今年の日本勢、ひと味ちがいます!

この週末は、MotoGP第5戦フランスGPが行なわれました。週末、お天気よくなかったですね。金曜はかろうじてドライ、土曜はウェットな時間帯があり、決勝日は降るんだか降らないんだか、気温が低く路面温度も上がらない一日。
なんだか南の方から梅雨入りしちゃいそうな日本の陽気とビミョーにマッチしていましたが、そのせいってわけでもないんですが、このフランスGPは日本人ライダーの活躍が目立ってました。

画像: レースの大半をトップで引っ張った鈴木タツキ 初優勝がまた逃げていきました…

レースの大半をトップで引っ張った鈴木タツキ 初優勝がまた逃げていきました…

金曜のフリープラクティス1から、Moto3では真崎一輝(BOEスカルライダーKTM)が4番手、前戦スペインGPで初表彰台に上がった鈴木竜生(SIC58スクアドラコルセHONDA)が5番手、小椋藍(ホンダチームアジア)が9番手に入ると、FP2では小椋がトップタイム! 鈴木3番手! さらに土曜のFP3では今度は鈴木がトップタイムを出し、小椋は5番手と、小椋、今シーズンにGPデビューを飾ったルーキーですよ?

画像: GPデビューシーズンで初フロントロー これを続けられるかが課題です小椋アイ

GPデビューシーズンで初フロントロー これを続けられるかが課題です小椋アイ

その小椋、2列目4番手グリッドを獲得した鈴木を上回って、公式予選ではフロントロー3番手グリッドを獲得してのけました! MotoGPクラスでは、中上貴晶(LCRホンダIDEMITSU)がQ2ストレート進出を果たし、自己最高の7番手グリッドです! 惜しかった! 最終コーナーでスリップダウンしちゃってから終了間際ギリギリまでは6番手、つまり2列目スタートだったのにね!

「金曜からバイクのフィーリングがよくて、コースもいい印象、それが速く走れている理由だと思います。先日のヘレステストでセッティングを少し変えて、もっとうまく乗れるようになりましたね。3番手スタートはうれしいですが、グランプリでの1列目スタートは緊張します」と小椋。

画像: レース終盤あたりまでセカンドグループを引っ張った27鳥羽カイト

レース終盤あたりまでセカンドグループを引っ張った27鳥羽カイト

鈴木は2列目4番グリッド、3列目には開幕戦ウィナー、小椋のチームメイト、鳥羽海渡もいます。
Moto2クラスの長島哲太(ONEXOXストップ&ゴー)は予選から苦しみます。路面温度の上がらないコンディションで「何をどうしてもリアのグリップが出ない。まったく攻められなかった」(長島)と、予選はなんとビリから2番目、31番手スタート。デビューイヤーのここフランスも、予選31番手でした……。

画像: 決勝レースは1周目で終了 でも、ルーキーらしからぬレース運びがアイのいいところ

決勝レースは1周目で終了 でも、ルーキーらしからぬレース運びがアイのいいところ

決勝日の日曜も朝からどんより。オープニングレースのMoto3では、まずフロントロースタートの小椋に大注目していました。が! なんとその小椋、オープニングラップでビッグハイサイドを演じ、転倒リタイヤしてしまいます。
ここまでの4戦、リタイヤなしでコンスタントに決勝レースを走り切っていた小椋ですが、これが今シーズン初リタイヤ。タイヤに熱が入らないオープニングラップで、トップ集団のペースに惑わされている中で、タイヤケアができていなかったんでしょうか。きっといい経験になるぞ、落ち込んどったらイカンぞ、アイ!

画像: 3戦連続でトップを走ったタツキ チームの地元ムジェロで初優勝だ!

3戦連続でトップを走ったタツキ チームの地元ムジェロで初優勝だ!

うわわ、アイいなくなっちゃったよぉ、と思ったら、鈴木がレースを引っ張ります。この、ひとりいなくなっても次が、っていうのが今年の日本人勢の選手層ですね。
鈴木は前戦スペインで、グランプリ初表彰台・2位を獲得しましたが、これでやったー、って喜びんじゃなくて、優勝できなくて悔しかった、の方が強かったようですから、もちろん優勝狙いの走りだったでしょう。これでアメリカズ→ヘレス→ル・マンと3戦連続でトップを走っている鈴木を見ることになります。いいぞ、タツキ!

全体のレースペースを引っ張りながら、何台かに抜かれてもいつの間にかトップに、またはトップを伺う位置を走れている鈴木、これは落ち着いてペースを見ているから、優勝しちゃうな、きっと! と思っていたら、残り6周というタイミングで、鈴木単独で転倒! コーナー出口でリアを滑らせての単独転倒でしたから、これは鈴木のミスでしょう。うーむ、いいところ走りながら転ぶ、ってパターン、クセにしちゃイカンぞ、タツキ!

