亡くなった父親の遺言により“通夜ぶるまい”として母親が作った目玉焼きをきっかけに、家族が昔の思い出を振り返っていく様子を描いた映画『最初の晩餐』。
今作で主人公の兄・シュンを演じた窪塚洋介のインタビューをお届けする。
画像: もう一度“家族になる瞬間”を描いた
『最初の晩餐』
窪塚洋介インタビュー

今作で主人公・東麟太郎役を演じるのは『ヒミズ』(11)を始め、幅広い作品で多彩な顔を演じ分ける実力派俳優の染谷将太。
その姉・美也子役には2019年後期NHK連続テレビ小説「スカーレット」でヒロインを務める戸田恵梨香、ある事件をきっかけに家族の元を離れ、15年ぶりに姿を見せる兄シュン役にはマーティン・スコセッシ監督の『Silence-沈黙-』(17)の窪塚洋介、母親のアキコ役に斉藤由貴、父親の日登志役に永瀬正敏と豪華キャスト陣が集結。
非常に重要な役を演じた窪塚に、今作の撮影秘話や永瀬との共演エピソード、更に最近オススメの映画について語ってもらった。

永瀬さんと丁寧に気持ちをぶつけ合えるような芝居ができたのは嬉しかった

ーー常盤監督の実体験をもとに“通夜ぶるまい”で次々と出される料理から過去の出来事を思い出していくという、今作の物語についてどう思われましたか?
「料理の味もそうですけど、他にも音楽や匂いとかで過去の記憶が蘇ることってよくありますよね。むかし交わした会話まで思い出すこともあるし。中でも音楽を聞くと色んなことを思い出すので、アーティストが出す“アルバム”ってまさにその通りだなと思って(笑)。普段は五感の中に色んなものが閉じ込められていて、ふとしたときにそれが呼び覚まされるというか。僕は良い音楽やおいしいご飯を食べた時に視界を遮ってそれを味わおうとするから思わず目を閉じてしまうんです。その瞬間は“プレシャス”を味わっているので、それも含めて五感の中に閉じ込めているのかななんてちょっと思いました」

画像1: 永瀬さんと丁寧に気持ちをぶつけ合えるような芝居ができたのは嬉しかった

ーーちなみに食に関して何かこだわりはありますか?
「20年ぐらい前からコンビニで売っている食べ物や某ファーストフード店のものは徹底して口にしないようにしています。食べたものが体や心を作り、自分の人生を作っていくんだと思うと自然と気をつけたくなるというか。嫁ももちろん俺と同じ意識で食生活を大事にするようにしてくれています。だからといってビーガンというわけでもないんですけど、いまハッピーに過ごせているのはそういったことの積み重ねもあるのかなと思って。今作に参加したことで、より食生活を大事にしていきたいと思いました」

ーー今作では永瀬正敏さん演じる父親が子供に目玉焼きやピザなどを作ってあげるシーンがありましたが、窪塚さんは普段お料理はされますか?
「それが…料理を全くしないんです(笑)。というのも、嫁が料理が得意でいつも美味しいものを作ってくれるから、そこに甘えちゃってるところがあるかも。食べる専門で生きてますけど、 “料理はしますか?”と改めて聞かれるとちょっとハッとしちゃいますね(笑)。確かに父親も料理ができたほうが子供に良い思い出を作ってあげられるかもしれないですよね」

画像1: Photo by Tsukasa Kubota

Photo by Tsukasa Kubota

ーーシュンが作ったスキヤキを永瀬さん演じる父親が食べるシーンが印象深かったのですが、撮影はどのような気持ちで挑まれたのでしょうか?
「このシーン、俺は凄く好きだし、ある意味この映画の一番の山場とも言えますよね。そこでシュンは久々にオヤジに再会しますけど、永瀬さん演じるオヤジの姿を観て自分が想像していたよりも気持ちが入ってしまったというか、重くなってしまったんです。本当はもう少しクールにやるつもりだったのに、こんな気持ちが出ちゃうものなのかと。監督から“あのシーンの前にもシュンは父親と会ってるからそこまで重くならなくてもいいですよ”と言われて、自分でもわかっているつもりだったんだけど、想像以上に“再会”に対する重さを感じていたんでしょうね。それで、俺が重くし過ぎると作品全体のトーンも重くなってしまうから、もう少し軽くするという作業をしました」

