この週末はワールドスーパーバイク(=WSBK)第7戦イタリア・ミザノ大会が行なわれました。すでに金曜深夜に速報<https://www.facebook.com/racingautoby/>でお伝えしたように、マイケル・ファン・デル・マーク(ヤマハ)が金曜日のフリープラクティス(=FP)2で転倒、脳震盪と肋骨・右手首骨折(=のちの検査の結果で肋骨に骨折はなかったそう)という波乱の始まり、最後にも大波乱が待っていましたね。

これまで何度もお伝えしているように、ここまで6戦16レース終了時でのポイントランキングは以下のとおり。
■ポイントランキング(6戦終了時)
1:アルバロ・バウティスタ(ドゥカティ) 300P 
2:ジョナサン・レイ(カワサキ)     259P 
3:マイケル・ファン・デル・マーク(ヤマハ)188P 
4:アレックス・ロウズ(ヤマハ)     142P 
5:レオン・ハスラム(カワサキ)     130P 
6:マルコ・メランドリ(ヤマハ)     102P 

画像: ここまでシーズン前半を「圧勝」のバウティスタ そろそろ来シーズンの獲得合戦が始まったみたいです

ここまでシーズン前半を「圧勝」のバウティスタ そろそろ来シーズンの獲得合戦が始まったみたいです

ランキング7位のトプラック・ラズガトリオグル(カワサキ)を含め、これが今のWSBKの神セブン!(←古いか!) この中から、レイ&ハスラム&ラズガトリオグルがカワサキレーシングチーム(=KRT)から、Vd・マーク&ロウズがヤマハファクトリーレーシングから鈴鹿8耐に参戦する予定です。Vd・マークは、このミザノ大会での負傷で、出場が危ぶまれていますが、いまだヤマハからの正式発表はありません。おそらく、ギリギリまで様子を見るんじゃないでしょうか。

ここまで優勝者は3人だけで、ポイントリーダーのバウティスタが圧勝している印象。トップ3の主要な戦績は以下のとおりで、この3人で16レースの優勝を分け合っているわけです。
□バウティスタ   =優勝13回/2位1回/3位1回
□レイ       =優勝2回/2位11回/3位1回
□ファン・デル・マーク=優勝1回/2位3回/3位1回

そんな中で迎えたミザノ大会。初日FP1から、①レイ ②VD・マーク ③バウティスタ、FP2では、負傷してしまったVD・マークがトップタイムで、②バウティスタ ③サンドロ・コルテセ(ヤマハ)。開幕戦のあとあたりから調子を崩していたコルセテが上がってきました。
明けて土曜日、ウェットコンディションで行なわれたFP3は①ロリス・バズ(ヤマハ) ②ロウズ ③バウティスタがトップ3。ロリス・バズはWSBKの名門、テンケイトレーシングが、マシンをヤマハにスイッチしての復帰2レース目です。

画像: FP2、トップタイムをマークしながら大ハイサイドをくらったマイケル・vd・マーク 8耐来られる??

FP2、トップタイムをマークしながら大ハイサイドをくらったマイケル・vd・マーク 8耐来られる??

そしてスターティンググリッド決めのスーパーポールは、ドライコンディションで行なわれ、レイがトップタイムをマーク! 2番手にコルテセ、3番手にBMWを駆るトム・サイクス、2列目にはロウズ、バウティスタ、ハスラムが並びます。神セブン、きちんとここに入っていますね。

画像: ヘビーレインの中ではレイとロウズふたりが異次元の速さでした

ヘビーレインの中ではレイとロウズふたりが異次元の速さでした

画像: 中断前はこんな視界 これでヒザ擦ってフルバンクで走るなんて……

中断前はこんな視界 これでヒザ擦ってフルバンクで走るなんて……

この時期のミザノ、猛暑に見舞われることが多いので、雨が降っても路面が乾いちゃうんです。
しかし、決勝レース1は、いったんはレーススタートの手順に入ったものの、開始時刻ごろに雨が降り、約30分間スタートディレイ。決勝レース、始まったは始まったんですが、レース3周くらいでまたも雨が激しくなり、赤旗中断。もう、視界が悪いというか、レースはコースを走っているライダーから、ポストのフラッグが識別できなくなったら赤旗、という慣習があるので、まさにこんな感じでした。中断までは、前戦ヘレス大会で転倒しまくったロウズがブッチギリ、おぉ雨に強いなぁ、と思わせておいての赤旗中断でした。

画像: レース1のヒート2、ロウズがレイをかわしてトップに浮上するも、ハイドロプレーニングを食らって転倒。つまりレイのレースがこのコンディションでは限界だった、ってことです

レース1のヒート2、ロウズがレイをかわしてトップに浮上するも、ハイドロプレーニングを食らって転倒。つまりレイのレースがこのコンディションでは限界だった、ってことです

