チェン・ユーシュン(陳玉勲)監督の幻の名作『熱帯魚』と『ラブ ゴーゴー』のデジタルリストア版が2019年8月17日(土)より全国順次同時公開。このたびポスタービジュアルと著名人からのコメントが到着した。
画像: 思春期に観てたらトラウマ?台湾青春映画の名作2本が再公開

『熱帯魚』『ラブ ゴーゴー』のデジタルリマスター化が実現

「世界中で圧倒的に評価されているハイクオリティーなアート映画、でもちょっととっつきにくそう……」、当時そんな印象が一般的だった、エドワード・ヤン(楊徳昌)、ホウ・シャオシェン(侯孝賢)やツァイ・ミンリャン(蔡明亮)らのいわゆる“台湾ニューシネマ”の系譜から、突如異端児の如く出現した新人監督チェン・ユーシュン。

ツァイ・ミンリャンのテレビドラマ「快楽車行」(1989)にスクリプターとして参加し、同年、ドラマ「佳家福」で監督・脚本デビューを果たしたチェン・ユーシュンは、当時台湾で頻発していた誘拐事件をモチーフに自ら『熱帯魚』の脚本を書き上げ、1992年の全国シナリオコンクールで最優秀賞を受賞。1995年に映画を完成させ、映画監督デビューを果たした。

制作にあたっては台湾ニューシネマの重鎮ワン・トン(王童)から手厚い支援を得るなど、そのキャリアの出だしが示すように、先達からの影響をそこかしこに感じさせつつ、同じことは繰り返したくないと、ポップでオフビートなリズム感、ユーモアとやさしいまなざしが共存した独自の作風を確立。台湾の若い世代から広い共感と圧倒的な支持を得た。

受験戦争真っただ中の少年が誘拐事件に巻き込まれ、連れ去られた南の漁村で、不意に訪れた夏休みのような不思議な時間を体験する、奇跡のデビュー作『熱帯魚』。都会に生きるごく普通の、いや全く冴えない若者たちの恋の行方をビタースイートに描いた第2作『ラブ ゴーゴー』(1997)。

『熱帯魚』では、ロカルノ国際映画祭青豹賞、金馬奨の最優秀脚本賞と最優秀助演女優賞を、『ラブ ゴーゴー』では金馬奨の最優秀助演男優賞と助演女優賞をW受賞するなど、いずれも国内外で高い評価を得たこの2作品のみを残して、その後チェン・ユーシュンは長い沈黙に入ってしまう。

しかし、その間も作品の輝きは全く色褪せることなく、その後の台湾映画に強い影響を与え続けた。『藍色夏恋』(2002)や『あの頃、君を追いかけた』(2011)など青春恋愛映画の傑作群に流れるみずみずしさ、イノセンスの源泉は、まさにこの2作にあるといえる。

そして遂に、待望のデジタルリマスター化が実現。その類まれなる色彩感覚、映画的センス、リズム、そして抒情豊かな物語を制作当時のクオリティーで追体験できる機会が訪れた。

あわせて、ポスタービジュアルも解禁。『熱帯魚』からは、観客に大きなインパクトを残した、台北のビル街を回遊する巨大な熱帯魚をとらえた場面写真、『ラブ ゴーゴー』からは、本作で金馬奨最優秀助演女優賞を受賞したリャオ・ホイヂェン(寥慧珍)が演じる、恋する乙女・リリーの印象的な場面写真をそれぞれメインに、ポップでカラフルなポスタービジュアルが完成。

さらに、著名人からの絶賛コメントも到着。奇跡のデビュー作『熱帯魚』について、作家の山内マリコ氏は「思春期に観てたら絶対トラウマだ…。完璧なデビュー作。」、初長編作『ウィーアーリトルゾンビーズ』が絶賛公開中の映画監督長久允氏は「本当に、むちゃくちゃ好きです。ゴンドリーなんて目じゃない。」、ライター・編集者の門間雄介氏は「チェン・ユーシュンがアジア映画の新時代を牽引していくのだと、『熱帯魚』が日本で公開された1997年、僕は確信していた。」と、寄せている。

また、『ラブ ゴーゴー』について、モデル・女優の青柳文子氏から「この地味でカラフルな彼らの日々を覗いて、私なんで涙が出たんだろう。。そうだ、ちょっと忘れ去っていたような恋のはじまり、日々に隠された煌めき、見落としがちな愛のディティールを見たからだ。」とのコメントが寄せられた。

『熱帯魚 デジタルリストア版』原題:熱帶魚 英題:Tropical Fish

画像: 『熱帯魚 デジタルリストア版』原題:熱帶魚 英題:Tropical Fish

監督・脚本:チェン・ユーシュン(陳玉勲)エグゼクティブ・プロデューサー:ワン・トン(王童)撮影:リャオ・ベンロン(廖本榕)
出演:リン・ジャーホン(林嘉宏)シー・チンルン(席敬倫)リン・チェンシェン(林正盛)ウェン・イン(文英)
1995年/台湾/108分/ヴィスタ©Central Pictures Corporation

