただきました。映画への想いが伝わる時間を、リモートとは思えない熱い温度で感じることが出来ました。またの機会に、さらなる映画論などもうかがいたいものです。

「青天の霹靂」とも言える、思いがけなくも父親となる瞬間。その経験をファンタジック風味も加味しながら、回想しつつ作ったのが、本作『Daughters』だったに違いないということが、胸に迫りました。

映画は回想で良いのではという想いを、筆者はこの作品で改めて認識させられもしました。かの伝説的映画評論家、淀川長治氏曰くの、「映画は好きに作ればいい。好きに作らなくては映画ではない」という言葉も思い出させてくれた作品です。

そして、監督の考えでもあることをうかがいましたが、小春と彩乃の揺るぎない選択、父親である男性との結婚を望まず、ルーム・シェアのパートナー二人の友情の絆で、新しい生命を育てていく決意と生き方。それを温かく応援する周囲の人々。そんな新しい女性の生き方を提案をしている映画の誕生を見守りたいと思わせられました。

そういう女性カップルを、これからは「ドータ―ズ」と言ってもいいのじゃないかとさえ思えてならないのです。

実生活では、現在6歳の娘の父となっている津田肇監督、現在構想中の次回作は5年前から温めてきた、幼少時を過ごしたシンガポールを舞台にした作品なんだそうです。アフター・コロナの先に、やり遂げたいことが待っていることって、何よりも素敵なことではないでしょうか。

画像: 映画『Daughters ドーターズ』予告 【9月18日(金)公開 】 youtu.be

映画『Daughters ドーターズ』予告 【9月18日(金)公開 】

youtu.be

Daughters」(ドーターズ)
2020年9月18日(金)より、ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国順次公開

脚本・監督/津田肇
出演/三吉彩花、阿部純子、黒谷友香、大方斐紗子、鶴見辰吾、大塚寧々ほか
プロデューサー/伊藤主税 
エグゼクティブプロデューサー/佐藤崇弘 
ラインプロデューサー/角田道明
撮影/髙橋裕太 横山マサト
照明/友田直孝 
サウンドデザイン/西條博介 
美術/澁谷千紗、 内田真由
ファッションディレクター/岩田翔(tiit tokyo)
スタイリスト/町野泉美 
ヘアメイク/細野裕之
キャスティング/伊藤尚哉 
助監督/北畑龍一、 松尾崇、 安井陶也 
制作担当/天野恵子、 犬飼須賀志 、櫻井紘史
音楽プロデューサー/芳賀仁志
企画/CHAMELEONS INC.  
制作プロダクション/and pictures 
制作協力/Lat-Lon 
配給/イオンエンターテイメント・Atemo
製作/CHAMELEONS INC./and pictures/キングレコード/ワンモア/沖潮開発
2019年/日本/105分/カラー
©「Daughters」製作委員会

公式HP https://daughters.tokyo
公式Instagram  https://www.instagram.com/daughterscinema/
公式 Twitter  https://twitter.com/daughterscinema
公式Facebook   https://www.facebook.com/daughterscinema/

前回の連載はこちら:母娘で輝かせた、フランスの女性映画『愛しのベイビー』リサ・アズエロス監督と、娘の女優タイス・アレサンドランが、マリー・ラフォレから続く、映画人生三代のDNAを語る

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