ダートトラック専用のレーシングタイヤには、長年にわたる全米プロ選手権唯一のスペックタイヤ・US DUNLOP DT3 (先代は旧グッドイヤー / DUNLOP製 EAGLE DT2)をはじめ、各メイカーが製造する数種類のモデルがありますが、ここに来て次世代モデル "DT4" の開発が進められている事が明らかになりました。本場トップカテゴリーがAMA PROシリーズからAFT: アメリカンフラットトラックへ名称と体裁を変え、今まさに一大変革期のただ中にある今日この頃、NEWタイヤのコンセプトは時代にマッチした新たなスタンダードとなるのでしょうか?

路面を痛めず・より多く手に汗握る接戦を生むための?新パターンを採用。

WELCOME RACE FANS!! ダートトラックライダー/FEVHOTSレースプロモーターのハヤシです。これまでの数十年、変形六角形ブロックが6列並んで配置されるのがこの種目の専用タイヤの基本でしたが、テスト段階のプロトタイプとはいえ、NEWタイヤDT4・リア用パターンはガラっと大きく様変わりしたデザインをもってきました (フロント用は先代DT3に似た・ただし均等配置パターン) 。

画像1: 路面を痛めず・より多く手に汗握る接戦を生むための?新パターンを採用。

今シーズン各地で開催されるAFTシリーズのレース翌日などに、DT4はAFTとUS DUNLOPに指名された少数のトップ選手たちを中心に繰り返しテストされてきました。先日8月末〜9月にかけて (レイバーデイ・ウィークエンド) のイリノイ州スプリングフィールドでは、AFTに先立って併催されたAMA承認レースシリーズのショートトラック戦で初の実戦投入。ライダーはAFTツインズで今期ヤマハMT-07に優勝をもたらしたJD・ビーチ。ほぼ未知の新タイヤをただ一人使い、他ライダーから借りたバックアップマシンYZ450Fを駆って決勝2位は、まずまず文句のないリザルトと言えるでしょう。

画像2: 路面を痛めず・より多く手に汗握る接戦を生むための?新パターンを採用。

NEWタイヤDT4の特筆すべきデザインコンセプトとしては、 "レーストラックに可能な限りダメージを与えない" トレッドパターンと断面形状を相当に重視し、入念な設計が進められているようです。

近年AFTシリーズが強力に推進するアメリカンスタイル・ダートトラックレースの "グローバル・マーケティング" 的方針にとって、 インターネットを介した世界へのリアルタイム配信やらSNS・メディアでの即時的な情報発信を重視する意味で、スケジュール管理にどうしても不確実の生じる、トラック整備に係る労力とタイムロスをできる限り圧縮したいという、ある種の合理性の現れでしょう。

画像3: 路面を痛めず・より多く手に汗握る接戦を生むための?新パターンを採用。

またこの独特の奇妙なトレッドデザインを採用するもう一つの大きな理由として、接戦を "演出しやすい" 特性が与えられている?とも言われています。数行のプレスリリースと現場の噂程度から判断するのはあまりに早計ですが・・・プロトタイプがお披露目となったばかりのこのタイヤが実際に今後のAFTシリーズで採用されるならば、本場のプロ選手権 = トップカテゴリーの風景は、主導権を握る一部の強力な意図によって大きく様変わりするような?旧来のダートトラックレース好きにはいくらか抵抗感を抱かせる懸念もあるかもしれません。

変わる(べき)ものと変わらない(はずの)もの。

道具を御して競い合うモータースポーツにあって、技術の進化と完全に縁を切ることはおそらく不可能でしょう。伝統的なフォーマットを護るダートトラックカテゴリーでも、何十年もなにひとつ変わらずスタイルを維持するべし、というのはいささかノスタルジックに過ぎる頑な考え方と言えます。

画像1: 変わる(べき)ものと変わらない(はずの)もの。

とはいえ、昔ながらのスタイルにこそ味わい深い魅力を感じる人々の存在ももちろん見過ごせません。ここ数年AFT: アメリカンフラットトラックの進める急激な "世界標準化" が、裾野の広い本場のローカルレースシーンから最高峰シリーズまで連綿と続く、ひとつの大きな流れを分断するかのような、今はまだはっきりとは説明し難い、なにか不穏な気配を感じさせるのも確かです。

画像2: 変わる(べき)ものと変わらない(はずの)もの。

これから本場のレースシーンがどう変わっていき、あるいはどう普遍的であり続けるのか。我々が取り組む日本のダートトラックレースの今後ともいくらかは関係する、興味深いテーマのひとつです。

ではまた金曜日の "Flat Track Friday!!" でお目にかかりましょう!

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