昭和は遠くなりにけり…だが、昭和生まれの国産スポーティカーは、日本だけでなく世界的にもブームとなっている。そんな昭和の名車たちを時系列で紹介していこう。ここでは1970年発売のトヨタ セリカ 1600GTを解説。

元祖スペシャリティカー、そのすべてが新鮮だった

トヨタ セリカ 1600GT:昭和45年(1970年)12月発売

画像: 最高速度は190km/h、0→400m加速は16.5秒とカタログには記載されていた。

最高速度は190km/h、0→400m加速は16.5秒とカタログには記載されていた。

日本で“スペシャリティカー”という新しいジャンルを定着させた最初のモデルがセリカである。では、スペシャリティカーの定義とは?となると難しいが、「スポーツカーでもセダンでもなく、しかしスポーティなムードも持つ」といったところであろうか。

そのセリカのデビューは1970年(昭和45年)12月、兄弟モデルのカリーナとともに発売されている。

セリカとカリーナはパワーユニットからギアボックス、シャシなどをすべて共用しながら、クルマの性格やボディスタイルはまったく別という兄弟車で、高性能スポーティセダンのカリーナに対して、スペシャリティカーを謳ったのがセリカであった。

そしてこのセリカの最強力モデルが、DOHCエンジンを搭載して走りに振った1600GTである。

画像: スペシャリティカーというジャンルは、すでにアメリカでは当時確立されていたが、それを日本に持ち込んだのはセリカだった。

スペシャリティカーというジャンルは、すでにアメリカでは当時確立されていたが、それを日本に持ち込んだのはセリカだった。

搭載エンジンは4気筒DOHC、1588cc、115psの2T-G型で、トヨタの量産型DOHCエンジンの先駆的存在ともなった“名機”である。

セリカ シリーズは用意されたエンジン、ギアボックス、内装、外装などをユーザーの好みでオーダーするフルチョイスシステムなる仕組みを採用したが、1600GTだけはこの2T-G型DOHCをはじめ、内外装もすべてGT専用仕様となり、下位グレードのLT、ST、ETにあったフルチョイスシステムは採用されなかった。

セリカのスタイリングは発売前年の1969年10月のモーターショーに出品されたプロトタイプモデル、トヨタEX-1のそれを生産型に生かしたもので、空力的にも優れた斬新なそのスタイルは、発売直前のモーターショーでも人気を呼んでいた。ボディに組み込まれた一体式バンパーも新鮮であった。

画像: セリカ/カリーナ用に開発された2T型(OHV)エンジンにDOHCヘッドを架装したのが2T-G。最高出力115psの高出力型だ。

セリカ/カリーナ用に開発された2T型(OHV)エンジンにDOHCヘッドを架装したのが2T-G。最高出力115psの高出力型だ。

1600GTはブラックのハニカムグリルやGTの文字入りサイドストライプ、黒一色の内装などで精悍さを強調、ギアボックスも5速MTのみで、最高速は190km/hというスポーツカー並みの性能を発揮した。パワーウインドーや合わせガラスも標準で装備されている。

1600GTVは1972年8月から追加設定された“走り”のモデル。パワーウインドーやAM/FMラジオなどは取り外して装備の簡素化をはかり、代わりに専用のハードサスや185/70HR13のワイドラジアルタイヤなどで足まわりを強化した、走りに徹したマシンだった。

GTVの“V”はビクトリー(Victory=勝利)の頭文字から取ったという「勝つため」のマシンでもあった。ただし搭載する2T-G型DOHCのスペックはGTと同じで、最高速の190km/hも変わらない。

画像: 1600GTからパワーウインドーやラジオなどを取り払って、走りに徹したモデルのGTV。エンジンは同じ2T-Gだが、専用のハードサス、185/70HR13ワイドタイヤを装着して運動性能を高めていた。

1600GTからパワーウインドーやラジオなどを取り払って、走りに徹したモデルのGTV。エンジンは同じ2T-Gだが、専用のハードサス、185/70HR13ワイドタイヤを装着して運動性能を高めていた。

スポーツ派GTVに代表されるセリカのレース活動も、GTV登場前の1971年後半あたりから開始されていた。

その一部を拾ってみても、1971年11月のオールスター・レース、1972年3月の全日本鈴鹿自動車レース、同じくグランドチャンピオンシリーズ第1戦で1600GTはそれぞれクラス優勝、4月のレース・ド・ニッポン、5月の日本GPと鈴鹿1000㎞レース大会、7月のオールスター・レース、11月のツーリスト・トロフィー・レースでいずれも総合優勝、というめざましさである。

画像: 他グレードのインパネにはウッド調やブラウン系のパネルなどが配されていたのに対し、GTのインパネまわりはブラックで統一されていた。

他グレードのインパネにはウッド調やブラウン系のパネルなどが配されていたのに対し、GTのインパネまわりはブラックで統一されていた。

海外レースでも1972年・1973年のRACラリーで連続クラス優勝を飾ったのをはじめ、1974年の南アフリカ・トータルラリーの総合優勝、ニュルブルクリンク・ツーリングGPでクラス優勝、1974年、1975年のマカオGPの連続総合優勝、1975年のスパ・フランコルシャン24時間レースのクラス優勝など、レースはもとよりラリーでも輝かしい戦績を残している。

1973年4月にはLB(リフトバック)シリーズの追加設定で、LB1600GTも加えたが排出ガス規制の強化で1975年11月から、2T-GR型はしばらく生産中止という憂き目に遭い、1600GTはスペシャリティカーという新たなジャンルを開拓しながらも、一時ラインアップから消えることになる。

画像: 1969年の第16回東京モーターショーにトヨタが出展したプロトタイプカー、EX-1がセリカのルーツでもある。

1969年の第16回東京モーターショーにトヨタが出展したプロトタイプカー、EX-1がセリカのルーツでもある。

昭和の名車のバックナンバー

セリカ 1600GT 主要諸元

●全長×全幅×全高:4165×1600×1310mm
●ホイールベース:2425mm
●重量:940kg
●エンジン型式・種類:2T-G型・直4 DOHC
●排気量:1588cc
●最高出力:115ps/6400rpm
●最大トルク:14.5kgm/5200rpm
●トランスミッション:5速MT
●タイヤサイズ:6.45H-13-4PR
●価格:87万5000円

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