今から20年ほど前、新しい世紀に変わる頃。クルマに対する考え方も変わり始めていた。そんな時代の輸入車ニューモデルのインプレッションを当時の写真と記事で振り返ってみよう。今回は「ボルボ S60」だ。

ボルボ S60(2001年)

画像: クーペのようなサイドシルエット。T-5はセットオプションの17インチタイヤ&ホイールを装着していた。

クーペのようなサイドシルエット。T-5はセットオプションの17インチタイヤ&ホイールを装着していた。

S60はそれまでのボルボとはまったく異なるモデルだ。ボルボといえば「四角いクルマ」というイメージだったのだが、曲線を多用した4ドア クーペとも呼べるスタイリッシュなスポーティサルーンとして登場した。

写真で見るとちょっと奇異にも思えたスタイリングだが、実車を目の当たりにすると悪くない。特徴的なサイドウインドーとドアの段差は、力強さとサイドクラッシュに対する安心感すら与えてくれる。クーペ的なシルエットゆえリアシートは狭いのではないかと思われたが、乗り込むときにこそ頭まわりに気を遣うものの、居住性に不満はない。

むしろロングルーフのおかげで、リアウインドーからの日射しが頭に当たることもないのはうれしい。後方視界を稼ぐためリアシートのヘッドレストは可倒式なのだが、前方に倒れるので人が乗るときは忘れずに起こさなければならない。このあたりは、ボルボならではの配慮といえよう。

今回の試乗コースは、鹿児島空港に近い隼人町から九州自動車道〜指宿スカイラインを経て開聞岳の麓までの約100km。午前中にS60の中核グレードである2.4Tでこのコースを走り、午後はハイパワーバージョンのT-5で逆走した。市街地走行の区間こそ少なかったが、ハイウエイやワインディング走行はけっこう満喫できた。S60の走りは、まさにスポーティサルーンの名に恥じないものだった。

画像: これは2.4Tだが、T-5もエンジン外観はほとんど変わらない。直5の横置きなのでエンジンルームの左右はいっぱい。

これは2.4Tだが、T-5もエンジン外観はほとんど変わらない。直5の横置きなのでエンジンルームの左右はいっぱい。

ギアトロニックATのマニュアル操作は、レスポンスがいい。減速シフトを忘れて停止しても、1か2に自動的にダウンする。だが自動アップはしないのは、むしろエンジンパワーをフルに使いたい人にはありがたいだろう。中速コーナーの続く道では、2.4Tはギアトロニックを駆使して3000rpm以上に回転を保つと走りが楽しい。もちろんDレンジに入れっぱなしで走ったとしても、とくに不満を感じることはないだろう。

T-5は、2.4Tと同じ車重ながら最高出力で50ps、最大トルクで4.6kgmもパワーアップされているから、ワインディングをさらにハイペースで楽しんで走ることができる。ウエット路面など、パワーで前輪のグリップを失いやすい路面では、腕に自信のない人はトラクションコントロールなしには走れないかもしれない。

ニュートラルステアなハンドリングで、その気になって飛ばしても恐怖感はない。17インチを履いたT-5でも足まわりは硬すぎることはなく、乗り心地は悪くない。ハイウエイでも「四角い」ボルボだった頃より風切り音は圧倒的に減り、直進安定性も申し分ない。唯一の欠点は、直5エンジンの横置きが影響している小回り性の悪さだろうか(最小回転半径は2.4Tが5.3m、T-5が5.8m)。

美しいスタイルに居住性も良く、装備も充実しており、走りもライバルたちを十分に震撼させるものでありながら楽しい。ヨーロピアン ミドルサルーンの購入を検討しているなら、ぜひオススメしたい1台だ。パワーと価格のバランスを考えると、ベストチョイスは2.4Tだろう。

画像: 張り出したショルダーはデザイン上のアクセントであるとともにサイドクラッシュ時の安全性を高めている。

張り出したショルダーはデザイン上のアクセントであるとともにサイドクラッシュ時の安全性を高めている。

■ボルボS60 2.4T 主要諸元

●全長×全幅×全高:4575×1815×1430mm
●ホイールベース:2715mm
●車両重量:1540kg
●エンジン形式:直5・DOHCターボ・横置きFF
●排気量:2434cc
●最高出力:147kW(200ps)/6000rpm
●最大トルク:285Nm(29.1kgm)/1800-5000rpm
●トランスミッション:5速AT(ギアトロニック)
●タイヤ:205/55R16
●車両価格(当時):465万円

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