2020年9月6日、アルファタウリ・ホンダのピエール・ガスリーがF1第8戦イタリアGPを制した。メルセデスAMG有利と言われる中で、なぜアルファタウリ・ホンダは逆転優勝を遂げることができたのか。打倒メルセデスの本命と言われたレッドブル・ホンダなぜ振るわなかったのか。なぜホンダのパワーユニットを搭載するふたつのチームが明暗を分けることになったか。その内情を関係者のコメントから探ってみよう。

渋滞を避けてアグレッシブなタイヤ戦略を断行したガスリー

ピエール・ガスリー(アルファタウリ・ホンダ)のイタリアGP優勝でホンダのパワーユニットが大きな注目を集めているが、アルファタウリ・ホンダが優勝と9位とダブル入賞しているのに対して、レッドブル・ホンダは15位、リタイアといいところがなかった。

アルファタウリ・ホンダは、ガスリーが残り26周でトップに立つと力強い走りでミスなくフィニッシュ、ダニール・クビアトも9位にポジションを上げて2ポイントを獲得。その一方でレッドブル勢は苦戦を強られたが、マックス・フェルスタッペンはパワーユニットトラブル、アレクサンダー・アルボンは接触によるマシンダメージと原因はわかっているようだ。

ガスリーの勝因のひとつとして、アグレッシブなタイヤ戦略があげられるだろう。もっともそうした戦略を機能させるためには絶対的な速さが必要。マシンはよく仕上がっていたし、今回は少しばかり幸運にも恵まれた。一方、レッドブルの敗因はスタートでの混乱にはまってしまいリズムよく走れなかったことだろう。高速バトルとなる中でグリップが不足していたののかもしれない。

画像: ホンダの山本雅史F1マネージングディレクターとガスリー。

ホンダの山本雅史F1マネージングディレクターとガスリー。

画像: イタリアGPでの各ドライバーのタイヤ戦略。赤旗中断でタイヤ交換は許される。

イタリアGPでの各ドライバーのタイヤ戦略。赤旗中断でタイヤ交換は許される。

ホンダの田辺豊治は今回のイタリアGPについて「今日はアルファタウリのガスリー選手が本当に素晴らしい優勝を果たしました。トロロッソ時代も含めたアルファタウリとの50戦記念という節目のレース、またチームの本拠地イタリアで、一緒に優勝を祝うことができたことを本当にうれしく感じています。ガスリー選手の非常に安定した力強い走りに加え、チームのレース戦略もきっちりと機能し、我々のパワーユニットも含め、全員が力を合わせて努力してきた結果だと思います。キャリア初勝利を飾ったガスリー選手、そしてチームのメンバーにおめでとうの言葉を贈りたいと思います。ホンダとして、ここまで彼らと一緒に歩みを進めてこられたことを誇りに感じています。そしてここまで応援してくれたファンの皆さまに、感謝の言葉を贈ります。一方で、今週末はパワーユニットのモード制限に初めて対応するレースとなり、我々はさまざまなことを経験しました。特にレッドブルのフェルスタッペン選手はパワーユニットのトラブルによりリタイアという結果となり、厳しい問題も発生してしまいました。ここからこの問題の解析を進めるとともに、今週末のデータ、状況を見直し、来週のムジェロでのレースに備えたいと思います」とコメント。トラブルの詳細な原因はわかっていないが、アルファタウリは好調だっただけに不可解だ。

一方、アルファタウリのフランツ・トスト代表は「 戦略面で、チームはセーフティカー導入の1周前にピエールをピットインさせるという素晴らしい仕事をしてくれました。この時点では正しいかどうかは分かりませんでしたが、あとから見てみれば、これによりピエールは赤旗中断後に3番手からスタートし、1コーナーでストロール選手をオーバーテイクできたわけなので正しい判断でした。その後、ハミルトン選手がペナルティにより後退したことで、ピエールはトップを走ることになり、後ろから迫るサインツ選手をチェッカーまで抑えきりました。ピエールは非常に素晴らしい仕事をしてくれたと思います。ダニール(クビアト)も、タイヤ交換で若干の不運はありましたが、とても力強いレースをして、ポイント圏内でフィニッシュしました。もう少し遅いタイミングでピットインしたかった部分はありますが、それでもトップ10でレースを終えてくれました。今日の結果は考えうる最高のものですし、本当にうれしく思っています。また、最後にはなりますが、素晴らしいエンジンとチームワークを見せてくれたホンダにも感謝の言葉を贈ります。ここからは気持ちをムジェロに切り替え、次もいいレースを見せたいと思います」と語っている。