画像: 最後の最後にトップを狙う位置にいたカイト ポジション取りが絶妙!

最後の最後にトップを狙う位置にいたカイト ポジション取りが絶妙!

いやぁアイもタツキもダメだったかぁ、次がんばれ~――と思っていたら、10台近くのトップグループの後方につけていたのが鳥羽! 鳥羽はレース中盤あたりまで、トップ集団のうしろ、セカンドグループを引っ張っていたんですが、終盤にトップ集団に追いついて6番手あたり、いつの間にかトップが見える位置を走っていたんです。

そこから鳥羽は残り4周くらいのタイミングから、ガブリエル・ロドリゴをかわして5番手、アーロン・カネットを抜いて4番手に上がると、アンドレア・ミーニョもロレンゾ・ダラ・ポルタもパッシングして2番手に浮上! このタイミング、このポジションの上げ方こそ、勝ち方を知ってる証! これはカイト、2勝目いったな、って安心しかけたら、同じように後方からトップを狙っているメンバーもいるわけで、今度は後ろからのプレッシャーを受けることになります。
3番手を走っていた最終ラップにカネットにイン側にネジこまれ、ブツけられ、弾き飛ばされ、それでもラインに復帰しようとしたら、そこに瞬間的にコントロールを失ったカネットがいて、ジョン・マクフィとダラ・ポルタに逃げられ、間に3台も入れられて6位でフィニッシュ!

ハラたつのはぶつけてきたカネットがちゃっかり3位に入ってランキングトップにいること! アノヤロー……って、きっと日本中のファンはそう思っていたでしょう。ペナルティくらったって不思議じゃない動きだけど、たとえそうでもカイトのポジションは回復しないもんね……。

けれど、カイトはフィニッシュラインを通過して、ちゃーんとカネットのとこまで迫って行ってドン、と小突いて「なにやってんだよオマエはぁ!」ってジェスチャーしていましたもんね。これ大事! 意思表示しとかないと、この先にも同じ局面があった時に「アイツにはブツけても文句言ってこないから大丈夫」ってナメられちゃいますからね。

「勝てたレースだったのにがっかりです。序盤にタイムロスしたことを除けばいいレースができた。最終ラップ、トップに出ようとしたらカネットが接触してきて、あれはちょっと危なかった。あのままだとどっちも転んでしまうから、引かざるを得なかったんです。6位は残念ですが、ゴールできたのは重要でした。次のムジェロで取り返します」とカイト。ピットに帰ってからはガッカリとしょげてたし、その後の国際映像ではちょっと目が潤んでたよなぁ、ちくしょー。
ロントローのアイが転び、トップを走っていたタツキも転び、優勝目前のカイトも当てられて6位。ひとり転んでも二の矢、三の矢があるのが今シーズンの頼もしさですが、フランスGPはこれだけでは終わりませんでした。

自己最高リザルトと同じくらい内容の濃いレース!

Moto3クラスに続いて行なわれたMoto2クラスでは、日本代表・長島哲太が、最後列11列目31番手スタート。これは、あんまり国際映像に映らないパターンのやつだなぁ、と思っていたら、1周目を終えて21番手まで浮上! これはオープニングラップのアンドレア・ロカテリ転倒のごちゃごちゃで、うまく接触を避けてスルスルッと前に出られたんですね。
リプレイ映像を見ても、ロカテリが転んで、その近辺にいたライダーがあわわわわ、ってスロットル戻したすきに、スパッとゼッケン45番がレーシングスピードで駆け抜けていきましたからね。今までのテツなら、誰か転ぶと、なーんか巻き込まれることが多かったから、これは最後尾スタートがラッキーだった!のかも。

画像: 予選はまったく攻められず最後列31番手だった長島テツタ

予選はまったく攻められず最後列31番手だった長島テツタ

そのあとは、ひたすらガマンの走りに徹して、3周目には17番手、4周目には15番手と、アッという間にポイント獲得圏内までジャンプアップ! その後も、ひとつ前の集団と同じようなペースで走ってポジションを上げていきます。
英語の実況を聞いていたんですが
――おや15番手あたりにナガシーマがいますねぇ
「彼は31番グリッドスタートですからね、グレートです」
なんて何度も名前を出されていました。それほど目立った追い上げ劇だったんでしょう。

画像: ちょうどこのあたりで、画面右端のゼッケン5ロカテリがビッグハイサイド!

ちょうどこのあたりで、画面右端のゼッケン5ロカテリがビッグハイサイド!

