BMW M1は、1976年当時グループ4/5レースで圧倒的な強さを発揮していたポルシェ934/935の独走を阻止すべく開発されたホモロゲーション用モデルだ。革新的なマシンだったが、生産の過程でさまざまな試練を経験することになる。

打倒ポルシェ! BMW初のミッドシップスポーツカーとして誕生

画像: ミッドシップ、リトラクタブルヘッドライトでフロントビューは低くシャープだ。ただ、キドニーグリルなどBMWらしさも健在。

ミッドシップ、リトラクタブルヘッドライトでフロントビューは低くシャープだ。ただ、キドニーグリルなどBMWらしさも健在。

M1のエンジンは欧州ツーリングカー選手権でグループ5の3.0CSLが使用していた「ビッグシックス」と呼ばれる3.5L直6DOHCを、さらに低重心化するなどして搭載した。ミッドシップ車の製造はBMWにとって未知の領域でもあった。

そこで、ベースとなるシャシ開発をランボルギーニに委託。そこでG.P.ダラーラが開発したシャシをランボルギーニが製作することになる。また、ボディ製作はジウジアーロ率いるイタルデザインに委託した。

画像: イタルデザインの手になるFRPボディはウエッジシェイプで、角形鋼管で構築されたセミスペースフレーム上に架装される。

イタルデザインの手になるFRPボディはウエッジシェイプで、角形鋼管で構築されたセミスペースフレーム上に架装される。

こうしてプロジェクトは動き出したが、ランボルギーニの経営不振で作業は遅々として進まず、BMWは1978年に同車との契約を解消。シャシ製作をドイツのバウアー社に委託する。ただし、これも非効率は免れなかった。シャシをドイツで製作するのは良いとして、ボディの架装はイタリアとなる。さらに最終的にはドイツのBMWモータースポーツ社でサスペンションやブレーキの取付けを行うことになるからだ。

画像: レースのために生まれたという背景もあるのだろうが、豪奢さを廃して機能性に徹したコクピット。BMWの本気が感じられるところだ。

レースのために生まれたという背景もあるのだろうが、豪奢さを廃して機能性に徹したコクピット。BMWの本気が感じられるところだ。

このようなこともあり、月産台数は3台程度。当時のFIAが定めたグループ4規定である「連続する24カ月間に400台の生産」達成に目途は立たず、レース出場が絶望視される状況となってしまったのだ。

M1は1978年秋のパリショーでお披露目される。イタルデザインが手がけたウエッジシェイプのFRPボディは、1972年に製作されたBMWターボを思わせるもの。セミスペースフレームは角形鋼管で構築され、その上にボディが架装される。こうするとフレームが路面からの入力を吸収するため、外板に応力が掛からない。ゆえにデザインの自由度が高く、2560mmという長いホイールベースながら、バランスの良いエクステリアとなった。

画像: エンジンはM88と名付けられた。3.0CSL用のM49/4型をベースにドライサンプ式のオイルパン回りを新たに設計している。

エンジンはM88と名付けられた。3.0CSL用のM49/4型をベースにドライサンプ式のオイルパン回りを新たに設計している。

エンジンはM88型3.5L直6DOHC。BMW初のDOHCエンジンで、ダブルローラーチェーンによるカムシャフト駆動。潤滑系をドライサンプ化したのはレースでの使用が前提だったからだ。

画像: エンジンは直6が採用され、その後にデフ、ミッションが続くためホイールベースは長い。ただし、重量バランスには優れている。

エンジンは直6が採用され、その後にデフ、ミッションが続くためホイールベースは長い。ただし、重量バランスには優れている。

ロードバーションはこれにクーゲルフィッシャーの機械式燃料噴射を装着し、圧縮比9.0:1で277psを発生した。性能は、最高速度262km/h、0-100km/h加速5.6秒と公称している。もちろんレース仕様もあり、グループ4用は470ps、グループ5用は3.2Lにダウンサイズし、KKK製ターボを装着して898psを絞り出している。

グループ4規定をクリアする前の1979年にはF1グランプリの前座レースとして、F1ドライバーによる「プロカーレース」を開催した。これによってM1の存在は広く知られるようになる。1980年、目標の400台目のM1がラインオフ。1981年以降のグループ4参戦を認められたが、1982年からグループCに移行したため、M1によるBMWのレース参戦は短命に終わってしまったのが惜しまれるところだ。

画像: グループ4規定クリアが遅れる中、業を煮やした?BMWは1979年からF1の前座レースとして「プロカーレース」を開催した。

グループ4規定クリアが遅れる中、業を煮やした?BMWは1979年からF1の前座レースとして「プロカーレース」を開催した。

スーパーカー図鑑のバックナンバー

BMW M1 主要諸元

●全長×全幅×全高:4360×1824×1140mm
●ホイールベース:2560mm
●重量:1300kg
●エンジン:直6 DOHC
●排気量:3453cc
●最高出力:277ps/6500rpm
●最大トルク:330Nm/5000rpm
●トランスミッション:5速MT
●駆動方式:リアミッド・縦置き

コメントを読む・書く

This article is a sponsored article by
''.