2003年にデビューし合理的なコンパクトミニバンとしてちまち人気者となったトゥーラン(日本名ゴルフトゥーラン)が、2006年に早くも大幅なマイナーチェンジを受けている。この時、トゥーランはどんな進化を遂げたのか。イタリア・ローマで開催された国際試乗会からその内容を振り返ってみよう。(以下の試乗記は、Motor Magazine 2007年2月号より)

注目はパワープラント、6速DSGの採用も

ルノー セニックやオペル ザフィーラに続いて、2003年にフォルクスワーゲンが満を持して発表したのがトゥーランだった。このコンパクトミニバンは期待どおり、いやそれ以上の人気を集め、2005年12月には早くも累計50万台を達成、現在でも年平均15万台を生産し、欧州3大コンパクトミニバンのひとつに数えられている。ドイツでは、このセグメントで18.3%のシェアを確保し、ザフィーラを抜いてナンバーワンの座についている。そのトップランナーが早くもフェイスリフトを行った。

ローマで開催された欧州試乗会で初めて見たニュートゥーランには、ちょっと驚かされた。まるで、これまで化粧っ気のまったくなかった働きものの娘さんが都会に出てメイクアップを覚えた、というような変貌ぶりだったのだ。

これまでは機能優先でポッカリと開いていたラジエターグリルにはフォルクスワーゲンのシンボルであるワッペングリルを形成するクロームメッキが施され、鼻筋が通って、左右の目にはパサート風のアイラインが施された。またリアエンドも左右のコンビランプのデザインが変わっている。まるでニューモデルのような美しさだ。

インテリアにはほとんど変化はないが、これまで以上に作り込みの良さが目立っている。

しかし、それ以上に注目すべきはパワープラントである。ニュートゥーランには、205年に発表されて以来、ドイツをはじめ各国で技術を高く評価されるTSI(ツインチャージャー)が塔載されたのである。しかも、これまでの140psチューンに加えて170psバージョンも登場した。加えて、6速DSG(ダイレクト・シフト・ギアボックス)の採用もニュースと言えるだろう。

画像: 2006年に大幅な改良を受けたトゥーラン。内外装の変更も行われたが、新パワーユニットやDSG、パークアシストなど新技術搭載をメインとしたフォルクスワーゲンらしい実用本位のものだった。

2006年に大幅な改良を受けたトゥーラン。内外装の変更も行われたが、新パワーユニットやDSG、パークアシストなど新技術搭載をメインとしたフォルクスワーゲンらしい実用本位のものだった。

驚くほどスポーティでスタビリティも高い

欧州の試乗会は最近スケジュールがタイトで、空港を拠点に日帰りで開催されることが多い。今回もローマ空港から折り返し地点までのおよそ350kmほどを往復するルートが設定されていた。

まずはベース仕様の1.4TSIに乗ることにした。1.4Lガソリンエンジンと聞くと、せいぜい75ps程度だろうと想像してしまうが、この1.4Lガソリンエンジンは最高出力140ps(5600rpm)、最大トルクは220Nm(1500~4000rpm)を発生している。

まるで2Lエンジンに匹敵するパワーで、スタートから100km/hに達するまでに9.8秒、最高速度は200km/hに達する。しかも燃費はEU平均値でリッター当たり13.5km、このデータは1.6Lエンジン並みである。

この秘密はツインチャージャーにある。ターボのピックアップが鈍い低回転域はスーパーチャージャーで過給し、中高回転域はパワーロスのないターボで過給する。これならば小さな排気量でも、ターボのピックアップの悪さや過給器によるパワーロス、そしてさらにはターボラグなどでドライバビリティが損なわれることがない。しかも過給を控えめにしたパーシャルでのドライブに心がければ、好燃費が期待できるというわけだ。

電動パワーステアリングはもう油圧式の時代は終わったのではないかと思わせるほど自然なフィーリングで、ハンドリングもとても素直なものだった。

さて、帰路は待ちに待った170psと240Nmのハイパフォーマンスエンジンと6速DSGの組み合わせである。

プラス30psとなる170psのパワーは6000rpmで発生、プラス20Nmの最大トルクは1500~4750rpmとこちらもわずかに高め。それゆえにタコメーターのレッドゾーンは140psの6500rpmに対して、こちらは7000rpmからがレッドとなる。

このトゥーランはドライバー込みの車両重量が1522kgだからパワーウエイトレシオは8.95kg/ps。ちょっとしたスポーツセダン、たとえばBMW 318iを凌ぐほどである。その結果、0→100km/hまでは8.5秒、最高速度は212km/hに届く。これもスポーツセダンの仲間入りだ。

イグニッションをオンにすると、リッター当たり121psを超える高出力ユニットとは思えないほどあっさりと始動し、即座に安定したアイドリングが始まる。

走り始めると、ハイポジションで座る身体がスーッと後ろに持っていかれる感覚があり、このパワーの素晴らしさを思い知らされる。しかも、過給が続くエンジンにもかかわらず、息つきやタイムラグはまったく感じられない。アウトストラーダに乗ると、あっという間にイタリアの合法スピードを超えてしまうほどだった。高速でのスタビリティは申し分なく、軽くステアリングに手を添えているだけで、コンパクトミニバンは安定してすっ飛んでゆく。

ハンドリングもスポーツカー並で、イタリアの狭い田舎道をスイスイと気持ちよく走ることができた。しかし、その代償にサスペンションは硬く、これはスポーティなお父さんにはいいが、家族のためにはちょっと辛いかもしれない。試乗車はオプションの17インチタイヤを履いていたので、車高も15mm低く、これが影響していたのだろう。ちなみにこの性能でも、燃費は欧州サイクルでリッター当たり13.1kmと驚異的である。

デザインも、そして性能も魅力的になったニュートゥーランは、ドイツで170ps仕様+DSGのハイラインが3万1000ユーロ(ドイツ消費税込み・日本円で約465万円)である。最後になってしまったが、便利なパークアシストも装備できるようになったことも報告しておく。(文:木村好宏/Motor Magazine 2007年2月号より)

画像: フォルクスワーゲンらしく、高速スタビリティは申し分なし。どっしりと安定した走りを見せる。

フォルクスワーゲンらしく、高速スタビリティは申し分なし。どっしりと安定した走りを見せる。

ヒットの法則

フォルクスワーゲン トゥーランTSI 主要諸元

●全長×全幅×全高:4407×1794×1635mm
●ホイールベース:2678mm
●エンジン:直4DOHCツインチャージャー
●排気量:1390cc
●最高出力:170ps/6000rpm
●最大トルク:240Nm/1500-4750rpm
●トランスミッション:6速DCT (DSG)
●駆動方式:FF
※欧州仕様

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