ラグジュアリーSUVの先駆けとなるレクサスRXは1998年のデビュー以来グローバルで高い支持を保ち続けている。それは改良のたびに全方位で進化、熟成が重ねられているからにほかならない。(Motor Magazine 2019年12月号より)

プレミアムSUVのジャンルを切り拓いたRX

プレミアムSUVと呼ばれるカテゴリーが隆盛を誇る中でも、レクサスRXの独自性、独創性は色褪せることを知らないようだ。いや、むしろ周囲にコンペティターたちが増えるほどに存在感がますます際立っていると評しても、決して言い過ぎではないだろう。

そもそもRXは、このカテゴリーの先駆者である。乗用車のシャシを用いることで高い快適性を実現しながら、大径タイヤや4WDシステムなどによってオフローダーに負けない走破性を備え、しかも内外装はラグジュアリーカーとして仕立てられたRXのブレイクを追いかけるかたちで、プレミアムSUVというジャンルは伸長してきたのだ。

そんなRXは現行型が4世代目。今回のマイナーチェンジでも、その独自のコンセプトに変化はない。RXらしさとは、たとえばデザインである。スピンドルグリルを起点とするシャープなフロントマスクや大胆なキャラクターライン、クーペのように寝かされたリアウインドウといったアイデンティティは不変だが、よく見ればヘッドランプは小型化され、フォグランプの形状も変更されるなど、細かく細かく手が入っている。

サイドビューではホイールアーチモールのデザインを変更。さらに、18、20インチホイールも新タイプとなった。そしてリアに回ると、バンパー形状の変更によって視覚的な安定感が増しているのに気づく。

フロントに合わせて、テールランプの「L」モチーフを反復させたデザインも変更されて、点灯時のアピール度を高めている。

Fスポーツは、前後バンパーの大胆な意匠、専用パターンのグリルとトーンを合わせた漆黒メッキのモールなどで、よりアグレッシブな姿とされた。ホイールもダークプレミアム塗装で精悍さを強調。ベースモデルとどちらを選ぶかは悩ましい話となりそうである。

画像: マイナーチェンジを機に走りの質が一段と向上。狙ったラインに一発で乗せることができる。

マイナーチェンジを機に走りの質が一段と向上。狙ったラインに一発で乗せることができる。

世界初となる装備も採用。スマートフォンとも連携強化

貪欲に先進技術を取り入れるのもRXの伝統だ。過去にはプレミアムSUVとして初めてハイブリッドモデルを設定するなど、常にパイオニア精神が漲っている。

今回の目玉は、世界初となるブレードスキャン式アダプティブハイビームシステムの設定だ。これ、文章で説明するのは非常に難しいのだが、マトリックス式のようにずらり並んだLEDを個別に点灯、消灯させるのではなく、LEDの光を高速回転する配光制御用のブレードミラーに照射し反射させ、レンズを介して前方を照らすというものである。

要するに配光がより緻密に制御できるためハイビーム照射範囲が拡大し、夜間の視認性を大幅に向上できるのだ。そしてインテリアでは、マルチメディアシステムに12対3インチへと大幅にサイズアップしたタッチディスプレイが採用された。最後までジョイスティック式とされていたリモートタッチもタッチパッド式に。Apple CarPlayやAndroid Auto対応のスマートフォン連動機能にも対応した。

そして走りである。率直に言ってRX、従来モデルは静かで乗り心地良く快適ではあったが、ドライビングファンはそこそこというレベルだった。むしろ先代後期型の方が操り甲斐があったかもしれない。らしさという意味ではそれでいいかもしれないが、RXはレクサスきってのボリュームセラーということで、今回は驚くほど細部にまで手が入れられている。

土台となる車体は、アッパーボディのスポット溶接7カ所追加と構造用接着剤使用部の2.3mの延長、ロアボディの構造用接着部1.9m延長によって剛性を高めた。そしてシャシは、ハブベアリングの剛性アップ、リアスタビライザー径の拡大、ブレーキ制御によりアンダーステアを軽減するアクティブコーナリングアシストの搭載、EPSの再チューニングを実施。加藤武明チーフエンジニアがどうしても使いたかったという高周波振動を低減するフリクションコントロールダンパー、減衰力の連続可変制御を可能としたNAVI・AI-AVSも採用する。

さらにFスポーツでは、車体の微振動を減衰するパフォーマンスダンパーをボディ前後に装着し、電動アクティブスタビライザーを組み合わせた専用チューニングのサスペンションを備える。ロールを抑えつつも、しなやかに動かすのが、一番の狙いだ。

違いは、走ればすぐにわかる。印象は、まるで体幹が鍛えられたかのように走りの軸がビシッとした。リアがしっかり落ち着いているおかげで操舵初期から応答が正確で、狙ったラインに一発で乗せることができる。あやふやさが薄まったフットワークは走りの質が一段上がったと感じさせる。

それでいて定評の快適性は犠牲となっていない。フリクションコントロールダンパーだけでなく、土台となるボディの剛性アップ効果も大きいのだろう。サスペンションの動きは終始滑らかだし、微小なビリビリ、ブルブル感も消し去られたかのようだ。

画像: Fスポーツはアルミ製スポーツペダル&フットレスト、ディンプル本革ステアリングホイール&シフトノブなど専用品が多い。

Fスポーツはアルミ製スポーツペダル&フットレスト、ディンプル本革ステアリングホイール&シフトノブなど専用品が多い。

450hLの3列目シートに2種類のポジションを設定

試乗したRX450hの3.5L V6アトキンソンサイクルを用いたハイブリッドパワートレーンに変更はないが、動力性能やドライバビリティには今も十分に満足できる。ただし、とくにエンジン始動中の騒音などは、もう少し抑えたいとも感じた。これは今までは感じていなかったことだが、おそらくシャシ側の走りの質が大幅に向上したせいで、浮かび上がってきたのかもしれない。

2017年末に設定されて以来、好評だというRX450hLも試したが、こちらにはもうひとつ、嬉しい変更が施された。3列目シートに2種類のポジションが設定されたのだ。これによって身長170cmくらいまでの人が窮屈さを感じないで座れるようになった。市場の声に登場1年半で迅速に応えてきたのは素晴らしい。

他にも触れたい所はあるのだが、ともかく言えるのはマイナーチェンジにもかかわらず本当に隅々まで手が入れられたということ、そしてそれらがすべてRXに新たな価値を付け加えているということだ。変わらないからではなく、常に進化し続けているからこそ定番でいられる。そんなRXの好調ぶり、ますます拍車がかかるのは間違いないだろう。(文:島下泰久)

画像: V6エンジンには高い燃焼効率を持つD-4S、Dual VVT-iなどを採用。

V6エンジンには高い燃焼効率を持つD-4S、Dual VVT-iなどを採用。

試乗記一覧

■ レクサスRX450h Fスポーツ 主要諸元

●全長×全幅×全高=4890×1895×1710mm
●ホイールベース=2790mm
●車両重量=2130kg
●エンジン= V6DOHC
●排気量=3456cc
●最高出力=262ps/6000rpm
●最大トルク=335Nm/4600rpm
●モーター最高出力=前167ps/後68ps
●モーター最大トルク=前335Nm/後139Nm
●駆動方式=4WD
●トランスミッション=電気式無段変速機
●車両価格(税込)=773万円

コメントを読む・書く

This article is a sponsored article by
''.