主人公ルフィと宿敵ダグラス・バレットの独占対談をお届け!劇中では激しい拳を交わす二人だが、実はこの日が“初めまして”。初対面とは思えないほど息の合った掛け合いを見せてくれた。(文・遠藤大礎/デジタル編集・スクリーン編集部)

田中真弓(モンキー・D・ルフィ役)×磯部勉(ダグラス・バレット役)

バレットを演じるうえで意識したのは、彼の特徴的な笑い方ですね

PROFILE

『初めてのアテレコ収録は100分の映画に半日かかりました』

いそべ・つとむ
10月13日生まれ、東京都出身。アニメのほか海外ドラマや映画の吹替も多数担当。主な出演作は「スター・ウォーズ」のハリソン・フォード、「メン・イン・ブラック:インターナショナル」(公開中)のリーアム・ニーソンなど。

叫ぶシーンがあまりにも多すぎて、声が途中でかれてしまいました

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『「ONE PIECE」の世界はハ行で笑わない人が多いです(笑)』

たなか・まゆみ
1月15日生まれ、東京都出身。声優業のほか舞台女優としても活躍。主な出演作は「ドラゴンボール」のクリリン、「忍たま乱太郎」のきり丸、「天空の城ラピュタ」のパズー、「銀河鉄道の夜」のジョバンニなど。

──劇場版『ONE PIECE STAMPEDE』の敵役であるバレットの印象はいかがでしたか?

磯部)僕は「一人だから強い」という彼の信念に励まされたんですよ。僕自身、ぽつねんと一人で過ごす時間は大切なものだと思っているので、「孤独こそが最強」という気持ちはすごく理解できました。だから役作りにおいても自分の感情をストレートに出せば、きっと彼に繋がるはずだと信じていましたね。でも僕には家族がいるのに共感してしまうということは、心のどこかで一人に戻りたいと思っているのかもしれないなぁ......(笑)

田中)男だねぇ......。私はバレットを可哀想な人だと思ってしまったんですよ。ルフィたちがこれまで戦ってきた敵の中には、アーロンやクロコダイルなど許せない奴らも大勢いますが、バレットは出会い方が違っていればきっと仲間になれたはずの人間なんです。

磯部)たしかに彼は純な男で、人としては歪んでいませんよね。田中互いに手を取り合う未来も有り得たのに、なんて可哀想な人生を歩んでしまったんだと。ただ「ONE PIECE」は意外な人物が再登場することも多いので、テレビにも出てくる可能性はありますよ。そうしたら「俺の船に乗れよ!」って言っちゃうかもしれない(笑)

──本編はアクションが盛り沢山。アフレコは別々だったそうですが、白熱したそうですね。

田中)本当に苦労しました。叫ぶシーンがあまりにも多すぎて、声が途中でかれてしまったんです。私としては「きちんと最後まで演じ切りたい」という気持ちもありましたが、サボ役の(古谷)徹さんが「これ以上やったらほかの仕事にも影響が出てしまうよ」と止めてくれて、日を改めて録り直すことにしました。

磯部)僕はその1回目の声が入った映像を見ながらアフレコをしたのですが、「田中さんでも疲れることがあるんだ!」と驚きましたよ。

田中)後半はルフィが弱ってしまったので、バレットにとっては絶好のチャンスだったでしょうね(笑)。録り直しのときは磯部さんの声を聞きながら収録できたので、バッチリ上手くいきました!相手の声が分からないとパターンの芝居を置いていく作業になりがちで、それゆえに寂しくなってしまうんですよ。

磯部)そうですよね。僕たちは相手の芝居に対してどのように返せば、その役柄らしくなるんかを常に考えているんです。たとえば「あのさぁ……」という言葉ひとつにしても、落ち着かせようとしているのか、それとも怒らせようとしているのかは、リアクションによって変わってきますよね。相手の声があると芝居も有機的に繋がっていくものなんです。

──バレット役として最も意識したことは何でしょうか?

磯部)彼の特徴的な笑い方ですね。台本を読んだら笑う場面で「カハハ!」と書いてあって、「この〝カ〞は一体何だ?」と悩みました(笑)。どうしても〝カ〞のところで声が途切れてしまうので難しかったけど、「これが「ONE PIECE」の笑い方なんだ」と思ってやり切りましたよ。田中あの世界では「ハハハ」や「フフフ」などのハ行では笑わない人が多いですから。白ひげの笑い声なんて「グララ!」ですよ(笑)。白ひげを演じていた(有本)欽隆さんも「そんな笑い方をする奴はいない!」とおっしゃっていましたが、本番では「グララララ!!!!!」と完璧な高笑いを披露されていました。磯部(笑)。欽隆さんらしいね。

──お二人は洋画の吹き替えも担当されていますが、思い出に残っている作品はありますか?

磯部)僕は初めてアテレコをした『クレイマー、クレイマー』です。主演のダスティン・ホフマンを吹き替えたものの、映像と声を合わせることができなくて、100分ほどの映画なのに収録に時間もかかってしまいました。僕のために居残りをしてくれたベテランの皆さんは「磯部君、大丈夫だよ。ゆっくりやりなさい」と優しい言葉をかけてくれたのですが、それがまたプレッシャーでね......(笑)

田中)磯部さんにもそんな時代があったんですね(笑)。私は『インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説』のキー・ホイ・クァンが楽しかったです。元気な少年役でしたが、普段のアニメとはまた違った気持ちで収録に臨めました。

──アニメと洋画では演じる上でどのような差がありますか?

磯部)ロジャー役の津嘉山(正種)さんとアテレコについて話をしたときに、自分の芝居を押しつけるのではなくて、〝洋画の役者の感性を大事にしたい〞とお互いの意見が一致したんですよ。ただアニメは絵なので、その〝役らしく〞見せるためにどんな声で演じれば良いのかを掴むのが難しいんです。

田中)アニメはすべての感情が絵で説明されているものだと私は思っています。泣いているときは涙がダーッと出ていて、嬉しいときは大きく口を開いて笑っている。そして役者はその絵に合わせた声を出さなければいけません。でも「ONE PIECE」がすごいのは、心が泣いているときに笑顔が出てくるところなんです。アラバスタ編のラストで、ビビから予期せぬ別れを告げられたルフィは絶対に悲しかったはずなのに、一瞬だけ黙って「そうか!」と笑うんですよ。

磯部)感情と絵が逆になっているんですね。

田中)はい。今生の別れになるかもしれないのに「そうか!」ですべてを表現している。その短い言葉に芝居を乗せることができた時、嬉しかったですし、そう思える絵に出会えることなんて滅多にありません。「ONE PIECE」はそんな体験ができる作品です。

劇場版『ONE PIECE STAMPEDE』/ワンピース スタンピード
2019年8月9日公開
原作・監修:尾田栄一郎(集英社 週刊「少年ジャンプ」連載)
監督:大塚隆史
出演:田中真弓、中井和哉、岡村明美、山口勝平、平田広明、大谷育江、山口由里子、矢尾一樹、チョー、磯部勉
ゲスト出演:ユースケ・サンタマリア、指原莉乃、山里亮太(南海キャンディーズ)
©尾田栄一郎/2019「ワンピース」製作委員会
Photos by Tsukasa Kubota

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