ライディングスクールの主宰を10年以上務めるモーターサイクル・ジャーナリスト柏 秀樹 氏が持論を展開する連載企画。今回のテーマは「雨の日の深いバンクは危険なのか」です。雨天のツーリングが苦手な方、ぜひ最後までご覧ください。
文:柏 秀樹

雨の日の運転が苦手な人は、晴れの日にも不安を抱えているのではないか?

「雨の日にバイクを深く傾斜させたらスリップしやすいの?」という質問が寄せられた。

答えは、車体の傾斜が深くても大丈夫なこと、浅くても危ないこと、その両方がある。

要は車体の傾斜を自由に選択でき、スロットルやハンドル操作などを繊細に対応できるか、ということ。であれば、天気が良くても雨でも安全快適ってことだ。

そのために何をやれば良いのか、を提案していこう。

画像: ライダー:平嶋夏海/写真:松川忍

ライダー:平嶋夏海/写真:松川忍

例えば制限速度40km/hの普段走っているカーブのちょうど真ん中を維持して走る。雨でも制限速度ぴったりの無理のない速度40km/hとする。車体はそこそこ傾斜しているけれど特に深いバンク状態ではなく、フォームをリーンウィズにして走る。ここまでは、うまくできているとしよう。

では、同じことをリーンインのフォームでできるだろうか。

次にリーンアウトにしてできるだろうか。さらに、ハングオフ(ハングオンともいう)で、やれるだろうか?

いずれのフォームでも、ラインや速度が一定ではない場合はコントロールできていないってこと。余計な操作をしている自覚を持ちたい。

4つのライディング・フォーム「リーンウィズ」「リーンイン」「リーンアウト」「ハングオフ(ハングオン)」

体と車体の傾斜度合いが同じ状態をリーンウィズ、車体傾斜より上体がイン側になることをリーンイン。車体が傾斜して上体が起きているをリーンアウトという。

① リーンウィズは体と車体の傾斜度合いが同じ状態。
 
② リーンインは車体傾斜より上体がイン側になる状態。
 
③ リーンアウトは車体が傾斜して上体が起きている状態。
 
④ ハングオフ(ハングオン)は上体と腰が傾斜した車体よりも大きく内側にある状態。

画像: リーンイン(ライダー:柏 秀樹)

リーンイン(ライダー:柏 秀樹)

画像: リーンアウト(ライダー:柏 秀樹)

リーンアウト(ライダー:柏 秀樹)

誰が見ても確かにそうなっているなら、それぞれのフォームができているってことなのだ。

でも、イチバン簡単と思っているリーンウィズでさえも体が外に逃げてリーンアウトになっていたり、イン側に寄っていたり。リーンインをやってもまったく上体がイン側に寄っていなかったり。本当に4つのフォームがちゃんとできない例が多い。

4フォームができない原因を解消すると、頑張って飛ばすより賢く速く上手くなる

思うように4つのフォームができない理由は簡単。緊張して体が硬くなっているから

緊張しているつもりなどなくても、知らないうちにハンドルグリップをギューッと握り、息が止まり、肩やヒジさらには手首まで硬くなっているのがわからない次元に陥っているのが大半だ。

自分の状態を把握できていないから危険でもある。

無理な走りだけが危険ではなく、無理していない状態でも今走っている速度で4つのフォームが自在にできるぐらいでないと安全マージンがない証拠。つまり危険モードに近いかすでに危険モードってこと。

そもそも緊張しない速度なら誰でも道のど真ん中を維持して走れるはず。自分にとって無理かどうかの目安が「道の真ん中維持」と思いたい。

画像: ライダー:西野鉄兵/写真:岩瀬孝昌

ライダー:西野鉄兵/写真:岩瀬孝昌

センターラインやガードレールによることはそのままコントロールできてないことだから、無理する必要はない。ハンドル操作とアクセル操作と必要に応じてブレーキ操作も加えてラインと速度のムラを瞬時に補正できる。

ほんのちょっとスピードを落としてあげれば、高い精度となり再現性が上がる。簡単と思える次元の速度でいいのに頑張って飛ばす方が上手くなると信じ込むのと同じ。

これでは大怪我しても気がつかないだろう。野球や卓球でいえば、むやみやたらに全力で素振りするようなもの。ちゃんとしたアプローチでフォームをじっくり組み上げていくことが肝要。

ガムシャラに頑張っても無理無駄ばかり多くて、結局は上達しないどころか怪我までしてしまう。安全快適と上達のキモは、野球も卓球も他のスポーツもバイクも同じなのだ。

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