画像2: Photo by Tsukasa Kubota

Photo by Tsukasa Kubota

ーーシュンは実際はその前に父親と再会していても、映像ではそこは描かれていないのでそこを想像で埋めるのは大変な作業ですよね。
「そうなんですよ。“マッターホルン”とか“エベレスト”ってただの山の名前なのに、台詞として聞くとシュンを演じている時は万感の思いがこみ上げてきちゃって(笑)。あとは永瀬さんの役にかける思いがお芝居を通して凄く伝わってきたので、こみ上げる思いを少しずつ削ぎながら、重くなりすぎないように演じるのは大変でした」

画像2: 永瀬さんと丁寧に気持ちをぶつけ合えるような芝居ができたのは嬉しかった

ーー永瀬さんとはドラマ「私立探偵 濱マイク」以来の共演だったそうですね。
「「私立探偵 濱マイク」(02年)の5話に俺がゲスト出演して以来お会いしてなかったので、約16年ぶりだったと思うんですけど、お互いに“この映画であの頃の続きやろうか”という感じでしたね。二人とも年齢を重ねて当時より角が取れて……いや、よく見たらゴツゴツしてるんだけど(笑)、でも遠くからだと丸く見えるというか。父親とシュンのシーンでは互いに変化球を投げ合ったり、静かで地味に見えるけどとても丁寧に気持ちをぶつけ合えるような芝居ができたから、それは凄く嬉しかったです」

Photo by Tsukasa Kubota

ーー弟の麟太郎を演じた染谷さんとご一緒してみていかがでしたか?
「彼は粛々とマイペースに座長として現場にいたから、安心して任せていました。それに今作の現場はスタッフ含めて全員がプロフェッショナルだったから不安になる要素はひとつもなくて、参加できて幸せだなと思いながら撮影していました」

画像3: 永瀬さんと丁寧に気持ちをぶつけ合えるような芝居ができたのは嬉しかった

ーー永瀬さん、窪塚さん、染谷さんで別の作品を作ることになったらどんな関係性の役柄を希望されますか?
「3人とも職人で、突然“超悪い奴モード”になるっていうの面白そうじゃない?(笑)」

ーーそれは是非観てみたいです!(笑)。最後の質問になりますが、ScreenOnline読者にオススメの映画を一本ご紹介頂けますか。
「トークイベントにも登壇させてもらった『ブラインドスポッティング』という映画は凄くオススメです。主演2人が製作と脚本も務めていて、ストーリーや芝居、カメラワークとか色んなとこが荒削りではあるんだけど“世界をひっくり返したい”というピュアな思いが画に滲み出ているんです。人種差別の問題って日本だと描かれることが少ないけど、俺が出演した『GO』(01年)のような在日韓国人の差別は未だにあるわけで。そういうテーマを扱いつつも劇中にはラップミュージックが登場したりして楽しめるし、だけど油断してるとズッシリと重いものが残るような感じの映画です。ちなみにバラク・オバマ前アメリカ合衆国大統領が2018年のベストムービーにこの映画を選んでるんだけど、まぁそういうの関係なく俺は全力で『ブラインドスポッティング』をオススメするので是非観てください!」

画像4: Photo by Tsukasa Kubota

Photo by Tsukasa Kubota

ヘアメイク:佐藤修司

(インタビュアー・文/奥村百恵)

<STORY>
久しぶりに故郷に帰ってきた東麟太郎(染谷将太)は病室で亡き父・日登志(永瀬正敏)と対面し、葬儀の準備をしながら、ありし日の家族を思い出す。通夜の準備が進む実家の縁側で、麟太郎がつまらなそうにタバコを吸っていると、居間ではちょっとした騒動が起きていた。通夜ぶるまいの弁当を、母・アキコ(斉藤由貴)が勝手にキャンセルしていたのだ。なにもないテーブルを見つめて戸惑う親戚たち。日登志の遺言だからと料理を作るアキコ。やがて最初の料理が運ばれてくると、通夜の席はまたざわつき出した。アキコが運んできた料理は目玉焼きだった…。

『最初の晩餐』
11月1日(金)新宿ピカデリーほか全国ロードショー
出演:染谷将太 戸田恵梨香 窪塚洋介 
   斉藤由貴 永瀬正敏/森七菜 楽駆ほか
監督・脚本・編集:常盤司郎
配給:KADOKAWA 
©2019「最初の晩餐」製作委員会

画像: 映画『最初の晩餐』予告編 youtu.be

映画『最初の晩餐』予告編

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