3月に開催されるはずだったオーストラリアGPから4カ月、仕切り直しの開幕戦となるオーストリアGPのレース開始準備が整った。チャンピオンの有力候補と言われるレッドブル・ホンダも現地入り。アルファタウリ・ホンダ(昨年までのトロロッソ・ホンダ)も好調のようだ。新型コロナウイルスによる休止からのいきなりの全開バトルは、どんなドラマを生み出すのか。開幕直前の情報をレポートする。

ホンダは開幕戦にいきなり新スペックのエンジンを投入

レッドブル・ホンダ、アルファタウリ・ホンダにとって楽しみなシーズンが始まろうとしている。2020年の開幕戦が行われるのはレッドブルの地元オーストリア・レッドブルリンク。昨年のオーストリアGPでは、ホンダのパワーユニットを搭載するレッドブル・ホンダのマックス・フェルスタッペンが劇的な逆転優勝を飾っている。この勝利はホンダにとって13年ぶりのF1優勝という節目の1勝となったが、その後、フェルスタッペンはさらに2勝を重ねてドライバーズランキングで3位に食い込んだ。

昨年はシーズン序盤にメルセデスAMGに大きなリードを作られてしまったが、シーズン終盤はレッドブル・ホンダがほぼ互角の戦いと言えるところまで盛り返した。今年は大きなレギュレーション変更もなく、上位チームにドライバー交代もないので、昨年のシーズン終盤の流れがおおむね続くと見られており、勢いはレッドブル・ホンダにあるとも言える。

注目はやはり、メルセデスAMGとレッドブル・ホンダの激突。3月に行われたウインターテストでは両チームとも好調だったが、とくにレッドブル・ホンダのフェルスタッペンは「バルセロナのテストでははっきりと手ごたえが感じられ、いい準備ができました。マシンの感触はずっとよく文句なしに満足しています。チャンピオンにチャレンジするために必要なものはすべて揃いました」と語るなど、史上最年少の王座獲得に向けて意欲を見せていた。

そして、新型コロナウイルスの影響でシーズンスケジュールが大幅に変更になったことは、フェルスタッペンにとってむしろ追い風となりそうだ。開幕第1戦、第2戦が連続開催されるオーストリアGP、第3戦のハンガリーGPはフェルスタッペンが得意とするグランプリであり、チャンピオン争いの主導権を握る絶好のチャンスとなる。メルセデスAMGのタイトル連覇を止めることができるのか、とくに開幕戦、そして開幕3戦の走りに注目が集まる。

なお、グランプリ開催にあたって関係者は感染対策に万全の体制でのぞみ、それぞれのチームは別々のホテルに宿泊、ホスピタリティチームは参加しない。また、ピットウォールでのセッション中はフェイスマスクを着用、無観客のままでスケージュルが進む中、グリッドや表彰台でのセレモニーなどは行わず、これまでとは異なるレースになる。今後については、新しいレギュレーションの導入を遅らせることやさらなるコスト制限もすでに決定している。

田辺豊治ホンダ F1テクニカルディレクターは直前に迫るオーストリアGPについて「当初開幕戦となるはずだった3月のオーストラリアGPが走行中止になって以降、長い期間を経て、再びサーキットに戻れることをうれしく思っています。この中断期間中もレギュレーションに沿って初戦に向けた準備を進めてきました。このレースで使用するパワーユニットはオーストラリアで使用する予定だったものから、信頼性とパフォーマンス両面でのアップデートが施された仕様になります。いまだにウィルス感染が収まりきっていない状況下でここから欧州各地を転戦する戦いが始まります。第1戦、第2戦が同じオーストリアのレッドブルリンクで行われるため、移動の負担はいくらか軽減されますが、多くの制約をともなう形での3週連続のレース開催は、精神的・肉体的にもタフなものになると考えています。レッドブルリンクは、昨年ホンダがF1復帰後初優勝を挙げた地で、我々にとって相性のいいサーキットです。今年はアストンマーチティン・レッドブル・レーシング、スクーデリア・アルファタウリ・ホンダとともにシーズン通して昨年よりもさらに上の成績を目指して戦いますので、その目標に向かって勢いをつけるべく、開幕戦で好成績を挙げられるようにチーム一丸となって挑みます」とコメント。レッドブル・ホンダ、アルファタウリ・ホンダはオーストリアGPに向けて次のように語っている。

