ハーレーダビッドソンの主力シリーズであるソフテイルには、2020年モデルも注目すべき車両が数多くラインアップされている。そのなかでもローライダーSは是非とも味わってほしい1台だ。

ハーレーダビッドソンの変革期の中、生まれ変わった「ローライダーS」

ダイナシリーズ統合の意味をこの1台が理解させてくれる

ハーレーダビッドソンにおいて、近年の変革は115年以上ある長い歴史の中でも大きなターニングポイントと言えるだろう。

2017年にツーリングファミリーに完全新設計のエンジン『ミルウォーキーエイト』が採用され、排気量は1745㏄と1868㏄に。フロントサスペンション&リアサスサスペンションの構成は全く新しいものとなり、走行性、操作性、快適性など全ての部分で大幅に進化をさせた。

さらに、翌年2018年には、それまで27年の長きに渡り人気を支えていたダイナファミリーをソフテイルファミリーに統合。新設計となるモノショック型カーボンスチールフレームを採用し、エンジンは『ミルウォーキーエイト』が搭載された。

画像: ダイナシリーズ統合の意味をこの1台が理解させてくれる

これまでのダイナファンとしては、ダイナファミリーがなくなったことが上手く理解できない衝撃的な出来事だったのかもしれないが、ハーレーとしては実は至極当然の選択と言える。なぜなら、その理由は単純で、明確により良いと思えるエンジン、フレームが完成したからだ。それらを使ってモデルを作り上げていくことが、より良いモデルを作ることができるからである。

ただ、ダイナファミリーには魅力的なモデルが多く存在したのは事実。果たして変わる必要性があったのか、変えることでファンの欲求を叶えることができるのか? という問題については、統合して数年、上手く表現ができていなかったように思う。

画像: 3.5秒で0から時速60マイル(96.5km)の加速を発揮する「LiveWire」(ライブワイヤー)。1充電で110マイル(177km)の都市走行が可能だという。 www.autoby.jp

3.5秒で0から時速60マイル(96.5km)の加速を発揮する「LiveWire」(ライブワイヤー)。1充電で110マイル(177km)の都市走行が可能だという。

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加えて、2019年には電動バイク『LiveWire』が正式発表され、2020年にアドベンチャーモデル『PAN AMERICA』や、ストリートファイターモデルの『BRONX』が登場するとなると「ハーレーはどこへ行くのだろう?」と、モヤモヤしたファンは少なくないはずだ。

画像: ハーレーダビッドソンの意欲作、アドベンチャーモデルの「PAN AMERICA」(パン・アメリカ) www.autoby.jp

ハーレーダビッドソンの意欲作、アドベンチャーモデルの「PAN AMERICA」(パン・アメリカ)

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画像: ハーレーダビッドソン初となるストリートファイター「BRONX」(ブロンクス)。 www.autoby.jp

ハーレーダビッドソン初となるストリートファイター「BRONX」(ブロンクス)。

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しかし、そんなファンのモヤモヤを吹き飛ばすかのように2020年モデルが登場した。新型『ローライダーS』。個性的なクラブスタイルを全身に纏ったそのスタイリングは、ハーレーファンを納得させ、世界中で人気となった。

画像: ハーレーダビッドソン「ローライダーS」 (2020年) 【税込価格】ビビッドブラック:244万900円~/モノトーン:248万3800円~

ハーレーダビッドソン「ローライダーS」(2020年)

【税込価格】ビビッドブラック:244万900円~/モノトーン:248万3800円~

ハーレーで『ローライダー』といえば、1977年に登場した名車『ロー』に始まる人気のシリーズ。ダイナが統合される前はダイナローライダーとして2017年モデルにも存在し、統合後の2018年モデルには、ソフテイルローライダーとしてラインアップしているほど。

