左からモニカ・ベルッチ、アヌーク・エメ、クロード・ルルーシュ
カンヌ映画祭で最高賞を受賞した名作「男と女」の主人公たちが、年代を重ねて登場する続編「ザ・ベスト・イヤーズ・オブ・ア・ライフ」が完成し、今回のカンヌで特別上映された。(現地レポート/岡田光由)

「男と女」を見たことがある人なら、感涙ものの新作

クロード・ルルーシュ監督が「男と女」を引っ提げて初めてカンヌに乗り込んだのが、1966年だから何と53年前。いきなりパルムドール受賞の快挙を成し遂げ、その流麗なカメラワークで世界中から注目を浴びた。
もちろん映画も大ヒット。今度はその「男と女」のアンヌとジャン=ルイが、年代を重ねて53年ぶりに登場する続編「ザ・ベスト・イヤーズ・オブ・ア・ライフ」が完成し、今回のカンヌ映画祭で特別上映された。アンヌを演じるアヌーク・エメも、ジャン=ルイに扮するジャン・ルイ・トランチニャンもそのまま。さらに彼らのそれぞれの子供であるアントワーヌとフランソワを演じたアントワーヌ・シルとフランソワ・アミドゥもそのまま。いかにもルルーシュ監督らしいキャスティングで、オールド映画ファンをうならせる。

特別上映会場前のレッドカーペットには、ルルーシュ監督、アヌークら出演者に、今回ジャン=ルイのイタリア人妻との間にもうけた娘エレナ役で共演したモニカ・ベルッチの姿も見えた。だがトランチニャンの姿がない。と思ったら、階段を上がった会場入り口に一行を待っていた。88歳ともなれば歩行困難も当然、きっと階段の上がり降りが無理だからだろう。ともかくアヌークとマリアンヌ・デニクールの新旧女優に両方を支えられて、会場前の大観衆の声援に応えていた。

画像: 「ザ・ベスト・イヤーズ・オブ・ア・ライフ」の会見の模様

「ザ・ベスト・イヤーズ・オブ・ア・ライフ」の会見の模様

そんな彼らの姿に目頭が熱くなるのに、映画はさらに胸をたまらなく熱くする。冒頭は、芝生の庭がゆったりと広がる高級老人ホームで、マリアンヌ・デニクール扮する看護師の年代当てクイズに聞き入るジャン=ルイの姿がクローズアップされる。彼の車椅子を手に執るのは息子アントワーヌ。大分容態の悪い父親を心配し、いつも話に上るアンヌを引き合わせようと、彼女が娘フランソワと孫娘と営む雑貨店を訪れ、アンヌに頼み込む。そして老人ホームの庭での再会シーン。ここまでにもう胸はヒートアップ。しかもジャン=ルイはアンヌを認識できないでいる。彼女の髪のかき上げ方にかつてのアンヌを思い出すが、目の前の彼女がアンヌとは知らないのだ。年を重ねることの非情さが切ない。この二人の会話のやり取りが実に重く、さらにオリジナルの映像が何度もインサートされ、ファンはたまらない。

また音楽もオリジナルに沿った洒落たサウンドを聞かせて、映画を盛り上げる。フランシス・レイが近年亡くなったにもかかわらず、あのサウンドが、そして流麗な映像が心地よく流れていく。ルルーシュ監督の腕前も衰えていない。年配のアヌークとトランチニャンにお茶目なシーンも演出している。翌日の記者会見には、トランチニャンの姿は見えなかったので、余程体の調子が悪いのかと心配したが、昔からトランチニャンはパーティーやイベント嫌いで、カンヌ映画祭の出席も極力避けて来たと聞く。それなら一安心だが、とにかく一度でも「男と女」を目にしたことがある人なら、感涙もののおススメ映画である。

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