クルマ好きなら一度は憧れたことがあるだろうスーパーカー。その黎明期から現代までをたどる連載企画。第38回は「チゼータ モロダー V16T」だ。

チゼータ モロダー V16T(1988-1995年)

画像: スーパーカーのお約束でヘッドライトはリトラクタブル式だが、4灯式の上下2段でライズアップした。

スーパーカーのお約束でヘッドライトはリトラクタブル式だが、4灯式の上下2段でライズアップした。

1988年12月、当時からセレブ御用達の街として有名だったアメリカ カリフォルニア州ビバリーヒルズで、ユニークなスーパースポーツカーのモックアップが公開された。その名は、チゼータ モロダー V16T。一般的にはチゼータ V16Tと呼ばれることが多いが、正式にはモロダーが入る。チゼータとは創始者であるクラウディオ・ザンポーリのイニシャル「CZ」をイタリア語読みしたもの。モロダーは共同出資者だったミュージシャンのジョルジオ・モロダーの名だ。

そしてV16Tという車名が示すように、このクルマ最大の特徴は90度のV型16気筒というマルチシリンダーをコクピットの後ろに横置きミッドシップ搭載したこと。そのため、全幅は2mを超えるワイドなものになった。出力はクランクシャフト中央のギアで90度方向を変え、エンジンと直角にセット(つまり縦置き)されたクラッチ/ミッション/デフに導かれる、きわめて特殊な伝達経路を採用していた。

スタイリングは、ランボルギーニ カウンタックなどで名を挙げた「鬼才」マルチェロ・ガンディーニの手になるもの。ディアブロ用にガンディーニが描いたデザインは、当時ランボルギーニの親会社で会ったクライスラーが大幅に修正を加えたため、修正前の原型デザインをチゼータで実現したとも伝えられている。

画像: V16エンジンを横に、ミッションを縦に組み合わせたパワーユニット。

V16エンジンを横に、ミッションを縦に組み合わせたパワーユニット。

6LのV16エンジンはランボルギーニ製のV8を2基接続したのではとも噂されたが、実際の点火オーダーなど詳細を調べてみると、このエンジンは最初から16気筒として設計されていたようだ。DOHC64バルブのヘッドが組み合わされ、最高出力は550ps、最大トルクは55.0kgmというパワースペックで、公称の最高速度は328km/h、0→100km/h加速は4.2秒と、スーパーカーにふさわしい高性能ぶりだった。

ジョルジオ・モロダーの支援を受けて開発されたV16Tは、1989年のジュネーブ モーターショーでも興奮と衝撃を巻き起こし、1991年に生産を開始する。当時の価格は、80万ドル(約1億円)であった。

だがモロダーの離脱やバブル景気の崩壊などの影響で、チゼータはV16Tをわずか15台を生産しただけで倒産する。それでも、ザンポーリは2003年にアメリカ カリフォルニア州に新会社を設立し、いまもなおV16Tを受注生産しているという。

画像: ドアの開閉は普通のスイング式だった。このクルマは現在も河口湖自動車博物館に展示されている。

ドアの開閉は普通のスイング式だった。このクルマは現在も河口湖自動車博物館に展示されている。

チゼータ モロダー V16T 主要諸元

●全長×全幅×全高:4440×2060×1115mm
●ホイールベース:2690mm
●重量:1700kg
●エンジン種類:90度V16 DOHC
●排気量:5995cc
●最高出力:550ps/8000rpm
●最大トルク:55.0kgm/6000rpm
●駆動方式:横置きミッドシップRWD(ミッションは縦置き)
●トランスミッション:5速MT
●タイヤサイズ:前245/40ZR17、後335/35ZR17

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