予定時刻から1時間遅れで始まったレース1のヒート2。ここではレイがスタートに成功し、ロウズを引き連れて3番手以降を大きく引き離してレースをリードしますが、レース中盤にロウズがトップへ。中断前のペースを見ると、このままロウズが行っちゃうかな、と思ったら、ロウズは単独トップのまま転倒! そのままレイが逃げ切って、今シーズン3勝目を挙げました。2位に今シーズン初表彰台のサイクス、バウティスタが3位に入りました。
バウティスタは、完全に無理しないペースでの走行でした。5番手あたりからのスタートで、チームメイトのチャズ・デイビス、ハスラムとポジション争いをしていましたが、先行するデイビスが電気系トラブルでペースダウン、ハスラムが転倒で戦列を去ったことで3位入賞。ポイントリーダーらしい、クレバーなレースでした。チャンピオンを獲るためには、優勝を狙わずに2位キープ、3位キープのレースを作るのが肝心なんです。

画像: 雨でも速いレイ! なにげないウィリーフィニッシュもものすごいワザ!

雨でも速いレイ! なにげないウィリーフィニッシュもものすごいワザ!

さらに日が明けての日曜はドライコンディション。9時スタートのウォームアップ走行では、レイ→バウティスタ→ロウズがトップ3で、4番手にラズガトリオグルが入っての神セブン上位入賞スタート。コルセテ、サイクス、デイビス、ハスラムが続き、湿度の高い、温度がぐんぐん上がり始めるスタートでした。

画像: スーパーポールレースでは、いつもの「アルバロ・スタイル」でバウティスタ優勝! このパターンになると手がつけられないスピードになります

スーパーポールレースでは、いつもの「アルバロ・スタイル」でバウティスタ優勝! このパターンになると手がつけられないスピードになります

10周勝負のスーパーポールレースは、レイが好スタートを切るもののオープニングラップのうちにバウティスタがトップに出て、そのままレイ以下を引き離してトップを独走。いつもの「アルバロ・スタイル」での13勝目で、レイは2番手走行中の8周目にスリップダウンを喫して再スタート、なんとか5位でフィニッシュ。この再スタート→完走もチャンピオンをあきらめない執念ですね。2位にロウズ、3位にハスラムが入りました。
あぁ、ジョニーでも転ぶんだなぁ……金曜→土曜→日曜とコンディションがコロコロかわると、いかなジョニーでも本調子で臨めないんだなぁ、って感じでした。

画像: 「なにもおかしなことはしてなかったんだけどね」という転倒は高い路面温度のレースならではでした

「なにもおかしなことはしてなかったんだけどね」という転倒は高い路面温度のレースならではでした

そして、大事件のレース2。スーパーポールレースを勝って、レース2のポールポジションからスタートしたバウティスタがホールショットから好スタート。2周目に入って徐々に2番手以降を引き離し始めますが、そのバウティスタは2周目に入った途端に転倒! 最後尾からレースに復帰しますが、この時の最後尾が清成龍一(ホンダ)で、バウティスタより先に転倒したレアンドロ・メルカド(カワサキ)が清成より約20秒遅れの19番手、バウティスタはさらに7秒後方の20番手です。

画像: バウティスタ不在のレースはカワサキ3台とヤマハ3台、この後方にかドゥカティが3台います

バウティスタ不在のレースはカワサキ3台とヤマハ3台、この後方にかドゥカティが3台います

レースはバウティスタが脱落し、ハスラムをトップにレイ、ラズガトリオグルがトップ3! 後方にメランドリ、ロウズ、コルテセとヤマハが3台続き、マイケル・リナルディ、サイクス、デイビス、さらにこの大会にワイルドカード参戦しているドゥカティMotoGPテストライダーのミカエル・ピッロと外国車が4台続きます。
そしてレースは、4周目にレイをかわして2番手に浮上したラズガトリオグルが、5周目にハスラムをもかわしてトップに浮上! レースはしばらくラズガトリオグル→レイ→ハスラムの順で周回し、3番手ハスラムが、執拗にメランドリとロウズにプッシュされるような展開。ラスト3周あたりでは、ロウズが何度も並びかけますが、ハスラムがこれをディフェンス。どうなんだろう、このあたりではライダー自らに「カワサキで表彰台独占するんだ」って意識が芽生えるのかもしれませんね。

画像: レイ、ハスラムをかわしてトップに立ったトプラック・ラズガトリオグル 名前、だんだん憶えてきたw

レイ、ハスラムをかわしてトップに立ったトプラック・ラズガトリオグル 名前、だんだん憶えてきたw

3番手のハスラムを5秒以上引き離してのトップ争いは、レイがずっとラズガトリオグルにプレッシャーをかけ続け、それでも抜かないのか、抜けないままラスト4周。ここで満を持して、レイがラズガトリオグルをかわしてトップに浮上します。ここで引き離してエースの意地を見せたいレイでしょうが、ラズガトリオグルもそうはさせじとレイの背後にピタリ。いや、速いな、やるな、って言われていたラズガトリオグルですが、完全にワンステップアップしましたね!

画像: ラストラップまでレイを抑えてトップを快走したラズガトリオグル 8耐に来ますよ!

