2018年10月に登場した4代目メルセデス・ベンツAクラスに続き、2019年6月には3代目Bクラスがデビュー。メルセデス・ベンツのFF系コンパクトの中心的な存在となる2台はどんなモデルなのだろうか。スポーツコンパクトか、実用ファミリーか、それぞれの特徴、共通点、違いを探ってみよう。

クルマに何を求めるのかが重要なポイント

メルセデス・ベンツのエントリーモデル「Aクラス」は、1997年に「サンドイッチコンセプト」と称する独創的な二重構造フロアを採用したFFコンパクトモデルとして誕生した。しかし、2012年に登場した3代目ではその独自のサンドイッチ構造をやめて「MFA(モジュラー・フロントドライブ・アーキテクチャー)」と呼ばれる新しいFFプラットフォームによる王道を行くCセグメントスポーツハッチバックに進化した。現行型の4代目はこの3代目のコンセプトを受け継いで改良されたFFプラットフォームを採用して、2019年に日本上陸を果たしている。

一方の「Bクラス」は2006年、Aクラスが2代目へ移行した世代で誕生。2代目Aクラスと同様に二重構造フロアを採用、Aクラスよりもホイールベースを延長して実用性をさらに向上させて人気を集めるとともに、電気自動車や燃料電池車のベース車両としても活躍した。その後もAクラスとの密接な関係は続き、2代目ではこれまたAクラスと同様に「MFA(モジュラー・フロントドライブ・アーキテクチャー)」FFプラットフォームを採用。スポーティな方向へと転換したAクラスに対し、Bクラスは実直で使い勝手の良さを追求したモデルとして進化を続けている。

最新型のボディサイズは、Aクラスの全長×全幅×全高が4420×1800×1420mm、対してBクラスが4425×1795×1565mmで、ホイールベースはともに2730mm。全長と全幅はほぼ同寸と言ってもいいレベルだろう。実際、ドイツ仕様のテクニカルデータを見ると、Aクラスの全長×全幅×全高が4419×1796×1440mm、Bクラスは4419×1796×1562mmと、全長と全幅は同じ値となっている。

全高の違いは145mm。前後シートの着座位置もBクラスのほうが約90mm高く、これが2つのモデルの性格を決定づけている。では、高さで空間を稼ぎ出すBクラスは、「着座位置と車高を上げたAクラス」と考えていいのだろうか。

画像: クルマに何を求めるのかが重要なポイント

あらためてAクラスとBクラスの2台を見ると、Aクラスがスポーティさを強調、対してBクラスからは生真面目な性格が滲み出ている感じで印象はかなり異なる。

スタイリングはともにメルセデス・ベンツの最新デザイン思想「Sensual Purity(官能的純粋)」の下に、キャラクターラインやエッジではなくフォルムや面で力強さを表現したもの。AクラスはBクラスがあるからこそスポーティさを強調できるし、BクラスはAラスがあるからこそ実用性を追求するデザインにできたと言える。

画像: Cセグメントの王道を行くスポーティなハッチバックに進化して成功したAクラスと、Cセグメントのユーティテリティワゴンという位置づけられるBクラス。今回は、A180スタイルとB180で比較してみた。

Cセグメントの王道を行くスポーティなハッチバックに進化して成功したAクラスと、Cセグメントのユーティテリティワゴンという位置づけられるBクラス。今回は、A180スタイルとB180で比較してみた。

インパネは10.25インチの大型液晶パネルを2つ並べた最新のもので、タブレットをそのまま置いたようなデザインも新鮮。Sクラスなどの上級モデルにも通じる豪華さを感じさせる。その操作がセンターコンソールのタッチパッドのほか、ハンドルのタッチコントローラーや自然対話式音声認識のボイスコントロールなど様々な方法でも行えるのも新しい。

AクラスとBクラスでそのインパネのデザインを比べてみると、基本デザインは同じだが、Bクラスは着座位置が上げられている分、インパネの位置が上げられているのに合わせて、助手席前のダッシュボード形状が変更されているほか、ライトスイッチの高さがずれているのがわかる。また、Aクラスはエアベントのデザインがジェットタービン風のスポーティなものとなっている。

ラインアップは、Aクラスは1.3L直4ターボエンジンを搭載するA180をベースに、装備を充実させたA180スタイル、2L直4クリーンディーゼルを搭載するA200dを設定。BクラスにはA180にあたるベースモデルはなく、B180とB200dの2車種となる。B180はA180スタイルにあたる装備充実モデルと考えていい。トランスミッションは7Gトロニック(7速DCT)となる。

このほか、AクラスにはBクラスにはないAMGモデル「メルセデスAMG A35 4マティック」、「メルセデスAMG A45 S 4マティック」が設定されている。これもAクラスの性格をよく表していると言えるだろう。

■メルセデス・ベンツAクラスの車両価格(税込み)
 A180:337万円
 A180スタイル:380万円 
 A200d:410万円 
 メルセデスAMGA35 4マティック:634万円 
 メルセデスAMGA45 S 4マティック:7981万円