エドワード・ヤン、ホウ・シャオシェンの重厚さをいとも軽やかに突き抜けた、新たな時代を告げる珠玉の処女作。受験戦争にまったくなじめない夢見がちな台北のボンクラ少年。そんな少年をなりゆきで誘拐してしまった、超田舎な一家の、これまた一風変わった面々。誘拐報道がヒートアップする台北がまるで別世界のように、少年は連れ去られた南部の漁村で、白日夢のような不思議な時間を過ごし、そして謎めいた少女と遭遇する。はたして彼は、無事に(?)台北へ戻り、そして高校受験に間に合うことができるのだろうか――。

『ラブ ゴーゴー デジタルリストア版』原題:愛情来了 英題:Love Go Go

画像: 『ラブ ゴーゴー デジタルリストア版』原題:愛情来了 英題:Love Go Go

監督・脚本:チェン・ユーシュン(陳玉勲)プロデューサー:シュー・リーコン(徐立功)撮影:リャオ・ベンロン(廖本榕)
出演:タン・ナ(坣娜)シー・イーナン(施易男)リャオ・ホイヂェン(廖慧珍)チェン・ジンシン(陳進興)
1997年/台湾/113分/ヴィスタ©Central Pictures Corporation

一目見たら忘れられない超個性的なキャストたちが奏でる、絡みあった3つの恋模様。ケーキ職人の冴えないアラサ―男子、アシェン。アシェンのアパートに同居する食欲旺盛なおデブちゃん、リリー。アシェンが小学生のときの初恋の君リーホァ、セールスには100%向かない内気な痴漢撃退グッズセールスマン、アソン――。どこにでもいそうな、でもどこかヘンな若者たちが紡ぐ物語。

著名人からのコメント

―――『熱帯魚』―――

半袖の制服とショートカットの女の子。へばりつく汗、湿った肌の青春グラフィティ。台湾映画だけが持つイノセンスの源流が、全部ここにあったことにいまさら気づいた。思春期に観てたら絶対トラウマだ…。完璧なデビュー作。山内マリコ(作家)

本当に、むちゃくちゃ好きです。ユーモアと、想像力と、優しい眼差し。水と熱帯魚と僕らと夢。そのメタファーのさじ加減。アナログとCGと。ゴンドリーなんて目じゃない。東京にもこの湿度があったらいいのにな。長久允(映画監督『ウィーアーリトルゾンビーズ』)

チェン・ユーシュンがアジア映画の新時代を牽引していくのだと、『熱帯魚』が日本で公開された1997年、僕は確信していた。残念ながら、彼の時代は訪れなかったかもしれないけれど、あんなにふうに笑いと幸福感に満ちあふれた映画体験は、その後、現在に至るまで味わったことがない。門間雄介(ライター/編集者)

ジリジリと陽が照るゆるやかな海には、恋を知った純粋な少年にしかわからない時間が流れていた。
誘拐だとか受験だとか、世間や大人は騒ぐけれど、彼の中ではどうでも良かったのかもしれない。心を水浸しにされたような、みずみずしい夏のお話だった。知れば知るほど奥が深い東南アジア映画、まだ見ぬ名作が眠っていたとは!加藤るみ(タレント)

―――『ラブ ゴーゴー』―――

この地味でカラフルな彼らの日々を覗いて、私なんで涙が出たんだろう。。そうだ、ちょっと忘れ去っていたような恋のはじまり、日々に隠された煌めき、見落としがちな愛のディティールを見たからだ。なんて美しいんだよ。青柳文子(モデル・女優)

ポップでカラフルな台湾、過去としての90年代。終わってしまった幸福はいっそうまぶしくて、おかしくて、ぷすっと吹き出しながらちょっと泣けてくる。なんでしょうか、このへんてこな感動は。なんでしょうかこの監督の、冴えない人々への底なしの愛は。掛け値なしの傑作。山内マリコ(作家)

あの頃の我々には膨大な暇と退屈があった。恋は妄想の中で育まれたし、眠れない夜は本当に本当に長かった。だからこそ誰かとつながれた瞬間が奇跡だった。ほとんどの奇跡は冴えない結末を迎えたけど、愛しさとせつなさと心強さに満ちあふれた作品だった。あんな素敵なラブレターを、自分も一度でいいから書いてみたい……!ものです。隆之(文筆業/「桃山商事」代表)

―――両作について―――

「感傷の先にある景色」
例えば恋人と別れ話をした後、あなたは何を見ているんだろう?カップに残った紅茶か?新宿の風景か?雑踏の中の新宿タイガーマスクか?チェン監督作品はそんな感傷の先にある風景の捉え方が見事だ。ある意味、リアルだし、映画的である。感傷の先にある風景を捉えられるのは映画だけだ。と今、思った。三木聡(映画監督)

背筋の凍るような場面や胸が苦しく涙が出そうな展開なはずなのに、どうしてか笑えるし、なんでか心温まる。失恋したって裏切られたって、明日はやってくるし終らないけれど、それでも愛があれば大丈夫さ、と包み込まれる。何だろうな、本当におかしな映画たち。愛すべき作品たち。枝優花(映画監督『少女邂逅』)

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