2006年1月、初代メルセデス・ベンツ Bクラスが日本に上陸している。Aクラスとプラットフォームを共有する兄弟車として、効率の良さとスペースユーティリティの高さに注目が集まったが、その走り味はどうだったのか。ファーストインプレッションを振り返ってみよう。(以下の試乗記は、Motor Magazine 2006年4月号より)

スペース効率を求めてホイールベースを延長

Aクラスを小さいだけが取り柄のクルマに「格落ち」させてしまったという意味で、Bクラスはメルセデスブランドにおける、ちょっと「コンパクト」な衝撃であった。

フロントにセレクティブダンピングシステム付きマクファーソンストラット方式のサスペンション、リアにスフェリカル・パラボリックスプリング・アクスルとくれば、Bクラスのお里は明らか。サンドイッチ構造という特徴的なボディ構造はAクラス同様であり、ホイールベースを210mm、全長を420mm延ばせばBクラスの屋台骨ができ上がるというわけだ。

Bクラスの特徴はスペース効率の追求だ。これはサンドイッチ構造がもたらす2つのメリットのうち一方を強調した結果備わったもの。もう一方のメリットとは言うまでもなく安全性の高さで、これに関してももちろんクラス随一の高レベルを誇るが、特徴はあくまでもスペースユーティリティの高さである。

要するに、コンパクトカーのサイズの中で、いかに広く、機能的な室内空間とラゲッジスペースを現出させるかに主眼が置かれたクルマというわけで、メルセデスが自ら多目的なコンパクトカーと謳うように、また新しい乗用車カテゴリーが幅を効かせ始めたということだ。

具体的なライバルは、居住性を高めた昨今の欧州Cセグメント車をはじめ、ゴルフプラスや5人乗りのルノーメガーヌセニックあたりで、いずれにしてもAクラスではちょっと「負け戦」気味だったカテゴリーと言えるだろう。

日本仕様のラインナップ構成はAクラスと全く同じ。B170、B200、そしてB200ターボで、すべて直4SOHC+オートトロニックを積む。最上級のB200ターボを中心に話を進めるが、どのグレードも標準装備は充実しており、300万円を切るB170でも仕様や見栄えに落胆することはない。このあたりにも、高機能なデイリーユース・コンパクトカーとして同カテゴリーの頂点を極めようとするメルセデスの意気込みが現れている。

とはいえ、B200ターボはさすがに最上級グレードだけあって、標準装備の内容には目を見張るものがある。スポーツサスペンションやバイキセノンヘッドライト、アクティブライトシステム、デュアルクロームエグゾーストエンドなどを備え、付け加えるとすればもうナビかレザーシート、大型サンルーフぐらいしかない。B200の装備もヘッドライト周り以外、ほぼ同一。もちろん望めばB170にもスポーツパッケージとしてB200系に準ずる装備にすることもできる。

画像: イメージ的には「ひと回り大きくなったAクラス」だが、全長で42cm、ホイールベースで21cm拡大されたボディは、スペースは言うに及ばず、走りにおいても余裕をもたらしていた。

イメージ的には「ひと回り大きくなったAクラス」だが、全長で42cm、ホイールベースで21cm拡大されたボディは、スペースは言うに及ばず、走りにおいても余裕をもたらしていた。

広い室内と優れた機能性、走りの楽しさをも手にする

ロングホイールベース化は後席の足下スペース拡大に充てられた。Cクラスよりわずかに長いホイールベースとワゴンスタイルによって、足下スペースはEクラス並みを確保。そのうえヘッドクリアランスは前後席とも3ボックスセダンでは太刀打ちできない広さとくるから、普段使いのクルマとしては十分すぎる室内空間といえる。

ミニバン風に使えるシートアレンジもBクラスの魅力のひとつ。ホイールベースの延長分とほぼ同じ分をラゲッジスペースの拡大にも充てた。ちょっとしたワゴン並の積載能力を誇り、それゆえ使えるシートアレンジは必須になったということ。後席の背もたれを倒せばフラットで広大なワゴンスペースが現れるなど、使い勝手の幅は広い。

室内が広く、機能性に優れたコンパクトカーというだけで存在理由は十分に高まるが、個人的に感動したのは、その乗り味であった。

ひとことで言うと、Aクラスのネガをほとんど抑え込んでいた、のである。ロングホイールベース化が効いたのだろう、Aクラスでは顕著だった街乗り時のピッチングや接地感の物足りなさが生む軽薄さが、見事に薄まった。スポーツサスペンションのB200ターボではさすがに街乗りで硬いと思う瞬間もあるが、ノーマルサスのB170ならば心地いいと思えるレベル内に収まっている。

B200ターボの加速は強力だ。ただし、A200ターボのように椅子ごと引っ張りまわされるような違和感の大きい速さではなかった。ロングホイールベース化でディメンジョンのバランスが取れたのだろう、しっかりとシャシが仕事をしてくれるから、ドライバーが余裕をもってトラクションを感じ、それ自体を楽しむことができる。だから、B200ターボは速さを心地よく感じることができるのだ。

必然性のある速さを手に入れた、とでも言おうか。これならば、速さにエクストラコストを払う理由を求められるし、回すとうるさいエンジンとCVTにも我慢できるというものだ。ちなみに、タイヤはコンチネンタルのスポーツコンタクト2を履くが、そのロードノイズも少し気になった。

直進安定性が向上していることは言うに及ばず、似合わないワインディングを走らせても楽しめるクルマになっているのにも驚いた。不安にさせるロールが少なく、安心して駆け抜けていける。B200ターボならちょっとしたスポーツカーをカモることだって可能だ。

高速走行時の安定感について付け加えておくと、今時のヨーロッパ車にしては珍しく、日本の常用高速域、つまり100km/h前後でまともに走ってくれるのがよかった。これはB170にも共通する美点で、そのさらに上の領域でも安定感は揺るがない。

とはいうものの、ベストグレードを挙げろといわれれば、間違いなくB170である。それだけはAクラスと同じだ。しかし、B200ターボを買いたいという人がいても私は止めないし、むしろその予算の余裕をうらやましく思うだろう。このあたりがAとBとの大きな違いである。(文:西川淳/Motor Magazine 2006年4月号より)

画像: 機能的なインテリアはAクラス風だが、センターコンソールをはじめデザインは異なる。

機能的なインテリアはAクラス風だが、センターコンソールをはじめデザインは異なる。

ヒットの法則

メルセデス・ベンツ B200ターボ(2006年) 主要諸元

●全長×全幅×全高:4270×1780×1595mm
●ホイールベース:2780mm
●車両重量:1440kg
●エンジン:直4SOHC
●排気量:2034cc
●最高出力:193ps/4850rpm
●最大トルク:280Nm/1800-4850rpm
●トランスミッション:CVT
●駆動方式:FF
●車両価格: 393万7500円(2006年当時)

メルセデス・ベンツ B170(2006年) 主要諸元

●全長×全幅×全高:4270×1780×1605mm
●ホイールベース:2780mm
●車両重量:1380kg
●エンジン:直4SOHCターボ
●排気量:1698cc
●最高出力:116ps/5500rpm
●最大トルク:155Nm/3500-4000rpm
●トランスミッション:CVT
●駆動方式:FF
●車両価格: 299万2500円(2006年当時)

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