ヒルクライムにおける黄金時代よ! 再び!?
日本ではあまり馴染みのない競技、といえるアメリカンスタイルのヒルクライムですが、急勾配の坂を全開で上り切る! というシンプルなこのモータースポーツは長年アメリカの人々に愛されてきました。

AMA殿堂入りを果たしている名ライダー、フロイド・エムデが駆るインディアン。彼は元々TT競技などで活躍した選手でしたが、第二次大戦後の1948年にクラスAのヒルクライム競技に挑戦しています。彼はこの、オーシャンサイド(カリフォルニア州)でのヒルクライムで勝利することはできませんでしたが、この2週間後に開催されたデイトナ200では、見事勝利しています(余談ですが、彼の息子のドンは、1972年のデイトナ200マイルにヤマハTR3に乗り勝利しています)。
sandiegoracingmuseum.weebly.com1901年創立のインディアンは、生まれて間もない頃からモータースポーツ活動に熱心だったアメリカンブランドのひとつでした。非英国車として初のマン島TT勝利(1911年)、ボードトラックでの活躍・・・そして1930年代の大恐慌を生き残ってからの時代も、同じく生き残り組のハーレーダビッドソンを相手に、ダートトラックやヒルクライムの分野で戦いました。
その後1950年代に、自社製Vツイン車を販売するメーカーとしてのインディアンは消滅しますが、現代に復活したインディアンは2017年にFTR750でダートトラックのワークス活動を開始。同年、見事ジャレッド・ミーズが60年以上ぶりとなる、インディアンによるチャンピオンシップ獲得を達成したのは記憶に新しいです。
車両製作には、あのS&Sが協力!
そして2020年、インディアンはAMAプロヒルクライムに新設されるツインズクラスにFTR750改を投入することで、80年以上ぶりにヒルクライムでの活動を再開させることになりました!

ダートトラック用のFTR750をベースに作られたヒルクライムバイク。専用フロントエンド、延長されたスイングアーム、ノビータイヤ、設計変更されたテール部、ヒルクライム用のリクルス製クラッチなどが採用されています。
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エキゾーストを特注で製作したのは、チューニングパーツやエンジンの製造販売などで著名なS&Sです。ライダーのポジションを邪魔しないように、工夫した形状になっているのが大きな特徴です。
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起用されるライダーは、1シーズンで3つのナショナルAMAプロヒルクライムタイトルをすべて獲得した、最初のアメリカンライダーとなった名手、ジョン "フライング" コースター(右から3番目)です。
www.indianmotorcycle.comAMAプロヒルクライムにツインズクラスを新設したのは、ずばりインディアンのような伝統あるブランドを「丘」へ戻す・・・ことを意図しており、そのことはAMAプロヒルクライムのディレクターであるロブ・レッドマンのコメントのなかにも、包み隠されることはありませんでした。
紹介するYouTube動画には、新生インディアンヒルクライムワークスチームの面々、FTR750改の製作の様子、ダイノテスト、そしてヒルクライムのテスト走行の模様が収録されています。一体インディアンが久々のヒルクライムで、どのような活躍をみせるのか? 続報をご期待ください!!
Indian Motorcycle Builds Custom Hillclimb FTR - Indian Motorcycle
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