ホンダの各ドライバーはレース後のインタビューで次のように応えている。

ピエール・ガスリー

画像: ピエール・ガスリー(アルファタウリ・ホンダ) 予選10位、決勝優勝。早めのタイヤ交換で上位に進出、ビッグチャンスをつかむとそれを結果に結びつけた。

ピエール・ガスリー(アルファタウリ・ホンダ) 予選10位、決勝優勝。早めのタイヤ交換で上位に進出、ビッグチャンスをつかむとそれを結果に結びつけた。

「最高です!言葉にならず、信じられない気分です!この1年半、さまざまな苦しいことがありましたが、この結果は予想を超えていました。アルファタウリに戻って以来、懸命に取り組んできました。一日ずつ、そしてレースごとに僕らは成長し、少しずつですが強くなってきました。チームは、昨年のブラジルで僕に初表彰台をもたらしてくれましたが、今日は僕らのホームであるイタリアで、しかもモンツァで、ついに初勝利を挙げることができました。僕は決してあきらめませんでしたし、F1で成功するためにすべてを捧げて戦ってきました。そして、今日は最高の一日になりました。首位を走っていたとき、このポジションを失いたくないという強い気持ちがありました。もし2位になっていたら、満足できなかったと思います。簡単ではありませんでしたが、持てる力をすべて出しきり、背後のマシンにスリップストリームを与えないように激しくプッシュしました。最後の5周は特に厳しい戦いだったので、10回はピンチがあったと思いますが、とにかくプッシュしました。タイヤは終わってしまっていましたが、なんとしても勝利をつかみたかったのです。自分がF1レースのウイナーと呼ばれるのは、まだ不思議な気分です。現場と、ファエンツァ、ビスターのファクトリー全員に感謝を贈ります。みんなにとって最高の一日になりました。ファエンツァにある本社メンバーは、ほとんどがイタリア人なので、ここイタリアGPでの優勝は格別なものです」

ダニール・クビアト

画像: ダニール・クビアト(アルファタウリ・ホンダ)予選11位、決勝9位。ハードタイヤでの決勝スタートはセーフティカーの導入でうまく機能しなかったが、9位のポジションを守ってフィニッシュ。

ダニール・クビアト(アルファタウリ・ホンダ)予選11位、決勝9位。ハードタイヤでの決勝スタートはセーフティカーの導入でうまく機能しなかったが、9位のポジションを守ってフィニッシュ。

「今日はいろいろなことがあったレースでした。ピエールの優勝はとてもうれしく思っていますし、彼とチームにおめでとうの言葉を贈ります。本当に素晴らしい一日になりました。僕自身のレースについては、タイヤ選択とセーフティカーのタイミングを考慮すれば、9位が望みうる最高の結果だったと思います。ピエールとは逆に、今日は僕にとっては戦略が裏目に出てしまったレースになりました。彼がこのチャンスを結果につなげたことは素晴らしいですし、うれしく感じています。同じようなチャンスが自分にめぐって来なかったことは残念ですが、自分自身のレースには満足していますし、いいレースができたとも思っています」

マックス・フェルスタッペン

画像: マックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ) 予選5位、決勝リタイア。マシンのセッティングに苦しみ、第2戦以降続けてきた連続表彰台を逃した。

マックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ) 予選5位、決勝リタイア。マシンのセッティングに苦しみ、第2戦以降続けてきた連続表彰台を逃した。

「今日はすべてが少しずつ悪い方向に行ってしまいました。スタートではクラッチをつないだ瞬間にホイールスピンを喫してポジションを落とし、混み合った中でオーバーテイクも不可能な状況になってしまいました。赤旗中断の後は、リスタートでエンジンに問題を抱え、それを解決しようとしましたが、うまくいかずにリタイアとなりました。この結果には、もちろんがっかりしています。今回のレースは忘れて、初開催となる次戦のエキサイティングなサーキットへと切り替えなければなりません。僕らのレースウイークとはなりませんでしたが、ピエールとアルファタウリがウイークを通じてかなりの速さを発揮し、ここイタリアでとても感動的な結果をつかみ取ってくれたことがうれしいです。彼らは最高のメンバーがそろっていますし、今夜の快挙を楽しんでくれることを願っています」

アレクサンダー・アルボン

画像: アレクサンダー・アルボン(レッドブル・ホンダ) 予選9位、決勝15位。序盤にマシンにダメージを受けてペースが上がらず、ずるずる後退。それでもこの日の経験とデータは次戦につながるはず。

アレクサンダー・アルボン(レッドブル・ホンダ) 予選9位、決勝15位。序盤にマシンにダメージを受けてペースが上がらず、ずるずる後退。それでもこの日の経験とデータは次戦につながるはず。

「楽しいレースではありませんでしたし、15位という結果は、僕らのパッケージの力を正確に表したものではありません。ターン1での接触でフロアの左側に多くのダメージを負ったことに加え、タイムペナルティを科されことで、僕のレースはほぼ終わってしまいました。グリップを得られず、ダウンフォースも失い、苦しみながらの長いレースになりました。チーム全体にとって厳しいレースウイークとなる可能性はあると思っていましたが、今日の状況はそれに拍車をかけてしまいました。優勝したアルファタウリにとってはとてもいい一日になったので、僕らもとてもうれしいです。僕らは次のムジェロに向けて気持ちを切り替えて取り組んでいかなければなりません」

次戦は初開催となるムジェロ・サーキットでのトスカーナGP。モンツァに続く超高速コースと言われているが、はたしてどんなグランプリとなるのか。このグランプリは今季3度目の3連戦の3戦目。今週末、9月11日〜13日に行われる。

2020年第8戦イタリアGP 決勝 結果

優勝 10 P.ガスリー (アルファタウリ・ホンダ) 53周
2位 55 C.サインツ (マクラーレン・ルノー)+0.415s
3位 18 L.ストロール (レーシングポイント・メルセデス)+3.358s
4位 4 L.ノリス(マクラーレン・ルノー)+6.000s
5位 77 V.ボッタス(メルセデスAMG)+7.108s
6位 3 D.リカルド(ルノー)+8.391s
7位 44 L.ハミルトン(メルセデスAMG)+17.245s
8位 31 E.オコン(ルノー)+18.691s
9位 26 D.クビアト(アルファタウリ・ホンダ)+22.208s
10位 11 S.ペレス (レーシングポイント・メルセデス)+23.224s

15位 23 A.アルボン (レッドブル・ホンダ)+37.533s
リタイア 33 M.フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)

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