フロリダ州バーバービル、"全米最速のハーフマイルトラック" に、ソーシャルディスタンシングと新しい生活様式を強く意識しながら、マスク着用のアメリカントップライダーたちが集結。異例づくめのAFT・2020シーズンは先週末いよいよ幕開けしました。今期からの新たなルールは、COVID-19対策ばかりではありません。開幕2レースのスーパーツインズ決勝周回数は、12分 + 2周で37周と38周。伝統的なプロレース = 決勝25周のフォーマットはこの先、過去のものとなるのでしょうか?

決勝25周 = 50ターンの各ライダーの戦略と駆け引きが見所のひとつでした

WELCOME RACE FANS!! ダートトラックライダー/FEVHOTSレースプロモーターのハヤシです。現在のAFT: アメリカン・フラットトラックの源流は、実に1930年代初頭に始まった、由緒正しき全米ダートトラック王者決定戦 "グランド・ナショナル・チャンピオンシップ" 。

当初のグランドナショナルは全米から腕自慢の猛者たちが集う、年に一度のビッグイベントとして、イリノイ州のステートフェアグラウンド内1,600m競馬場・・・これが伝統のスプリングフィールド・マイルの由来・・・で開催されていました。

1954年以降は今日まで脈々とつづく、マイルレース・ハーフマイル・TT (※ショートトラックは1961年から追加) でのコンバインド・ポイントによって、年間シリーズ戦として争われる形式となりましたが、その周回数は花形であるマイル戦をベースに100周 = 100マイルからはじまり、マシンの耐久性 = レース安全性の確保・興行としての (客を退屈させない) 魅力・のちにはTV放映のCM間の尺の兼ね合いなどから、徐々に 50周 → 25周と減じられ、この40年ほどは25周が長く固定化したレースフォーマットでした。ちなみにアマチュアレースではさらに半分の12周〜18周程度が一般的です。

主だった変更点は昨年7月の当コラムを見ていただくことにして、先週末からソロソロと足を踏み出した2020シーズン、AFTトップカテゴリー・スーパーツインズの決勝レースは、スーパークロスなどが採用するスタイルと同じ、12分 + 2周という新フォーマットで競われることになっています。

レースはどちらもレースナンバー9 ジャレッド・ミースが勝利。1周20秒台のハーフマイルトラック、決勝周回数は両日それぞれ37周と38周でした。レース2のハイライト映像は以下からどうぞ。

画像: American Flat Track: 2020 Volusia Half-Mile 2 | EXTENDED HIGHLIGHTS | 7/18/20 Motorsports on NBC youtu.be

American Flat Track: 2020 Volusia Half-Mile 2 | EXTENDED HIGHLIGHTS | 7/18/20 Motorsports on NBC

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これまでの伝統的なフォーマット、あらかじめ決まった周回数25周・・・50のターンと50のストレートによって構成・・・での攻防のなかで光る、レースディスタンスを通したライダー自身のデザイン・・・序盤や中盤でのポジション取りやタイヤトレッドの温存・そしてラストスパート数周での攻防に至る平均車速コントロールなどなど・・・は、あと数周と言われるまでローリングし続け、鐘がなったら一気にスパート、という今期からのニュースタイルより、奥深いものを感じますが・・・。

ダートトラックレースタイヤ、右側減らないから安上がりって言ったの誰?

コラム冒頭の写真は、450ccDTXで競われるAFTシングルスに今期参戦しているレースナンバー17 ヘンリー・ワイルス選手の決勝後のリアタイヤの状態です。8分 + 2周の2戦を25周・26周で争われたこちらのカテゴリー、この時間距離の全開走行が今回が公式戦初お目見えとなった新スペックタイヤ、US DUNLOP DT4にどのようなダメージを与えるか、伺い知ることのできる貴重な実例といえます。

よく減るタイヤは走り手の懐を痛めてくれますが "仕事をしている証拠" と言えなくもありません。エンジンパワーを大地へと正しく伝え切れず、空転が多くなることで摩耗が激しく進む場合は乗り方やマシンセットアップで改善の余地もあるでしょう。走っても走っても減らないタイヤ、は路面を捉え切れないほど表面が硬いか、車両が非力で摩耗に至らないだけかもしれません。

先日のショートトラック・タイマン勝負 (まだ見てません?) でも圧倒的なパフォーマンスで魅せてくれたジャレッド・ミース。今のところあまり長所の見えてこない "時間 + 2周" という新たなレースフォーマットにも素早く順応し、マルチタイム・チャンピオンの面目躍如といったところです。

画像: 状況により各選手が見せるフォームの差やマシンセットアップの違いが最も顕著なのはハーフマイルかも?

状況により各選手が見せるフォームの差やマシンセットアップの違いが最も顕著なのはハーフマイルかも?

ようやく始まった新シーズンですが、次戦のスケジュールは8月末まで間が空き、実は会場もまだ決まっていません (北東部のどこか?) 。AFT苦難の日々は続きますが、見る側の愉しみは増えますね!

ではまた金曜日の "Flat Track Friday!!" でお目にかかりましょう!

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