サウナの本場・フィンランドで1年以上ロングラン上映を記録した映画『サウナのあるところ』が、2019年9月14日(土)より、アップリンク渋谷ほかにて公開された。これに併せ、監督のヨーナス・バリヘル、ミカ・ホタカイネン、本作に出演しているミッコ・リッサネン、カリ・テンフネンの4名が来日。

なぜ日本のサウナにはTVがある?

公開初日、満席の劇場でミカ&ヨーナス監督と出演のカリ&ミッコによる舞台挨拶が行われた。元軍人のカリは軍服、ミッコは「映画の中では裸だから」とバスローブ姿での登場。

画像: カリ(中央)とミッコ

カリ(中央)とミッコ

日本では空前のサウナブームが到来中。初めて日本に来たという4名に早速「日本式」サウナ体験をしてもらった感想を聞くと、「これまでの人生でもトップに入るような素晴らしいサウナでした」とヨーナス監督。ミカ監督はその意見に深くうなずきながらも「ひとつだけ疑問があります。なぜサウナにTVがあるの?」と日本独特のサウナ文化にツッコミを入れ、会場を沸かせた。

そもそもなぜサウナを舞台に映画を作ろうとしたのかという問いに対しヨーナス監督は「公衆サウナに入っていたとき、20代の男性2人が入ってきて、”人生を共にする女性を見つけたんだ!”と目を輝かせながら話し始めたんです。他人がすぐそこにいるのに気にならないのかな?と不思議でした。3時間ほどたったころ、今度は60代の男性が入ってきて、”妻と別れる決意をした”と話しだしたんです。私がそこにいるのに!そこで改めて、サウナは男たちにとって、こんなにも心を開ける場所なんだと気づかされました」と、いかにサウナで男たちがプライベートな告白を自然にしているのかを語った。

画像: 「サウナのあるところ」

「サウナのあるところ」

また、個性豊かな人々の様々な人生模様を描いた作品でもある本作。出演した人々はどのように見つけたのか質問されると「フィンランド中のガソリンスタンドのコーヒーショップや公衆サウナで、本作のテーマである”愛情””友情””人生のターニングポイントについて”話してくれそうな人々を時間をかけて探した。特に”こういう話しをしてくれ”とリクエストせず撮影に臨んだので想定外の話もいろいろ聞けました」と答えた。

続いて、出演者へ「サウナという場所で裸で、しかも自分のプライベートな話をすることに抵抗はなかったか?」という質問が投げかけられると、ミッコ氏は「とても恐ろしかったです。話を受けていいのか非常に悩みました。私は子どもを亡くすという辛い経験をしてから、様々なケアサポートグループに参加して、色んな人に支えてもらいました。ですから、この映画で自分の体験を話すことで、自分も誰かの役に立てるのではないかと思ったんです」と語り、元軍人であるカリ氏は「
恐ろしいイメージの軍人でも、ハードな外見の中には温かい、弱い心を持っているんだとわかってもらえたと思います」と、本作に出演した際の周りからの反応を語った。

本作の原題『Miesten vuoro』というのは、フィンランド語で”男の番”という意味だそう。そこに込めた思いをヨーナス監督に聞くと「Miesten vuoro(男の番)というのは、マンションなどいろんな人が入るサウナで男女で時間を分けるときに使う言葉なんです。でももうひとつ込めた意味があります。フィンランドの社会は長い時間をかけて、世界でもトップの男女平等な国になりました。しかし、日本も似ていると思いますが、フィンランドには未だ”寡黙が良い”とよいうようなステレオタイプな男性像があり、男は涙を見せたり感情を出したりすることがタブーのようなところがあります。男性の心のケアという点おいてけぼりになってきている。だからこの映画では、次はあなたの番だよ、男たちよ、ということを言いたかった」と、男女平等が進んだ社会ならではの課題を語った。

画像: ヨーナスとミカ

ヨーナスとミカ

最後に、4名にそれぞれ「あなたにとってサウナとは?」と質問すると、「ひとりで入る場所でもあり、大切な人と入る、コミュニケ―ションの場でもある。フィンランドでは男同士で飲んだり食べたりするとき、しばしば”サウナに入ろう”となります。実は、”来週今回の日本訪問の話しながらサウナはいろう”と、カリと約束してるんです(笑)」とミッコ。続いてカリは「軍隊でもサウナというのは特別なものでした。サウナの中では上下関係がなく、誰もが対等なんです。部下も上司もなくリラックスする場所、それがサウナなんです。国際治安支援部隊(ISAF)でアフガニスタンに行ったとき、フィンランドの部隊が最初にしたことはサウナを建てたことでした。そのくらい大切なものなんです」と自身の軍隊時代の体験を語った。ミカ監督は「私の父は1930年生まれで、水も電気もないとても貧しいところで育ちました。その時代のフィンランドでは、どこの家でもサウナで出産して、亡くなった人の体をサウナで清めたそうです。そういう神聖な場所だったんですね。生まれた時から死ぬまで一生関わる場所がサウナなんです」と話し、ヨーナス監督は「私は子どものころ父親がいなかったもので、サウナのルール、習慣を教わるため、隣の家のおじさんと一緒にサウナに入っていました。そこでおじさんが話していたことがいまでもしみついているんですが、”ロウリュの音はまるで教会のパイプオルガンのよう。その音色が心を癒してくれる”と。サウナは体を洗う場所でもあるが、心を洗う場所でもあるんです」と、いかにフィンランド人にとってサウナが神聖で大切な場であるかを語った。
映画『サウナのあるところ』はアップリンク渋谷、アップリンク吉祥寺、新宿シネマカリテほか全国順次公開中。

https://www.uplink.co.jp/sauna/

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