そしてローライダーSはダイナ時代に2016〜17年モデルとして登場したSシリーズにラインアップされたモデルで、その特徴的なクラブスタイルに合わせ、当時のCVOに採用されたツインカム110エンジンを搭載し、サスペンションとブレーキをレベルアップ。走りの楽しさを意識したモデルで人気を博した。

画像: ダイナ時代の「ローライダーS」(2017年) www.autoby.jp

ダイナ時代の「ローライダーS」(2017年)

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そこへきて、2020年モデルでソフテイルのローライダーSが登場というから、期待せずにはいられない。ローライダーSはスタンダードのローライダーとは違い、ミルウォーキーエイト114(1868㏄)エンジンを搭載、フロントフォークは倒立を採用している。もちろんフレームは最新のソフテイルフレームだ。

今回は、そのモデルをスペインはマラガにて存分にライド。人気の理由、そして、ソフテイルへの統合の意味を存分に味わってきた。

ハーレーダビッドソン「ローライダーS」(2020年)試乗インプレ

ソフテイルならではの重厚感と高い運動性能

画像: ハーレーダビッドソン「ローライダーS」 (2020年)

ハーレーダビッドソン「ローライダーS」(2020年)

ソフテイルと聞くと、大きな車体のモデルを想像させるのか、ゆったりと走りを楽しむ印象だけが未だに残っている人もいるようだが、実は運動性能もとても高く、とても懐が深い。

それが、まさにソフテイルファミリーへ統合することができた大きな理由のひとつ。おかげでスポーティな走りを押し出しているパフォーマンスソフテイルと、多くの積載も得意とするツーリングソフテイルの両立を可能にしているのだ。

今回のスペインでのテストは、日本のワインディングに近い印象で、多くのカーブが連続する峠道をメインに走らせてもらったが、このローライダーSは、コーナー続きの道でもしっとりと荷重を受け止め柔らかい挙動でコーナーを曲がっていく。タイトに切り返していくコーナーでも、決して小さくはない車体だが「無駄な力はいらないよ」と、狙い通りのラインを走ってくれる印象だ。

画像1: ソフテイルならではの重厚感と高い運動性能

ダイナ時代のローライダーが軽快で身軽な走りを得意にしていたとすれば、ソフテイルとなった今は重厚感と高い運動性能で、よりレベルの高い安定した走りを約束してくれるといったところ。乗っていて明らかに安心感が違うので連続するコーナーの楽しさがより増してくるのだ。

さらに、搭載された倒立フォークはスタンダードと比べてキャスター角を立てていることもあり、ホイールもタイヤも同サイズだが、よりスムーズにスポーツライディングをこなせる。

その走りやすさはワインディングだけではなく、ストップアンドゴーや、細かな凹凸のある道路が多い街なかでも、ワイド気味なハンドルポジションの恩恵もあり、低速走行がとにかく、やりやすい。撮影ではタイトなUターンなども求められるが戸惑う場面は一度もなかった。

画像2: ソフテイルならではの重厚感と高い運動性能

これは、私が思うミルウォーキーエイトエンジンの大きな魅力のひとつで、低回転時の太いトルクの賜物。足つき性と同様に、大排気量モデルを選ぶ際の最も重要なポイントのひとつだと言える。

そして、忘れちゃいけないのが、スタイリング。特徴的なヘッドライトカウルで仕上げたクラブスタイルは、ソフテイルならではの重厚感とも高いマッチングで、ハーレーブランドならではの、高い所有欲を満たしてくれる仕上がりだ。

ハーレーが昔ながらのクルーザーのようにどっしり構えて乗るオートバイだけだと思っているのであればそれは勘違いだと言える。その一方で、新しいカテゴリーにトライだけしていくメーカーになった訳ではないことも、この新型は証明してくれた。

それに応えるように、ローライダーSは世界中のどのエリアでも最も注文の入るモデルのひとつとなっている。売れているから良いバイクと薦めるわけではないが、売れるバイクには理由がある。それを是非、感じてほしいと思える1台だ。

文:松下尚司

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