自ら「神社巡拝家®」を名乗り、これまで訪れた神社は10000社以上! 日本一、神社と旅を愛するバイク乗り「佐々木優太」の神社拝走記。今回は、古来から来福・縁起の神とされ、現在は全国四十四社のキノミヤジンジャの総社として信仰を集める、熱海・來宮神社を訪れた。
※この記事は月刊オートバイ2019年5月号(別冊付録 RIDE)で掲載したものを加筆修正しております。

バイク乗りの神職

2018年末からYouTubeで『神社巡拝家Channel』という、各地の神社に参拝し、神職の方にお話を伺う番組の配信をスタートしました。毎回、とても貴重な話を聞かせていただいている中で、第3回目に登場してくださったのが、今回訪れた熱海市の來宮神社です。

画像: 來宮神社 静岡県熱海市西山町43-1 日本有数の観光地である静岡県熱海市に鎮座する來宮神社。古くから来宮大明神と称し、熱海の地主の神であり、来福・縁起の神様として信仰を集め、全国から大勢の参拝者が訪れます。

來宮神社

静岡県熱海市西山町43-1

日本有数の観光地である静岡県熱海市に鎮座する來宮神社。古くから来宮大明神と称し、熱海の地主の神であり、来福・縁起の神様として信仰を集め、全国から大勢の参拝者が訪れます。
画像: まずは参拝。平日の雨上がりにも関わらず、多くの参拝客が訪れていたことからも、來宮神社がたくさんの信仰を集めていることがわかります。

まずは参拝。平日の雨上がりにも関わらず、多くの参拝客が訪れていたことからも、來宮神社がたくさんの信仰を集めていることがわかります。

番組では、宮司の雨宮盛克さん自らが境内を案内してくださったのですが、その時に、なんと雨宮さんが年季の入ったバイク乗りであることが判明!

ライダーの神職の方にお会いできたことがとても嬉しかった僕は、次はぜひ神社拝走記としてバイクで再訪したいこと、その際は、雨宮さんに愛車と共に登場していただけないかとお願いしました。

その依頼をご快諾いただいただけでなく、今回は特別に! 普段は車輌立ち入り禁止の本殿の前まで、雨宮さんの愛車のVMAXと、僕のCB1000Rを入れることを許可していただいたのです。

画像: 取材日は朝から冷たい雨でしたが、來宮神社に着く直前に雨が上がりました。これもご利益⁉ 温かく出迎えてくださった宮司の雨宮さんと、自然とバイクトークが弾みます。

取材日は朝から冷たい雨でしたが、來宮神社に着く直前に雨が上がりました。これもご利益⁉ 温かく出迎えてくださった宮司の雨宮さんと、自然とバイクトークが弾みます。

画像: 熱海 來宮神社の宮司、雨宮盛克さん。根っからの乗り物好きで、VMAXを選んだ理由は「日本の彫刻のような造形と、圧倒的なパワー」だとか。

熱海 來宮神社の宮司、雨宮盛克さん。根っからの乗り物好きで、VMAXを選んだ理由は「日本の彫刻のような造形と、圧倒的なパワー」だとか。

画像: これまで何度も参拝させていただいた來宮神社ですが、訪れるたびに設備が新しくなり神社として進化を遂げていることに驚かされます。

これまで何度も参拝させていただいた來宮神社ですが、訪れるたびに設備が新しくなり神社として進化を遂げていることに驚かされます。

画像: 本殿への階段を上る。來宮神社は急坂に囲まれており、この日がCB1000Rの初乗りだった僕は、雨+急坂の連続に少々緊張でした(笑)。

本殿への階段を上る。來宮神社は急坂に囲まれており、この日がCB1000Rの初乗りだった僕は、雨+急坂の連続に少々緊張でした(笑)。

ところで、写真を見て「あれ!?」と感じた方も多いかもしれません。そう、今回から僕の旅の相棒がCB1000Rに変わりました! 新しい相棒を選んだ理由はいろいろあるのですが、後ほど改めて書きますね。 

話を戻して、古来から来福・縁起の神として信仰を集めてきた來宮神社。

樹齢2000年を超える御神木「大楠」は、幹を一周すると寿命が1年延びる、願い事が叶うなどの言い伝えがあり、境内は日々多くの参拝者で賑わっています。

そして來宮神社の年間参拝者数は、約10万人強だった2005年から、2018年までの10数年で、70万人に迫るまで増加しているのです。

画像: 鳥居を正面に、右側の坂を入ると二輪用スペースが。バイクの出し入れに優しいフラットな場所で、屋根付きの配慮もありがたいですね。

鳥居を正面に、右側の坂を入ると二輪用スペースが。バイクの出し入れに優しいフラットな場所で、屋根付きの配慮もありがたいですね。

新しい神社つくりの挑戦

來宮神社の参拝者数が飛躍的に伸びた大きな要因は、雨宮さんが宮司となってから取り組んできた「心さやかに参拝できる環境つくり」プロジェクトにありました。

プロジェクトの目的は、世代を超えた参拝者に五感(観・囁き・暖・食・香)で神社を感じてもらい、気持ちよく参拝できる環境をつくること。 

実際に來宮神社を訪れると、従来の神社のイメージとは異なる様子に、驚かれる方も多いのではないでしょうか。

美味しいコーヒーや、御祭神に縁ある食材を使った『来福スイーツ』が楽しめるオープンカフェがあったり、御神木を拝み眺めながらゆったり過ごせる『大楠五色の杜』という休憩スペースがあったり…。

