LEDヘッドライトが放つ光の特性を知っておくことが安全につながる

バイクはクルマよりもはるかにスリムで小さいから、周囲のクルマや自転車、歩行者から見落とされやすい。そのために周囲からよく見えるヘッドライトは特に重要だ。

近年では多くの新型バイクが灯火類にLEDを採用している。LED式はバッテリーにかかる負担が少ないと言われ、ハイテクイメージで商品価値が高くなるというメーカーサイドの都合もあってもはや定番アイテムになっている。

LED照明は長寿命、信頼性、低消費電力、低発熱性でデザインの自由度も高いがコスト的には高いという特徴がある。

同じ明るさを確保する為にLED球はハロゲン球などよりはるかに消費電力が少ないのは周知の事実。

バイクも燃料噴射装置の他にさまざまな電子制御部品を使うようになり、バッテリーにかかる普段は大きくなる一方。バッテリーに負荷が減るだけではなく、消費電力が少ないとバッテリーの軽量コンパクト化が推進できる。消費電力が少ない灯火類のLED化はまさにバイクにはぴったりの装備となる。

画像: 1992年から発売されているホンダ・CB400SFも現行モデルはLEDヘッドライトを採用している。

1992年から発売されているホンダ・CB400SFも現行モデルはLEDヘッドライトを採用している。

今までのハロゲンバルブ式の黄色っぽい色よりもLED式は白い。

その白よりさらに青みがかった白も手に入れることもできるのだが、これはケルビンという色温度の単位で表されるもの。例えば4000より5000、5000よりも6000ケルビンという数値が高いほど白の強さが増して青みがかっていく。

色温度をあげると白色系に絞られ、結果として照射した物のうち白系のものしか反射しないことにもなる

実際の道路にはさまざまなものがあるから色も多岐にわたって反射して見える方が物事がより正確に把握できて安全となる。

例えば土砂降りの雨や濃い霧の中では青白い光よりも黄色やオレンジの方が運転する側から見ても、周囲から見ても実はよく見える

画像: ホンダ・CBR400RはLEDのデュアルヘッドライトを採用している。

ホンダ・CBR400RはLEDのデュアルヘッドライトを採用している。

しかし、その理屈通りに黄色っぽいLED発光にすると新鮮味がないと言うか古臭いヘッドライトを誰もが連想する。

つまり商品性が上がらないからバイクメーカー(クルマメーカーもきっとそうだと思う)としては今さら黄色味が強いLEDヘッドライトはやりたくない、と言うのが本音のはず。

もちろん所定の明るさを確保するためには出力がより必要になる。赤みのかかった色を強く出すLEDにするには発電のためのジェネレーターの強化が必要になる。

そうするとコストがかさみ、エンジンのドライバビリティにも影響する。いちいち面倒くさいことをせず単純に白っぽい色をだすLEDライトが良い、と。

ともかくここではケルビン値が高いことと、運転中に前がよく見える、周囲から見えやすい、ということは別のことだ、と言うこと。

さて、ここで取り上げる写真のバイクはCRF1100Lアフリカツイン。

1000ccでデビューした2016年型から海外でも高い評価を受けてきたが、国内仕様だけではなく輸出仕様でもウインカーポジションランプをセットしている

もちろん2014年モデル以降の他のホンダ車も法規が適応しない一部の国を除くのだが、国内市場向けは以前から継続してウインカーポジションランプを大半のバイクにセットしてきた。

それは従来からの伝統であり、まさにホンダの良心とも言える装備だ。

画像1: LEDヘッドライトが放つ光の特性を知っておくことが安全につながる

本来ならホンダだけではなく世界のバイクメーカーの標準にすべきことではないかとさえ思う。

LED化でヘッドライトの色が白くなるほど、ウインカーポジションランプの黄色は周囲から見落とされにくい=安全性を高めることにつながる。

主たるヘッドライトをサポートする立場としてのウインカーポジションランプは有益ということ。

ウインカー点滅機能だけではもったいない。しかもヘッドライトの故障や破損時でまったくライトが点灯しなくなった、その一瞬の出来事で時にウインカーポジションランプがあなたの存在を知らせてくれるかもしれない。

