2020年2月、オペルは久々に日本での事業展開を発表した。今、そのラインナップにはどんなクルマたちが揃っているのか。本国で代表的なモデルをチェック、その実力を検証した。(Motor Magazine 2020年8月号より)

コルサEは機能重視のコンパクトEV

オペルの本社は私のドイツオフィスから車で30分ほど、リュセルスハイムという町にある。本社ショールームは古いレンガ作りで伝統を感じさせるが、線路の反対側にあるR&Dセンターは対照的に近代的なビルだ。実は、数年前までは定期的に取材訪問をしていた。最近では、関係は疎遠となってしまったが、ジャーマンカーオブザイヤーの選考委員として定期的なコンタクトは保っている。

そして今回、日本再上陸のニュースを聞いていたところに、旧知のオペル広報部長のハンプレヒト氏から久しぶりに「そろそろ新しいラインナップに試乗してみませんか?」という誘いが届いたわけである。

まずはフォルクスワーゲンポロとほぼ同じサイズのハイブリッドモデル、コルサEからチェックしていこう。ベースはプジョー208と共通するCMPプラットフォームで、全長4060mm×全幅1770mm×全高1430mmとなる。エクステリアは当然ながら、インテリアもデザイン優先のフランス車とは異なり、機能性を重視しているのは好感が持てる。

7インチのディスプレイ、オプションでスマートフォンと連携するマルチメディアナビゲーションシステムも装備、8年保証のバッテリーは18個のモジュールからなるCALT製で50kWhの容量、345kgの重量がある。100kWのモーター出力で最高速度は150km/h、街中ではもちろんアウトバーンでも十分な性能を発揮すると言えるだろう。

航続距離は337km(WLTP)でトランクは若干小さく267Lだが、長距離旅行を望む車種ではないので十分だろう。走行フィールは低重心のおかげでサイズの割に安定しており、キビキビしたハンドリングが味わえる。価格は3万650ユーロ(約367万円)と当然割高である。一方、ガソリン仕様のコルサ1・2もキビキビした動力性能で、2019年のジャーマンカーオブザイヤーではベスト5に入っている。

画像: コルサEの満充電時航続距離は337km(WLTP)。

コルサEの満充電時航続距離は337km(WLTP)。

日本で注目を浴びそうなグランドランドXハイブリッド4

平均走行距離を電動走行でカバーするPHEVクロスオーバー、グランドランドXハイブリッド4も、注目に値するモデルだ。前後にそれぞれ109psを発生する電気モーターを配置、さらにフロントの1.6LL直4ガソリンターボエンジンを組み合わせて、システム出力300psを発生する。

全長4480mmで車両重量が1.9トン近いにもかかわらず、8速ATで0→100km/hが6.1秒、最高速度は235km/hと十分なダイナミック性能を持っている。FWDではそれぞれ8.9秒と225km/hとなる。

両モデルの価格は4万3440ユーロ(約520万円)から5万1165ユーロ(約600万円)と少々高額となる。走りの印象は嵩張る車重と高い車高のためにちょっともさっとした感じで、コーナーではスポーティとは言えない挙動だった。さらにこのセグメントには三菱アウトランダーPHEVが控えており、ひと筋縄では行かないだろう。

こうして何台かの日本上陸可能性があるオペル車に乗って感じたことだが、自動車が、限りなく趣味嗜好品である日本ではやはりブランドイメージが確立されていない。すなわち「なぜオペルを買ったのか!」と言う理由づけに乏しいのだ。まだドイツで開発が続いていればまだしも、もし親会社のFCAが介入してオペルの開発もデトロイト/アーバンヒルズへと統一した場合、ドイツ的な味付けが失われる可能性も出てくる。これは昔のGM時代で経験済みだ。

こうしたさまざまな状況を分析すると残念ながら無責任に、「大丈夫です。また日本で頑張ってください」とは言えない。もう一度再上陸をした場合のディーラー(文:木村好宏)

画像: グランドランドX ハイブリッド4。電気モーターを2基、4WDシステムを備えたハイスペックモデルで、パフォーマンスは高い。

グランドランドX ハイブリッド4。電気モーターを2基、4WDシステムを備えたハイスペックモデルで、パフォーマンスは高い。

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