境内を案内してくださったのは、権禰宜の三木文裕さんです。大楠参道『楠への小路』には、お祓いや身を清める意味を持つ草木が植えられています。

画像: 樹齢は2100 年を超えるといわれる御神木の大楠。高さ約26 m、胴回りが約23 . 9 mの本州一位の巨樹で、「長寿の神木、成就の神木」として信仰を集めています。毎年5月5日の大楠祭は、大楠が新葉を付け、生命力に満ち溢れた時季に行なわれます。

樹齢は2100 年を超えるといわれる御神木の大楠。高さ約26 m、胴回りが約23 . 9 mの本州一位の巨樹で、「長寿の神木、成就の神木」として信仰を集めています。毎年5月5日の大楠祭は、大楠が新葉を付け、生命力に満ち溢れた時季に行なわれます。

画像: 茶寮「五色の杜」 大楠を側面から拝み眺められる休憩処は、各種神事や、写真展、能の演奏会などイベントも開催され、夜にはラ イトアップされます。 茶寮では自分で立てられるお抹茶セットなどが人気。僕のお気に入りは、御祭神の五十猛命がこの地に鎮座した時に、御神前にお供えされた『麦こがし』のソフトクリーム、落雁添えです。

茶寮「五色の杜」

大楠を側面から拝み眺められる休憩処は、各種神事や、写真展、能の演奏会などイベントも開催され、夜にはラ
イトアップされます。
茶寮では自分で立てられるお抹茶セットなどが人気。僕のお気に入りは、御祭神の五十猛命がこの地に鎮座した時に、御神前にお供えされた『麦こがし』のソフトクリーム、落雁添えです。
画像1: 五感で感じる神社とは? 静岡県熱海市・來宮神社の新たな取り組み/神社巡拝家・佐々木優太の「神社拝走記」【第19回】

こうした新たな試みは「もっと大勢の人に、気楽にお参りに来ていただきたい」という願いが形になったものです。

「私たちの仕事で最も大切なことは、神々のお世話を一所懸命にさせていただくこと。ですが参拝にいらっしゃる方々がいかに気持ちよく、神様にお礼を言ったり、祈りを捧げやすい環境を用意できるかも、とても大切な役割です。神社は、神様と参拝者を結ぶアシスト的な存在の『なかとりもち』なんですよ」

雨宮さんが、宮司となったのは6年前。当初はより良い参拝環境のために、何を変えるべきか悩んだそうです。しかし「何を変えるか」ではなく、「何を変えてはいけないのか」を決めることで、新しい神社つくりに必要なことが見えてきたとか。

「昔の神社は、今ほど敷居が高くなかったと思うんです。もちろん今も、真剣にお祀りする場であることは変わりませんが、昔はもっとみんな気軽にお参りして、大勢の人が集まって情報を交換できる場だったのではないかと思います。守るべきところはしっかり守りつつ、神様に心地良く居ていただける場所であり、参拝者の皆さんも気持ちよく過ごせるような、そんな境内を作っていきたいですね」

この言葉を聞いた時に、僕は感動の余り涙が出そうでした。

参集殿の憩いのスペース

画像: 境内参集殿脇に併設された茶寮『報鼓(ほうこ)』。麦こがし入りおしるこ、橙(だいだい)のシフォンケーキなど、神饌にちなんだスイーツや、こだわりの堀口珈琲が楽しめます。 また、五感を感じる境内つくりの一環として開発された、楠の樟脳の香りを主とする來宮神社オリジナルアロマオイル『SOU(創・想・爽)』を提供しています。

境内参集殿脇に併設された茶寮『報鼓(ほうこ)』。麦こがし入りおしるこ、橙(だいだい)のシフォンケーキなど、神饌にちなんだスイーツや、こだわりの堀口珈琲が楽しめます。
また、五感を感じる境内つくりの一環として開発された、楠の樟脳の香りを主とする來宮神社オリジナルアロマオイル『SOU(創・想・爽)』を提供しています。

画像3: 五感で感じる神社とは? 静岡県熱海市・來宮神社の新たな取り組み/神社巡拝家・佐々木優太の「神社拝走記」【第19回】
画像4: 五感で感じる神社とは? 静岡県熱海市・來宮神社の新たな取り組み/神社巡拝家・佐々木優太の「神社拝走記」【第19回】

インスタ映えする神社⁉

画像: 境内の各所に自由にスマホを置いて撮影できるスタンドが設置されており、撮影に使える小道具なども用意されています。 枯れ葉を使ってハートマークが作られていたり、参拝者のみなさんが心地よく、楽しみながら過ごせるような工夫が境内のあちこちになされているのです。