まさに心強いサポート役:補佐をする色になる。あえてここで触れておきたいのは周囲から見えやすいサポート役としてのオレンジ発光色をここでは意味するもので、光の三原則でいう専門的な用語としての補色を指しているわけではない。

本来はさまざまな色が、さまざまな方向に発光しているのが理想だが、法的な規制も含めてせめて前方向には白いLEDに黄色やオレンジの長い波長のライトがより高めの位置にあれば良いのではないか、という意味。

余談になるがフォグライトはヘッドライトよりも高い位置に設置してはならない決まりになっている。しかし、オレンジ色のウインカーポジションライトは大丈夫。高めの位置により幅広い間隔で左右に配置できるからバイクが周囲からより大きく見える。つまり、見落とされにくい。

画像2: LEDヘッドライトが放つ光の特性を知っておくことが安全につながる

光の直進性が強いLEDヘッドライトは見る角度によってはライトが点灯していないように見えることがある

そんな時に波長の長いオレンジ色を持つウインカーが点灯していると、バイクの存在が周囲からわかりやすい。クルマの運転席からバックミラーに映るバイクを見たときに、先にウインカーポジションライトへ目が行くことがある。

とりわけウインカーポジションライトは比較的高い位置にセットされ、しかもライトの外側にセットされるために、スリムな車体のバイクをより大きく見せて、周囲から見落とされにくくする機能がある。

ただし、例えば右折のために右ウインカーを作動させた場合、ホンダ車は右側が点滅。反対側のウインカーは点灯したままとなる。かつてのスズキもこの方式を採用。

画像: CB400SFもウインカーポジションランプが以前からずっと装備されている。ウインカー入力すると、片方が点滅。残った方はそのまま点灯。これがホンダ式。

CB400SFもウインカーポジションランプが以前からずっと装備されている。ウインカー入力すると、片方が点滅。残った方はそのまま点灯。これがホンダ式。

画像2: 「LEDだから明るくて安全」はウソ? 知らないと怖い、白色の光に潜む危険性【柏秀樹持論・第3回】
画像3: 「LEDだから明るくて安全」はウソ? 知らないと怖い、白色の光に潜む危険性【柏秀樹持論・第3回】

上の写真の赤いバイクはウインカーポジションランプをセットしたものだが、これは右ウインカースイッチを入れると両方のウインカーポジションランプが一旦消えてから右側のウインカーが点滅する。かつてのヤマハとカワサキがこの方式を採用していた。

どちらが好みかという話でもあるし、ロジックとしてきちんと考えてみるのもあり。

バイクは乗るだけではなく、いろいろ考えることができるから楽しい。

文:柏 秀樹

 

P.S.
4回ほど参戦したダカール・ラリーでは他の誰よりも早くからLEDテールランプを採用した。

フィラメントを使う一般型では簡単に衝撃でバルブが切れてしまうから。しかも転倒時にも、どの角度からでも見えやすいように各LEDの配置を放射状にした。

ヘッドライトは衝撃に強いバイク専用ハロゲンでも球切れを起こしたが、整備時間の短縮と持ち運ぶ部品点数削減を考えるとヘッドライトバルブの砂漠での用意は憂鬱だった。

4回目の参戦ではアブソリュート製HIDライトだったのでノントラブルだった。砂漠ではつとに信頼性こそ最優先される。

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画像: バイクとクルマにまつわる安全講演・実技講習 www.youtube.com

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柏 秀樹 プロフィール

大学院生(商学研究課博士課程)の時代に、作家片岡義男氏とバイクサウンドを収録した「W1ツーリング~風を切り裂きバイクは走る~」を共同製作。大学院修了後にフリーのジャーナリストとして独立。以降、ダカールラリーを始めとする世界中のラリーを楽しみながら、バイク専門誌の執筆活動や全国各地でトークショー出演などを行っている。

バイク遍歴60台以上、総走行距離100万キロ以上、そして日本中の主要ワインディングロード、林道のほか世界の道を走ってきた経験をもとに2003年に始めたライディング・アート・スクールをリニューアルして2009年から新たにKRSこと柏 秀樹ライディング・スクールを開校。バイクやクルマの安全と楽しさを一人でも多くの人に熱く伝えることを生き甲斐にしている。

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