アメコミライターとして活躍する杉山すぴ豊さんの連載コラムです。 アメコミ関連の映画について、縦横無尽に楽しい知識、お得な情報などをみなさんにお届け。今月は、あの“悪カワ”が 大暴れする3月20日公開の「ハーレイ・クインの華麗なる覚醒 BIRDS OF PREY」のお話をたっぷりと。

杉山すぴ豊
アメコミ系映画ライター。雑誌や劇場パンフレットなどにコラムを執筆。アメコミ映画のイベントなどではトークショーも。大手広告会社のシニア・エグゼクティブ・ディレクターとしてアメコミ映画のキャンペーンも手がける。

あの「ジョーカー」とこの「ハーレイ・クイン」が 同じ世界の住人って、DCは懐が深いなあ

一足お先に「ハーレイ・クインの華麗なる覚醒BIRDSOFPREY」を観てきました。皆さん、ご安心ください!こういうハーレイ・クインが観たかった!と心から思える快作。ハーレイ・クインとはバットマンのコミックに登場する女ヴィランで、あのジョーカーの恋人。ジョーカーがピエロなら彼女は道化師をイメージしたコスチュームないしメイク。

映画の方では「スーサイド・スクワッド」でスクリーンに初登場。マーゴット・ロビーが演じており本作でも続投です。従ってこの映画は「スーサイド・スクワッド」の続編でもあるのですが、改めてハーレイを主役に、そして彼女のオリジン(誕生秘話)から語ってくれるので、この作品から見始めても大丈夫。

物語はジョーカーと別れたことで街中の悪党から狙われるハメになった(ジョーカーの恋人だったので今まで彼女には手を出せなかった)ハーレイが、やはりワケありの女性たちと共に邪悪な犯罪王ブラックマスクに挑むというガールズ・アクション。

もともとハーレイ自体がポップでクレージーなキャラなので、映画のトーンも明るく楽しくバイオレンス。とにかくマーゴット・ロビーのキュートさが際立ち、デッドプール×タランティーノ×アイドル映画という感じのエンタテインメントです。前作「スーサイド・スクワッド」も悪くはなかったのですが、他のキャラも多いからハーレイの出番はそこそこでした。

しかし本作は終始ハーレイがしゃべくりまくり、豪快に敵たちをなぎ倒していきます。もっともっとハーレイのかわいさと暴れっぷりを楽しみたい、という気持ちにストレートに応えてくれました。

画像: 女性たちがチームを組むガールズ・アクションでもあります © 2020 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved TM & © DC Comics

女性たちがチームを組むガールズ・アクションでもあります
© 2020 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved TM & © DC Comics

ハーレイ・クインはマンガが原作ではなくアニメが原作なのです

さてハーレイ・クインがデビューしたのは1992年。80年の歴史を持つバットマンの中では“割と最近”デビューしたキャラです(ちなみにキャットウーマンのデビューは1940年)。しかもコミックではなく、バットマンのアニメ・シリーズにオリジナル・キャラとして登場。人気が出たのでコミックの方に“逆輸入”されました。

キャットウーマンには大人の女の妖艶さがありますが、ハーレイには美少女アニメ的なかわいさがある。この違いはハーレイがアニメ発のキャラだからでしょう。

それにしても、あの「ジョーカー」の次に公開されるのが本作で、しかも共にDCコミックのバットマンをベースにしていることに驚きを覚えます。ホアキン・フェニックスの「ジョーカー」とこの「ハーレイ・クインの華麗なる覚醒」で言及されるジョーカーは、同じ原作から生まれたハズなのに全く別物です。

つまり同じ素材でもそれを扱うクリエータ―によって違うものに仕上がる。「ジョーカー」はオスカーの作品賞を狙える「映画」であり、「ハーレイ・クインの華麗なる覚醒」は典型的な「ポップコーン・ムービー」です。

つまりDC世界は、それだけ大きな可能性を秘めたキャラや物語の宝庫だし、また異なるものが存在してもそれらをすべて良しとする懐の深さがある、ということです。“同じ原作なのに全部バラバラ、でもすべてが素晴らしい”。それがDCらしさ、なのかもしれません。

と、ここまで書いて、すごいサプライズが。DCはもともと同じヒーローを扱っていても映画版とドラマ版は“別物”としていました。そのいい例が紅い光速超人フラッシュで、映画「ジャスティス・リーグ」等ではエズラ・ミラーが、TVドラマ版ではグラント・ガスティンがこの役を同時期に演じていました。しかし最近放送されたTV版に、エズラ版フラッシュがゲスト出演したのです。

要は映画版とTV版の世界はパラレルワールドの関係にある(こういう発想をマルチバースといいます)、だから両者とも存在してもいい、と。マーベルはすべての映画やドラマを一つの世界観としてつなげるマーベル・シネマティック・ユニバースという偉業をなし遂げました。それに対しDCは様々な世界(観)が並行して同時に存在する、という戦略に踏み出したのです。この先が楽しみ!

前回の連載はこちら!

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