■メルセデス・ベンツBクラスの車両価格(税込み) 
 B180:396万円 
 B200d:426万円

サスペンションはフロントは全車ストラット。リアは通常モデルがトーションビーム、AMGモデルがマルチリンクと使い分けている。リア荷重の小さなモデルはシンプルな構造で対応するという考え方は、ゴルフなどと共通するものだ。

Aクラス、Bクラスのハイライトとして注目されるのが、標準装備される対話型インフォテインメントシステムの「MBUX(メルセデス・ベンツ ユーザーエクスペリエンス)」。自然対話型の音声認識機能を備えており、「ハイ、メルセデス」と声を掛けると起動し、ナビゲーションシステムの目的地入力をはじめ、通話やオーディオの選曲、メッセージ入力、エアコンの温度設定などを音声で行うことができるほか、自然言語認識機能により、「暑い」などと語りかけるだけで温度を下げてくれる機能も備える(ただし、ナビゲーションシステムはオプション)。

運転支援システムの充実も、Aクラス、Bクラスの特徴のひとつ。A180スタイルとB180を例にとれば、「アクティブパーキングアシスト」、「リアクロストラフィックアシスト」などを標準装備するとともに、衝突回避および被害軽減ブレーキシステム「アクティブブレーキアシスト」やアダプティブクルーズコントロール機能の「アクティブディスタンスアシスト・ディストロニック(自動再発進機能付き)」をはじめ、車線や先行車を認識してステアリング操作をアシストする「アクティブステアリングアシスト」や高速道路でウインカーを操作するだけで自動的に車線を変更する「アクティブレーンチェンジングアシスト」、「アクティブレーンキープアシスト」、「アクティブブラインドスポットアシスト」など、Sクラスと同等の機能をオプションとして設定している。

走りの魅力も大きい。A180スタイルとB180のエンジンは排気量1.3Lと大きくないが、トルク感があって走りやすく、スタートもスムーズで無理がなく、通常の走行では不満はでない。それはB180でも同じで、車重がA180 スタイルより80kg重い分、高速走行時のパンチ力は望めないが、それと引き換えとした大きな居住空間と455〜1540Lというラゲッジスペースは大きな魅力だ。

画像: キャラクターラインを極力減らして面で力強さを表現した新しいデザインコンセプトのAクラスと、それをさらに進めた塊り感のあるフォルムが特徴のBクラス。比べてみると、全高の違いだけでないことがわかる。

キャラクターラインを極力減らして面で力強さを表現した新しいデザインコンセプトのAクラスと、それをさらに進めた塊り感のあるフォルムが特徴のBクラス。比べてみると、全高の違いだけでないことがわかる。

こうして見ると、やはりBクラスは「着座位置と車高を上げたAクラス」であり、ゴルフとゴルフトーゥランよりも近い関係と言えそうだ。メルセデス・ベンツはこの2台は兄弟関係であり、共有化できるところは共有するという合理的な考え方で差別化はしていない。

AクラスとBクラスの違いは着座位置と車高と言っていいものだが、この差がもたらすものは意外と大きい。乗り降りのしやすさ、着座姿勢、室内居住空間、雰囲気、包まれ感、ラゲッジスペース、車両重量、走り味、燃費、車両価格など、多くの部分が少しずつ違ってくる。もちろん、ニーズに合わせて細かく車両セッティングは変更されている。ベースが同じだから、それはいっそう強く感じられるだろう。

Aクラス、Bクラスは、先代から合理的なコンパクトハッチバックへと方向転換して成功を収めた。さらにクルマとしての魅力を高めた最新型では、スリーポインテッドスターの信頼感とネームバリューを加味すれば、このクラスのベンチマークとなる資質を備えていると言える。

メルセデス・ベンツA180 スタイル 主要諸元

●全長×全幅×全高:4420×1800×1420mm
●ホイールベース:2730mm
●車両重量:1360kg
●エンジン:直4DOHCターボ
●排気量:1331cc
●最高出力:136ps/5500rpm
●最大トルク:200Nm/1460-4000rpm
●トランスミッション:7速DCT
●駆動方式:FF
●サスペンション:ストラット/トーションビーム
●ラゲッジルーム容量:370〜1210L
●タイヤサイズ:205/60R16
●WLTCモード燃費:15.4km/L
●最小回転半径:5.0m
●車両価格:380万円

メルセデス・ベンツB180主要諸元

●全長×全幅×全高:4425×1795×1565mm
●ホイールベース:2730mm
●車両重量:1440kg
●エンジン:直4DOHCターボ
●排気量:1331cc
●最高出力:136ps/5500rpm
●最大トルク:200Nm/1460-4000rpm
●トランスミッション:7速DCT
●駆動方式:FF
●サスペンション:ストラット/トーションビーム
●ラゲッジルーム容量:455〜1540L
●タイヤサイズ:205/55R17
●JC08モード燃費:15.0km/L
●最小回転半径:5.0m
●車両価格:396万円

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