ラストラップまでレイを抑えてトップを快走したラズガトリオグル 8耐に来ますよ!

結局レースは、そのままレイが逃げ切ってシーズン4勝目。2位のラズガトリオグルは、最後までレイをプッシュして、時には抜きにかかるアクションまで見せつつ、一度はヘアピンでかわしてみせましたね。フィニッシュラインでは、レイまでわずか0秒381遅れという素晴らしい走りでした。

「優勝したかった。トップを走っていて毎周のようにプッシュしたけどジョニーにかわされて、最終ラップも1度アタックしたんだけど、届かなかった。僕のベストレース! また表彰台に上がりたい! このシーズンのうちに、一度は優勝したいんだ。それが僕の夢だから」(ラズガトリオグル)
「トプラックはすごかった! 彼のチームにおめでとうって言わなくちゃ。レースは路面温度が上がってタイヤに厳しいものになったけど、大事なレースを勝つことができたね。今日は本当に素晴らしい日だ! カワサキが表彰台を独占したんだからね。この3が人チームスズカだよ!」(レイ)
「ハッピーなのと同時に、今日の結果に不甲斐なさも感じてるよ。レースにも、マシンにも、ライディングにも油断があったのかもね。午前のスーパーポールレースで勝って、そこからコンディションが変わったことにもっと注意を払わなきゃだった。20度も路面温度が変わったんだからね。ヘレスも今回も、同じようなミスで転んでしまった。もう2度と同じ過ちを繰り返さないように、ポイントをロストしないように気をつけなきゃいけない」(バウティスタ)

これで、レイは前戦ヘレスまで41P差だったバウティスタとのポイントビハインドを、この1戦で16Pにまで縮めてみせました! レイがノーポイントレースを作っていないのに対し、バウティスタはノーポイントがひとつ、今回のレースで14位に終わったことで2ポイントだけの獲得に終わりましたから、この急接近もむべなるかな、です。
そしてこのミザノのレース2で、なんとカワサキが表彰台を独占! この3人が、そのまま鈴鹿8耐でトリオを組んでチームを編成するわけです。WSBKで表彰台を独占した3人が、その3人のまま鈴鹿8耐に来るなんて前代未聞のこと! 前代未聞の強力なチームが鈴鹿8耐にやってきます!

画像: パルクフェルメを3台のカワサキNinja ZX-10RRが占拠! もちろんカワサキ史上初、ドゥカティはあったような…調べときます

パルクフェルメを3台のカワサキNinja ZX-10RRが占拠! もちろんカワサキ史上初、ドゥカティはあったような…調べときます

■WSBK 第7戦 イタリア・ミザノ大会結果
レース1
1 ジョナサン・レイ        カワサキ  
2 トム・サイクス         BMW    +3.692s
3 アルバロ・バウティスタ     ドゥカティ +7.756ss
4 ロリス・バズ          ヤマハ   +12.932s
5 チャズ・デイビス        ドゥカティ +15.801s
6 マルコ・メランドリ       ヤマハ   +41.963s
7 サンドロ・コルセテ       ヤマハ   +45.967s
8 高橋裕紀            ホンダ   +46.479s
9 ロレンゾ・ザネッティ      ドゥカティ +47.695s
10 レアンドロ・メルカド      カワサキ  +48.026s

スーパーポールレース
1 アルバロ・バウティスタ     ドゥカティ 
2 アレックス・ロウズ       ヤマハ   +7.261s
3 レオン・ハスラム        カワサキ  +9.154s
4 トプラック・ラズガトリオグル  カワサキ  +9.405s
5 ジョナサン・レイ        カワサキ  +12.835s
6 マルコ・メランドリ       ヤマハ   +13.056s
7 マイケル・リナルディ      ドゥカティ +13.688s
8 ミカエル・ピッロ        ドゥカティ +15.104s
9 レアンドロ・メルカド      カワサキ  +17.310s
10 ロレンゾ・ザネッティ      ドゥカティ +18.742s

レース2
1 ジョナサン・レイ        カワサキ  
2 トプラック・ラズガトリオグル  カワサキ  +0.381s
3 レオン・ハスラム        カワサキ  +5.880s
4 アレックス・ロウズ       ヤマハ   +6.203s
5 マイケル・リナルディ      ドゥカティ +7.147s
6 トム・サイクス         BMW    +7.682s
7 チャズ・デイビス        ドゥカティ +10.916s
8 ミカエル・ピッロ        ドゥカティ +14.268s
9 ロレンゾ・ザネッティ      ドゥカティ +20.043s
10 ジョルディ・トーレス      カワサキ  +22.127s

■ポイントランキング(6戦終了時)
1:バウティスタ/330P 2:レイ/314P 3:ファン・デル・マーク:188P 4:ロウズ/164P 5:ハスラム/153P 6:ラズガトリオグル/121P 7:メランドリ/116P 8:デイビス/114P 9:サイクス/110P 10:コルテセ/93P

写真/Yamaha DUCATI wsbk.com 文責/中村浩史

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