境内の各所に自由にスマホを置いて撮影できるスタンドが設置されており、撮影に使える小道具なども用意されています。
枯れ葉を使ってハートマークが作られていたり、参拝者のみなさんが心地よく、楽しみながら過ごせるような工夫が境内のあちこちになされているのです。

画像5: 五感で感じる神社とは? 静岡県熱海市・來宮神社の新たな取り組み/神社巡拝家・佐々木優太の「神社拝走記」【第19回】

来福から禁酒までさまざまな御神徳が

画像: 2014 年に完成した参集殿には約70畳の広さを持つ御神札・お守り授与所が。ご祈祷や御朱印もこちらで受付ます。

2014 年に完成した参集殿には約70畳の広さを持つ御神札・お守り授与所が。ご祈祷や御朱印もこちらで受付ます。

商売繁盛、健康長寿など多くのご利益がありますが、珍しい『禁酒』の神様としても信仰されてきました。現在は禁煙、禁賭博など『断ち物』の神徳にあやかる参拝者も多いとか。

人と人の縁をつなぐ場所

熱海の地主の神でもある來宮神社の試みは、新しい境内つくりに留まりません。2018年は熱海を訪れる観光客と地域の歴史や情報を結ぶ場所として、『結び葉』と呼ばれる3つの情報発信地を作りました。

その語源は常緑樹である楠の葉が、3〜5月の葉の入れ替え時期に、親の葉と子の葉が重なって結ばれたようになる様を表す言葉。さまざまな繋がりを表す言葉として、俳句の枕詞にもなっています。

「縁結びは男女の縁に限らず、友達とか家族とか、さまざまな縁があります。その縁がより一層固くなり、絆に育つようにと願いを込めてつけた名前です。本当に小さな施設ですが、おかげさまでみんなでワイワイ情報を集めたり、作戦会議をする場として使ってもらっています」 

その他にも、來宮神社は地元の方々と協力しながら、観光地として熱海を盛り上げるための様々な取り組みに挑戦しています。一時期は観光客の落ち込みが激しかった熱海ですが、現在はかなり大きなV字回復中て、年間宿泊者数が300万人を超えたとか。こうした現状に、來宮神社の存在が大きく寄与していることは間違いありません。 

地域と神社を結ぶ3つの“結び葉 
 
3つの結び葉はいずれも、梅園~來宮神社~宮坂~糸川沿いの桜並木~ジャカランダ散歩道という、散策コースの途中に設けられています。神社の入り口にある「鳥居の結び葉」では、来福スイーツや軽食が楽しめ、神社から徒歩数分の「梅園の結び葉」には、熱海市を一望できる展望台を設置。神社に向かう細い上り坂にある「宮坂の結び葉」では、神社の由緒、地域の情報、天気やニュ-スなどの映像やチラシ、無料Wi-Fiなどを観光客に提供しています。

画像: 梅園の“結び葉”

梅園の“結び葉”

画像: 鳥居の“結び葉”

鳥居の“結び葉”

画像: 宮坂の“結び葉”

宮坂の“結び葉”

しかも雨宮さんは、我々バイク乗りに向けても、嬉しい言葉を掛けてくださいました。

「スペースに限りはありますが二輪駐車場もありますし、安心してバイクで参拝にいらしてください。東京から100kmちょっとですし、一泊にも、日帰りツーリングにもちょうどいい距離ですよね。じつは私自身も、東京出張で複数箇所まわりたい場所がある時は、機動性に優れたバイクで行くことが多いんです(笑)。熱海は日帰り温泉施設も多く、旅の途中に温泉を楽しんでいただけますし、伊豆半島の入口なので、時間があればここから伊豆半島一周ツーリングを楽しむのもオススメですよ」

バイクを停める場所があり、参拝できて、しかも境内で椅子に座ってコーヒーが飲める。そのうえ、周辺に魅力的なツーリングルートが満載とは、こんなにもバイク乗りに嬉しい神社はなかなかありませんよね。來宮神社では、未来に向けた、新しい神社のひとつの形を見せていただいた気がして、幸福な気持ちで僕は帰路につきました。

画像1: 人と人の縁をつなぐ場所

そして最後に、神社拝走記の新しい相棒の話を少しさせてください。僕がなぜCB1000Rを選んだのか。その理由はいくつかあります。

全国の神社を巡るために、長距離走行が快適にできる排気量が欲しかったことや、多い時で一日に20〜30社を巡るため、取り回しが容易な軽いバイクが欲しかったこと。また、カフェスタイルが好きだというのもありました。

そして、ちょっと漠然とした言い方になりますが、僕はニューモデルに乗って、バイクと自分の歴史をイチから新しくスタートさせたいという欲が、すごく強かったのです。

CBという長い歴史を持つシリーズの中で、異端児的に出てきたCB1000R。ですが、僕にとっては初めてのCBであり、ここから僕にとってのCBの歴史が始まるのです。CB1000Rと共に、神社拝走記の旅は続きます!

画像2: 人と人の縁をつなぐ場所

写真:関野 温/まとめ:齋藤ハルコ
※この記事は月刊オートバイ2019年5月号(別冊付録 RIDE)で掲載したものを加筆修正しております。

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