暦の上ではもう夏。なんだか引っ越しでもして、気分を変えたいトーマスなんですが、この作品を読み始めて、かなり慎重になっております。
伏魔殿のような不動産業界にあって、一切の嘘偽りを口にできなくなった1人の営業マンの苦闘を描く『正直不動産』でございます。
作画 大谷アキラ先生 原案:夏原武先生 脚本:水野光博先生
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「不動産」の「産」は「財産」の「産」、つまりカネのこと。
だが、その不動産業界には裏があり、闇がある。
だから、たいていの場合、 われわれは不動産取引で手玉に取られ、 大損させられる。 そんなわれわれ消費者に、朗報だ。
読めば、不動産屋に騙されなくなる物語が、いま始まる−−
無駄に金を取られるのは、もう終わりだ…?
不動産の闇をさらけ出す痛快皮肉喜劇(サティリカル・コメディ)!!

嘘で塗り固めたセールストークで成績を上げてきた不動産営業マンに突如降りかかった試練?

主人公は、登坂不動産のエース営業マン・永瀬財地。もともとは嘘を厭わぬ口八丁で売り上げトップの凄腕だったのですが、ある地鎮祭で石碑を壊して以来、嘘がつけない体質になってしまったのです。

客には余計なことは言わず、契約締結を第一に考えて行動するはずの不動産業者として、契約成立を妨げそうな不都合(お客様の不利益につながるような事実)はとにかく伏せるべし。
そんな暗黙の了解をどどんと破り、とにかく全てを話してしまう永瀬さん、当然のことながら最初はすぐ決まるはずの物件をことごとく売り損じてしまいます。

営業トップの座から、クビ寸前まで追い込まれた、永瀬さんはいったいこれからどうなってしまうのか??というお話です。

欠点を隠すのではなく、良いところと悪いところをちゃんと説明して客に判断してもらう

本作では、賃貸や売買における不動産業界の表や裏のアレコレがふんだんに描かれており、読むだけで業界のことが分かったような気にさせられます。

もちろん生半可な知識で、プロのトークに敵うはずもないですが、少なくとも無邪気に相手の言うことを信じて騙されることは避けられるようになるかもしれません。

嘘がつけなくなった永瀬さんは、ついつい余計なことを口走ってしまって何度もお客さまを怒らせ、商談を台無しにしてしまいますが、徐々に自分のその体質を生かした営業スタイルに自分をアジャストすることを覚えます。
つまり、お客さまの立場に立って、正しく営業する、正直にいい物件をオススメする(たとえ欠点があろうとも、それを隠すのではなく、欠点を上回る利点があれば、それをちゃんと説明して、物件の割安感を理解いただく)ことを目指すのです。

物語は、都心の高層マンションに住み、モデルの彼女と暮らす永瀬さんのライフスタイルの紹介から始まりますが、嘘がつけなくなってそんなハイクラスの生活から転落する永瀬さん。物語は、正直ベースの営業スタイルで、再び以前の暮らしに戻ることを目指す永瀬さんの奮闘を描いています。
いまのところ、嘘で固めた不動産営業のスタイルは否定し、正直ベースの新しいスタイルを、永瀬さん自身は心から受け入れてそれを正しいことだと考えるようになっていますが、以前の暮らし≒港区おじさん的暮らし自体は いまだに彼の理想のようです。

日々の頑張りだけでなく、そのモチベーションの源泉にまでもいつか変化は起きるのでしょうか。
現在第5巻まで発売されていますが、今後が楽しみな作品です。オススメです。

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