歩行者や自転車運転者の道交法違反が急増し、取り締まりが強化されるという話が持ち上がっている。では歩行者が違反した場合、キップを切られたり、反則金を払うことになるのだろうか。この時、ゴールド免許だったら格下げになるのだろうか。そもそも運転免許を持っていない場合はどうなるのだろうか。

歩行者ももちろん道交法を守らなくてはならない

日本の道路(公道)では、歩行者であっても道路交通法(以下、道交法)を守らなくてはならない。道交法の第七条第一項には「道路を通行する歩行者又は車両等は、信号機の表示する信号又は警察官等の手信号等に従わなければならない」とある。歩行者も信号を守らなくてはならないし、警察官の指示に従うことが必要であると書かれている。

この法律は、クルマやバイクなどの運転免許を持たない歩行者にも適用される。幼稚園や保育園、小学校などでも信号を守るように教育されている。筆者の経験でも小さいころから信号を守るように先生から教わり、小学校には小さな教習所のような施設があり、自転車の走り方も教育された。運転免許を持っていなくても、日本の教育制度のなかで育った人は、道交法を知らなくても信号を守ることが必要なことは理解しているはずだ。

ところが歩行者の中には、信号を守らなかったり、横断禁止の場所でも通行したりと、違反をする人も多い。この違反によって重大な事故につながることも多いのだが、歩行者の違反は減っていないように感じる。歩行者の違反データを探したが、そうした資料は見つけることができず、出てくるのは最近になって取り締まりが強化された「横断歩行者等妨害等違反」の取り締りデータばかり。これを見ると2014(平成26)年の横断歩行者等妨害等違反件数は9万4433件だが、2018(平成30)年には18万1290件に倍増している。

画像: 歩行者の中には、信号を守らなかったり、横断禁止の場所でも通行したりと、違反をする人も多い。

歩行者の中には、信号を守らなかったり、横断禁止の場所でも通行したりと、違反をする人も多い。

歩行者に違反点数がつくことはない

クルマを運転する側は取り締まられて反則金を納め違反点数も付くが、歩行者が取り締まられて違反キップを切られたという話は聞いたことがない。運転免許を持っている人が、歩行者として違反してもキップを切られたり、違反点数が付いたという話も聞いたことがない。道交法では歩行者も信号を守り、警察官の指示に従うことが定められているが、それを守らないためにゴールド免許の人が歩行者としての違反を理由に格下げされることは考えにくい。そもそも違反制度には歩行者が含まれていないから、取り締まられると刑事罰ということになってしまう。

筆者が覚えている歩行者の取り締まり例は、新興宗教団体のオウム真理教の信者に対して行われたものだ。当時、警察庁はオウム真理教の犯罪を疑っていたが、明確な証拠がなく、捜査が思うように進展しなかった。そこで警察官の指示に従わず、道路を動かずにとどまった信者を道交法違反で検挙するという、従来にない運用をした。確かに道交法の目的は「交通の安全と円滑」だが、特別な状態だったとはいえ、法の運用としてはこの微罪逮捕にいまなお疑問が残る。

軽車両である自転車の取り締まりも行われているが、摘発されることは少なく、これまで警告書で済まされることが多かった。しかし、近年悪質な自転車の違反が多く、2015年の改正道路交通法から悪質な違反を繰り返す自転車の運転者に講習が義務化されることになった。信号無視などで交通の危険を生じさせる恐れがあると認められると、自転車運転者講習の受講が義務付けられる。対象者は14歳以上で受講命令の要件となる違反行為を3年以内に2回以上反復して行った自転車運転者。自転車運転者講習は、講習時間が3時間で講習手数料が6000円。受講命令に違反した場合は(無視して次項しなかった)、5万円以下の罰金。罰金だから前科が付くことになる。

自転車の違反は昔からあったが、自転車ブームによって違反者が増えたことで道交法が改正された。警察側としては、クルマなどと同じ反則金制度を自転車にも適用したいところだろうが、そうなると国民からの反発を招くことになるため、講習という方法を考えたわけだ。これと同じように歩行者の違反がいま以上に多くなると、自転車と同様の措置が取られる可能性もある。歩行者も自身の安全のためにも道交法を守ることが必要だ。(文:丸山誠)

画像: 現時点では、ゴールド免許の人が歩行者としての違反を理由に格下げされることはないだろう。

現時点では、ゴールド免許の人が歩行者としての違反を理由に格下げされることはないだろう。

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