車齢が10年を過ぎたあたりから、ATシフトレバーをDレンジにしたまま停車・アイドリングしているとカタカタと細かい揺れが出るようになってきた。走行中の不自然な揺れや異音だったらすぐさま点検に持っていくところだが、いまのところ故障しているようにも感じない。いったいどんな要因が考えられるのか。

まずは、エンジンが「良い状態」でまわっているかをチェックしよう

アイドリング時の振動について、いくつかの原因が考えられる。ただその前に、基本的なエンジンのメンテナンス面から点検していくことが大切。きちんと整備し、メーカーが定める定期交換部品や定期点検といった作業をしているか考えてみたい。車齢が10年を過ぎているとなると、いろいろな部品の定期交換時期を迎えている可能性もあるので、いくつか見ていこう。

まずはエンジンの吸気系、エアエレメントの交換を忘れていないだろうか。ガソリンエンジンを例にとると、基本は「よい混合気/よい圧縮/よい点火」の3つの条件が整わないと正常に稼働しない。

エアエレメントが長期間交換されずにうまく吸気できない場合、回転が不安定になりやすい。走行時の症状がなかったとしても、アイドリング時の回転が一定でなくなり、それが振動として伝わることもある。Dレンジにしたままブレーキを踏んで停車していると、古いトルコンATの場合ニュートラル制御が行われないため負荷がかかり、回転がバラつくことも考えられる。

エアエレメントの点検と交換は比較的簡単だからユーザーでもできるし、もちろんカー用品の量販店でも交換作業してくれるところが多い。ディーラーで定期点検している車両ならエアエレメントは定期的に交換されているはずだ。

画像: エアフィルターを交換するところ。汚れの詰まった状態では、「よい混合気」をエンジンに送り込むことはできない。

エアフィルターを交換するところ。汚れの詰まった状態では、「よい混合気」をエンジンに送り込むことはできない。

エアエレメントを点検してきれいだった場合、次に疑いたいのが点火(スパーク)プラグ。10年前のクルマでも、火花が飛ぶ電極部に白金を採用した白金プラグやイリジウムプラグが使われていることが多い。このプラグの特長は交換サイクルの長さだ。メーカー推奨の交換時期は走行10万kmに設定されていることが多く、車齢10年なら交換時期を過ぎていることもあるだろう。ボンネットフードの裏やエンジンの近くに交換の目安(走行距離や時期)がかかれていることが多いため、これを過ぎていれば迷わず交換したい。

じつは過去、筆者もプラグ交換時期にまつわるミスを犯したことがある。愛車のオドメーターが10万kmになったころ、白金プラグの交換時期であることは認識していた。しかし、メーカー推奨交換時期のマージンを考慮して「もう少し走ってから」、などと思っているうちに交換を失念してしまった。トラブルも不調もなく好調そのもので、燃費も良かったのだ。

その後、走行距離16万kmを突破したころ、「チリチリ」という軽いノッキング音が走行中に発生していることに気づいた。試しにアンチノック性の高いプレミアム(ハイオク)ガソリンを入れたり、意外なことに外気温が下がるとレギュラーガソリンでも症状が消えたりしていた。ところがそのうち、チリチリ音はせき込むような振動をともなうアイドリング不調、明らかな異常状態へと発展。そこでようやく原因を考え、思い出したのが点火プラグの交換だった。推奨交換時期から6万kmもオーバーしていたのだから当然だろう。

画像: 交換サイクルの長さが特長の白金プラグ。だからこそ、交換時期には気をつけたい。

交換サイクルの長さが特長の白金プラグ。だからこそ、交換時期には気をつけたい。

次に点検したいのが、吸気の電子制御スロットルの汚れだ。とくにエアエレメントを交換していなかった車両は、吸気スロットル内部の汚れによってアイドリング不調を起こすこともある。こうした汚れは市販のクリーナーで落とせることもあるが、ディーラーや整備工場などで点検清掃してもらうほうが良い。車両診断装置によって、スロットルの不調かどうか判断できることもあるからだ。

車齢10年以上ということを考えると、エンジンマウントも疑ったほうがいいだろう。とくに「液体封入式エンジンマウント」は劣化すると振動を伝えやすくなる。一般的なゴム製であっても経年劣化でひび割れたり、場合によっては切れていることもある。これはトランスミッションのマウントも同じだから同時に確認したい。詳しく点検するためにはリフトアップする必要があるから、これもディーラーや整備工場などに任せたほうがいいかもしれない。

ここまでいくつかの可能性を紹介してきたが、振動の原因特定は難しく、エンジンとは関係ない意外な部品の故障によって発生しているケースもある。経験豊富なメカニックならその原因を素早く見つけてくれる可能性も高まるので、やはりプロによる点検をオススメしたい。(文:丸山誠)

画像: これは新型カムリのパワートレーンで、赤線で囲った部分がエンジンマウントのひとつ。

これは新型カムリのパワートレーンで、赤線で囲った部分がエンジンマウントのひとつ。

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