クルマ好きなら一度は憧れたことがあるだろうスーパーカー。その黎明期から現代までをたどる連載企画。第57回は「フェラーリ エンツォフェラーリ」だ。

フェラーリ エンツォフェラーリ(2002-2004年)

画像: スーパーカーのお約束とはいえ、フェラーリが普通のスイングドアでないバタフライドアを採用したのは珍しい例だ。

スーパーカーのお約束とはいえ、フェラーリが普通のスイングドアでないバタフライドアを採用したのは珍しい例だ。

2002年、フェラーリは創業55周年を記念して、創始者でありコマンダトーレ(総帥)と呼ばれたエンツォ・フェラーリの名を冠したスーパースポーツカーを発表する。正式車名は「フェラーリ エンツォフェラーリ」なのだが、社名のフェラーリは付けずに呼ばれることが多い。エンツォフェラーリは、伝統のV12をミッドシップ搭載する21世紀最初の限定生産車として知られる。当初は349台の予定だったが、50台が追加生産された。

デザインは、当時ピニンファリーナに在籍していた「ケン・オクヤマ」こと奥山清行によるもの。明らかにF1グランプリマシンからインスピレーションを得たと分かるフロントノーズに伝統の丸型テールランプを組み合わせ、スーパーカーの必須アイテムとなったバタフライドア(マクラーレン風に言えばディヘドラルドア)を備える。

シャシは全体がカーボンファイバーと、ハニカムサンドイッチ構造のアルミニウム製パネルで製作された。そのシャシに流体力学をもとに造形され、効果的なグランドエフェクトを発生する超空力ボディを架装している。ダウンフォースは、300km/hで走行中は最大値がなんと775kgに達した。

画像: ステアリングには、F1マシンのように車両制御のためのボタンやスイッチ類が配される。主要なパーツはほとんどカーボンファイバー製だ。

ステアリングには、F1マシンのように車両制御のためのボタンやスイッチ類が配される。主要なパーツはほとんどカーボンファイバー製だ。

コクピットの後ろに縦置きミッドシップマウントされたエンジンは、当時のフェラーリの主流であった65度のV型12気筒DOHC。吸排気可変バルブタイミング機構などF1グランプリで得たテクノロジーが投入され、最高出力は660psを発生しながら、低回転域のトルクを増強して幅広いレンジでのバランスが追求されている。

ミッションは、これにF1マチックと呼ばれる6速のセミATを組み合わせるが、変速のタイムラグを極力排除するため、シフト時間はわずか0.15秒にまで短縮されている。

ブレーキシステムはブレンボによって特別に開発されたものだが、CCM(カーボンセラミック)製のローターなどにスクーデリア・フェラーリ(F1グランプリのチーム)からのノウハウが貢献している。タイヤはブリヂストンのポテンザRE050スクーデリアで、当時F1グランプリで密接な関係にあったブリヂストンが専用に開発したものだ。

エンツォフェラーリは、高性能なスーパースポーツカーというだけでなく、ASRと呼ばれる車両安定制御(スタビリティコントロール)を搭載して、ロードカーとしての安全性を確保していた。安全な超高速走行へのフェラーリの対応は、この後のスーパースポーツカー開発にとって見逃せないポイントとなっていく。

画像: リアウインドーから見えるV12エンジンも美しい。テールランプは伝統の丸型を採用している。

リアウインドーから見えるV12エンジンも美しい。テールランプは伝統の丸型を採用している。

フェラーリ エンツォフェラーリ 主要諸元

●全長×全幅×全高:4702×2035×1147mm
●ホイールベース:2650mm
●重量:1255kg
●エンジン種類:65度V12 DOHC
●排気量:5998cc
●最高出力:660ps/7800rpm
●最大トルク:657Nm/5500rpm
●燃料タンク容量:110L
●駆動方式:縦置きミッドシップRWD
●トランスミッション:6速AMT
●タイヤサイズ:前245/35ZR19、後345/35ZR19
●当時の価格:約7800万円(日本円換算)

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