2006年、ベントレー社の拠点がある英国クルー工場での生産60周年を記念した限定車「ベントレー コンチネンタルGT ダイヤモンドシリーズ」が世界限定300台で登場、秋には日本にも上陸している。果たしてこの限定車はどんなモデルだったのか。ここでは日本で行われた試乗の模様を振り返ってみよう。(以下の試乗記は、Motor Magazine 2007年1月号より)

様々な特別装備が奢られて価格はプラス300万円

実にうまく進んでいる。まるで絵に描いたようで、このストーリーには非の打ちどころがないように思われる。そう、フォルクスワーゲングループによる新生ベントレーに関するプロジェクトについてである。

2003年3月のジュネーブショーで、新生ベントレーを象徴するモデルであるコンチネンタルGTを一般公開し、同年のル・マン24時間レースでは、実に73年振りの優勝をして見せた。さらに2年後には、「フライングスパー」を名乗る4ドアモデルを追加、そして、2006年には4シーターオープンの「GTC」をラインアップに加え、コンチネンタルシリーズはここに完成を見た。

このシリーズは、フォルクスワーゲンのフラッグシップであるフェートンをベースにするものであり、また、ル・マンでの優勝は、アウディの力があってのものだ。また、世界各国での販売は順調だが、これはもちろん、フォルクスワーゲングループの支援があってのもの。ここまで来られたのはドイツの巨大自動車メーカーのおかげに違いないと思う。いや、思っていた。

と言うのは、最近、ちょっと見方が変わってきた。ひょっとすると、話はまったく逆で、ベントレーがフォルクスワーゲンを巧みに利用しているのではないか、と。それほど、このところのベントレーは、かつての「らしさ」をうまく表現し、実に活き活きとしている。高級ブランドとして、ますます輝きを増しているように見える。いずれにしろ、このベントレーのフォルクスワーゲングループ入りは正解だった。ちょっと古いかも知れないが、ビジネス用語で言うと「ウイン、ウイン」の関係というやつだろう。

さてここに紹介するのが、またまたブランド力を強くアピールする「ダイヤモンドシリーズ」というモデルだ。ベントレー社の拠点がある英国クルー工場での生産60周年を記念した限定車で、様々な特別装備が奢られている。

まず、ブレーキディスクにカーボンセラミックが採用されている。ディスク径もスタンダードモデルより拡大されており、制動力は大幅に強化された。さらに軽量なディスクで、バネ下重量は23kg低減、ハンドリングの向上にも貢献している。このブレーキディスク径の拡大に伴い、ホイールは20インチの鍛造アルミ製に変更されている。

インテリアでは、キルトレザー仕上げのシートとドアパネル、ドリルド・アルミスポーツペダル、ナールドクロームのスポーツギアレバー、そして、ピアノブラックのウッドパネルなどを持つのが特徴だ。

ボディカラーには、スタンダードモデルの15色の他に、ブライトブルー、グレーブラック、スチールブルーグレーという特別色が用意される。

限定台数は世界300台。もちろん日本にも入荷しており購入は可能だ。価格は2445万円とスタンダードモデルにプラス300万円となっている。

走り出して見ると、すぐにスポーティなことに驚く。560psのW12エンジンで、直線が速いことは当たり前だが、このクルマはワインディングも楽しい。車重が2.4t近くあるにもかかわらず、こうしたフィーリングを持っていることは驚異といえる。パドルシフトを積極的に操作したくなるのだ。なぜだろうかと考えたが、スペックを見てその理由のひとつに気が付いた。

この限定車に限ったことではないのだが、コンチネンタルGTというクルマは、スポーツカー並みにショートホイールベース&ワイドトレッドなのだ。具体的に言うと、メルセデスSクラス、BMW 7シリーズ、アウディA8などはだいたいフロントトレッド÷ホイールベースの値が、0.52から0.55の間だが、コンチネンタルGTは0.59になる。一般にこの値が小さいほど、直進安定性志向、大きいほどコーナリング性能志向で、ポルシェ911などは0.62ほどだ。この数字からコンチネンタルGTの性格を読み取ることができるだろう。

もちろん、この基本的な性格に加え、強力なブレーキ、バネ下重量の軽減、さらに275/35ZR20サイズのピレリPゼロROSSOが、このスポーティな走りの実現に貢献していることは言うまでもない。

単にハイパワーということではない、この走りっぷりには驚き、クラフトマンシップにあふれたインテリアの質感の高さには癒された。コンチネンタルGTが提案する世界に、心を動かされる世のお金持ちがいるのは、至極当然であると納得した次第だ。

ただひとつ気になるのは価格のこと。そもそも自分には手が届かないので無責任な発言になるが、「安過ぎる」のではないか。さきほど例に出したドイツ・プレミアムカーの12気筒スペシャルモデルには、3000万円に迫ろうというモデルもあるくらいだ。このクルマの紹介の締め括りにふさわしい表現かどうかわからないが、「お買い得」ということも強く感じたのであった。(文:荒川雅之/Motor Magazine 2007年1月号より)

画像: 英国クルー工場での生産60周年を記念した限定車「ベントレー コンチネンタルGT ダイヤモンドシリーズ」。スタイリングのゴージャスな雰囲気にはドイツ車にはないものが感じられる。

英国クルー工場での生産60周年を記念した限定車「ベントレー コンチネンタルGT ダイヤモンドシリーズ」。スタイリングのゴージャスな雰囲気にはドイツ車にはないものが感じられる。

ヒットの法則

ベントレー コンチネンタルGT ダイヤモンドシリーズ 主要諸元

●全長×全幅×全高:4804×1916×1390mm
●ホイールベース:2745mm
●エンジン:W12DOHCツインターボ
●排気量:5998cc
●最高出力:560ps/6100rpm
●最大トルク:650Nm/1600rpm
●トランスミッション:6速AT
●駆動方式:4WD
●車両価格:2445万円(2006年)

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