アストンマーチティン・レッドブル・レーシング

マシン:レッドブルRB16
エンジン:ホンダRA620H
代表:クリチャン・ホーナー33

画像: レッドブルRB16 ・ホンダ。6月25日、イギリス・シルバーストンで開幕直前テストを行った。

レッドブルRB16 ・ホンダ。6月25日、イギリス・シルバーストンで開幕直前テストを行った。

クリスチャン・ホーナーチーム代表

「去年の11月以来、7カ月間もレースをしていなかった状態から、一気にレースが再開されます。今回のように短期間に多くのレースが連続する場合、マシンの信頼性が重要になってきます。再開直後は激しい展開もあるでしょうし、私たちはチャンスを最大限に活かすことが重要になってきます。今年は異例の幕開けとなりますが、過去6年、圧倒的な強さを誇るメルセデスに挑戦するためにはそれが必要なことなのかもしれません。シーズン前のテストではメルセデスが依然として好調でしたが、今年の私たちのマシンにはポテンシャルがあると感じていますし、期待しています。私は心からドライバーたちを信じ、勝利を祈っています。シーズン前に行われたザントフォールトとバルセロナでのテストやモントリオールでの結果を踏まえ、マシンはさらにアップデートが行われています。ホンダとの関係は2年目に入り、チーム内での一体感が増してきました。今年はこれまでとは少し違ったプレッシャーとダイナミクスがもたらされると思いますが、2020年はすばらしいシーズンになるでしょう」

マックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)

「多くの人にとって非常に困難な時なので、今はレースに復帰できるだけでうれしいです。今シーズン最初の2戦がホームで行われることもすばらしいことですし、特別な瞬間になることは間違いないです。もちろん、応援してくれるファンがいないレッドブルリンクは寂しく感じるでしょうが、テレビを見ている人たちのためにも、いいレースを見せられるように頑張りたいです。開幕戦は今のところどのチームが勝つかは分かりません。僕はドライビングに集中して、マシンのパフォーマンスを最大限引き出すことに専念します。今年の目標はチャンピオンです。このサーキットでの3連勝については意識していません。僕にとって最も重要なのは、速いマシンに乗り、自分のベストを尽くすことです。 ここが得意のコースだとも思っていません。去年は非常に暑い中で行われ、僕たちのエンジンは冷却面でアドバンテージがありました。だから今年は簡単なレースにならないと思っていますし、今回もメルセデスは非常に強いと思います。フェラーリの強さもわかりませんし、熾烈な優勝争いになると思いますが頑張ります。メルセデスは今までずっと絶対的な強さを誇るチームでした。勝つのは簡単ではないでしょうが、僕たちもチームとして多くのことを学び、本当に強くなれたと思っています。今シーズンはいいレースができるはずです。差を縮める努力をしますし、うまくいけば、彼らに勝てるでしょう」

画像: 33 マックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ、国籍オランダ、1997年9月30日ベルギー・ハッセル生まれ、22歳、優勝8回、2019年ドライバーズランキング3位)

33 マックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ、国籍オランダ、1997年9月30日ベルギー・ハッセル生まれ、22歳、優勝8回、2019年ドライバーズランキング3位)

アレクサンダー・アルボン(レッドブル・ホンダ)

「なにもないスケジュールから、今まで経験したことがないほど忙しいスケジュールになり、レースに関係する全員にとって、大変な日々になるでしょう。レースの雰囲気も違います。レースに欠かせない存在であるファンが会場にいないことも、その原因の一つです。毎週のようにレースが続くことは、チーム全員にとって辛いことで、最初の数戦をしっかりとスタートすることが重要です。どのチームもまずは情報を集めることになると思いますが、最初にレースのリズムに乗ったチームが勝てると思います。最初のレースで、可能な限りのエネルギーを持って臨めたチームが、そのあとも強いでしょう。もし初戦でトップになったチームと差が大きければ、そのラップタイムを取り戻すのは難しいです。レッドブルリンクはコーナー数が少なく、マシンの性能を最大限に活用して差をつけることは難しいので予選は拮抗すると思いますが、レースではなにが起きるか分かりません。柔軟性を持って最大限の力を発揮することが重要だと思います」