結局、テツは11番手までポジションを上げてフィニッシュ。前戦スペインで、自己ベストの7位フィニッシュを飾ったテツでしたが、難しいコンディションで出走32台中の12台も転んだレースだっていうのに、ラップタイムを大きく落とすこともなく、ずっと10位フィニッシュのニッコロ・ブレッガを追い回しての11位はよかった! 
今年のテツは、やっぱりひと味違う! チームメイトのレミー・ガードナー(ワインの息子さんです)が転んじゃっただけに、フィニッシュしたのは本当に価値がある!

画像: 確実に上向き! 次は6位入賞と初表彰台、そして初優勝めざせ、のテツ

確実に上向き! 次は6位入賞と初表彰台、そして初優勝めざせ、のテツ

「予選までは本当に苦しんだから、今日の結果は本当にうれしい! 4ポイントだけど、シリーズにとってもチームにとっても重要なポイントを持って帰ってこられました。レースぶりは良かったとは言えないけど、31番グリッドスタートってことを考えると上出来でしょう。次のムジェロではスタートからマシンをしっかり決めて、もっといい結果を出したいです」とテツ。予選がもう少しよかったらなぁ、と思いますが、そうすると今までのテツなら、オープニングラップのロカテリの転倒に巻き込まれていたような気もします。それにしても20人抜きはスゴかった! グッジョブ、テツ!

MotoGPはタカ無念……

そしてメインのMotoGPクラスは、さらに予選順位の自己ベストを更新した中上貴晶が躍動……とはなりませんでした。タカは昨年の最終戦、雨のバレンシアでまわりがバタバタ転んでいく中で、辛抱の走りで6位入賞、ってレースがありましたが、今回はドライでもなくウェットでもなく、路面温度の低いイヤーなコンディション。こういう路面、タカはあんまり得意じゃありませんからねぇ……。

画像: 小雨、ハーフウェット、低い路面温度との戦いだったタカ中上

小雨、ハーフウェット、低い路面温度との戦いだったタカ中上

3列目7番手スタートだったタカですが、すぐに10番手あたりまでポジションを下げて、順位を上げられないまでも粘って走っていたんですが、残り9周で転倒を喫し、リタイヤ。連続トップ10以内フィニッシュ記録が、シーズンをまたいで「5」でストップしてしまいました。

画像: レースはマルケスが終始レースをリード ジャック・ミラーが何度かマルケスに向かっていきました

レースはマルケスが終始レースをリード ジャック・ミラーが何度かマルケスに向かっていきました

MotoGPの決勝は、ヘレスに続いてマルク・マルケス(レプソルホンダ)が優勝! これでアルゼンチンも加えて3勝目ですが、序盤から前に出てジリジリジリジリと2番手以降との差をじわじわじわじわ広げて、結果独走しちゃう、って勝ちパターンが増えてきましたね。終わってみれば5戦3勝、2位1回、転倒1回のランキングトップです。

画像: マルケスvsミラー ブレーキングの足出しも、こうやってみると危険行為に見えます

マルケスvsミラー ブレーキングの足出しも、こうやってみると危険行為に見えます

そのマルケスを1ポイント差で追っていたアレックス・リンス(TeamスズキECSTAR)は路面温度の上がらないトラックに手を焼いて、予選19番手/決勝10位と振るわず。この、条件に左右されちゃうところがスズキGSX-RRのウィークポイントですね。この下位フィニッシュは痛いなぁ……。

かわってランキング2位に浮上したのは、このレースも2位フィニッシュのアンドレア・ドビツィオーゾ(ドゥカティ)。この辺から、またマルケスvsドビツィオーゾのチャンピオン争いが始まっちゃうんでしょうか。もう少しコンデンダーが多いと面白いのになぁ!ってフランスGPでした!

画像: マルケスが着ているのはホンダの最高峰クラス300勝目記念Tシャツ 1966年ジム・レッドマンが初優勝だったそうです

マルケスが着ているのはホンダの最高峰クラス300勝目記念Tシャツ 1966年ジム・レッドマンが初優勝だったそうです

MotoGP第4戦 フランスGP 
MotoGPクラス 正式レース結果 ()内は予選順位

1 (1) マルク・マルケス      ホンダ    41m53.647s
2 (4) アンドレア・ドビツィオーゾ ドゥカティ +1.984s
3 (2) ダニロ・ペトルッチ     ドゥカティ +2.142s
4 (3) ジャック・ミラー      ドゥカティ +2.940s
5 (5) バレンティーノ・ロッシ   ヤマハ    +3.053s
6 (12) ポル・エスパルガロ     KTM     +5.935s
7 (6)  フランコ・モルビデリ    ヤマハ   +7.187s
8 (10) ファビオ・クアルタラロ   ヤマハ   +8.439s
9 (15) カル・クラッチロウ     ホンダ   +9.853s
10 (19) アレックス・リンス     スズキ   +13.709s

写真/Michelin motogp.com Honda SAG-RacingTeam 文責/中村浩史

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