2006年、BMWはドイツ国内でのZ4ロードスターのマイナーチェンジを発表、この時Z4クーペが登場しているが、同時にZ4 M ロードスター/Z4 M クーペが新規導入されて大きな話題を呼んでいる。そして、2006年2月にはスペイン・ヘレスでZ4 M ロードスターの国際試乗会が開催されている。Motor Magazine誌では、早速、その模様をレポートしている。(以下の試乗記は、Motor Magazine 2006年4月号より)

M3から移植された3.2L直列6気筒エンジンを搭載

BMWは母国のドイツだけでなくヨーロッパ、そして世界的にスポーツイメージの強いメーカーである。その基礎は長きにわたるモータースポーツへの参戦によって形作られたものだが、それとともにこのイメージを具体化したスポーツモデルをタイミングよく送り出していることで、一般に認知度が高まっているのだ。そして、この役を仰せつかっているのが、M社と呼ばれる子会社である。

M社は1972年にBMWモータースポーツ社として創立され、1978年には初めてのオリジナルモデル、M1を開発している。その後、1984年にM5(E28)、さらに1987年に伝説的なM3(E30)が登場し、コンペティションに耐えるハイスペックなM社の製品は翌1988年には累計で50万台に達する。こうしてM社はBMWのスポーツイメージ高揚のために大きな役割を果たしているが、そのM社の最新モデルがZ4 M ロードスターである。

まずベースとなるZ4 ロードスターだが、2002年秋に発表されて以来、これまでにアメリカで12万台生産されている。この価格帯のオープン2シーターとしては上々の成績だが、4年目を迎えた今年2006年、カンフル剤としてボディ周りの変更と265psの新しい3L直6エンジンが搭載されるなど若干の変更が行われた。そしてこれを機会にMバージョンが加わった。

スタンダードのZ4ロードスターとの大きな違いはエンジンで、E46型3シリーズがベースのM3から移植されたものである。しかし、エクステリアとインテリアはさっぱりしたもので、スタンダードのZ4との差はフロントスポイラー形状の違い、リアの4本マフラー程度だ。

インテリアはM仕様のステアリングホイール、シフトノブ、そして新しいカーボン風のレザー仕上げなどがMの証。スタートはボタンによらず通常のイグニッションキーによる。

ところでこのMロードスターには、同じエンジンを搭載するM3で導入されているSMGIIは採用されていない。設定は6速マニュアルのみだ。残念だが、聞くところによれば、BMWは現在フォルクスワーゲンのDSGに負けない性能を持つシーケンシャルトランスミッションをサプライヤーと共に開発中であるという。

画像: シャシの補強にも力が入れられており、ブレーキはM3 CSLと同じ大径のドリルドベンチレーテッドディスクを装備、タイヤはランフラットではなく18インチの前後異サイズが装着されていた。

シャシの補強にも力が入れられており、ブレーキはM3 CSLと同じ大径のドリルドベンチレーテッドディスクを装備、タイヤはランフラットではなく18インチの前後異サイズが装着されていた。

パワーステアリングは油圧式に変更されていた

まずはヘレスから高速道路を経て郊外の山間部へ向かう。アメリカで育ったが、さすがはドイツ生まれ、優れた直進性としっとりとしたステアリング特性を持っている。そして耳を気持ち良く刺激する吸気サウンドのおかげで、高速道路でのハイスピードクルージングは単なる移動以上の楽しみを与えてくれる。

50kmほどのハイウェイを30分もかけずに通過し山間部に入る。コーナーに富んで、アップダウンが多く楽しい道だがとても狭い。おまけに多くの楽観主義的なスペインのドライバーたちはコーナーの向こうから道路の中央を走って来るので思い切って踏めない。それでもミリ単位に正確で、コントローラブルなステアリングメカニズムによって、路肩ぎりぎりをトレースしながら走ることができた。

午後のセッションはヘレスサーキットでのスポーツ走行である。右コーナーの多い、面白いレイアウトのテクニカルコースで、Z3 Mの時もここで試乗会が行われた。

タイヤの空気圧をチェックしてコースイン、ピットロードを出るとすぐさま右コーナー、そして短い直線の後にまた右コーナーが続く、このセッションで感じたのは、すでに峠道で報告したようにステアリングフィールがとても自然で、路面からの感触に優れていることだった。後で調べたら何と、通常モデルのEPSからMバージョンでは油圧式パワーステアリングに戻してあったのだ。

こうして10周の約束で行ったスポーツ走行であったが、周回を重ねる7、8周目には、230km/hくらいまで速度が出せるバックストレッチが終わる右コーナーでややフェードを起こし、ペダルを踏みなおさなければならない場面があった。

個体差かと思ってジャーナリスト仲間と話してみたら、凄く腕の立つM・S氏はとして何人かは同じ現象を経験していた。「M」の名前を掲げる以上、この点はぜひともチェックして欲しい。

冒頭に述べたデザイン上の差別化なども含め確かに若干の不満はあるが、Z4 M ロードスターはスポーツすることのできる男のスポーツカーとして大いなる魅力を放っている。現代版のコブラと言っても良いだろう。(文:木村好宏/Motor Magazine 2006年4月号より)

画像: トランスミッションは6速マニュアルのみでSMGの設定はない。

トランスミッションは6速マニュアルのみでSMGの設定はない。

ヒットの法則

BMW Z4 M ロードスター 主要諸元

●全長×全幅×全高:4113×1781×1302mm
●ホイールベース:2497mm
●車両重量:1485kg
●エンジン:直6DOHC
●排気量:3246cc
●最高出力:343ps/7900rpm
●最大トルク:365Nm/4900rpm
●トランスミッション:6速MT
●駆動方式:FR
●0→100km/h加速:5.0秒
●最高速: 250km/h(リミッター作動)
※欧州仕様

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