画像: 23 アレクサンダー・アルボン(レッドブル・ホンダ、国籍タイ、1996年3月23日ロンドン生まれ、23歳、最高位4位フィニッシュ、2019年ドライバーズランキング8位)

23 アレクサンダー・アルボン(レッドブル・ホンダ、国籍タイ、1996年3月23日ロンドン生まれ、23歳、最高位4位フィニッシュ、2019年ドライバーズランキング8位)

スクーデリア・アルファタウリ・ホンダ

マシン:アルファタウリAT01
エンジン:ホンダRA620H
代表:フランツ・トスト

画像: アルファタウリAT01 ・ホンダ。6月24日、イタリア・イモラで開幕戦直前最終チェックを行った。

アルファタウリAT01 ・ホンダ。6月24日、イタリア・イモラで開幕戦直前最終チェックを行った。

ダニール・クビアト(アルファタウリ・ホンダ)

「レッドブルリンクは好きなサーキットです。高速コーナーが多い伝統的なレイアウトで、ここでのレースは楽しいです。ダブルヘッダーなので、長い間サーキットにいることになるでしょう。田園地帯の素敵な場所で、新鮮な空気の中でトレーニングをすることができます。今シーズンの展開については、レースごとに判断していくことになるでしょう。大会の運営側が安全だと判断した場所でレースをしていきます。大会の管理状況や運営カレンダーを信頼していますし、不測の事態が起こらないことを願っています。コース上でのマスクの着用もヘイローが導入されたときのようにすぐに慣れると思います。あとは無観客レースにも慣れる必要があります。無人の観客席は奇妙に感じるでしょう。どんなスポーツでも観衆は大事ですから」

画像: 26 ダニール・クビアト(アルファタウリ・ホンダ、国籍ロシア、1994年4月26日ロシア・ウーファ生まれ、25歳、最高位2位フィニッシュ、2019年ドライバーズランキング13位)

26 ダニール・クビアト(アルファタウリ・ホンダ、国籍ロシア、1994年4月26日ロシア・ウーファ生まれ、25歳、最高位2位フィニッシュ、2019年ドライバーズランキング13位)

ピエール・ガスリー(アルファタウリ・ホンダ)

「レースが再開されるのは最高の気分です。これからは毎週のようにレースが行われるので忙しくなるでしょう。今はそのことにワクワクしていますよ。最初の数レースが無観客で行われるのは残念ですが、シーズンをできる限り早く、そして安全にスタートすることを優先したのだと思います。あと数カ月で事態が改善することを期待しています。安全面では万全の措置が取られるでしょう。移動や人との会話においては厳格に制限されていて、健康面ではしっかりと管理されています。一筋縄ではいきませんが、必要な予防措置はすべて講じています。我々ドライバーがマシンをドライブしている場面は今までと全く変わらないでしょう。しかし、その裏側ではさまざまな対応が行われているのです」

画像: 10 ピエール・ガスリー(アルファタウリ・ホンダ、国籍フランス、1996年2月7日フランス・ローエン生まれ、24歳、最高位2位フィニッシュ、2019年ドライバーズランキング7位)

10 ピエール・ガスリー(アルファタウリ・ホンダ、国籍フランス、1996年2月7日フランス・ローエン生まれ、24歳、最高位2位フィニッシュ、2019年ドライバーズランキング7位)

2020年F1開幕戦オーストリアGPは、7月3日11時(日本時間18時)からのフリー走行1回目で開幕、予選は7月4日15時(日本時間22時)、決勝は7月5日15時10分(日本時間22時10分)に開始される。

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