日頃の読者の皆様のご愛顧にお応えして、月刊カメラマン2018年5月号で実施した、メーカー各社の人気商品「創刊40周年記念! モニター & BIG プレゼント!!」。当選者の方から使用レポートが届きました。ニコンに提供していただいた、双眼鏡 “MONARCH HG 10×42”写を佐伯 俊さんがレポートします!

●商品構成

画像: 対物キャップは成型が甘いのか、最初から何度しっかりはめても自重で落ちます。これが一番困りました。

対物キャップは成型が甘いのか、最初から何度しっかりはめても自重で落ちます。これが一番困りました。

このMonarchという製品自体の位置づけとしては(普及機の上の)高級機で、更に上には「超ド級」のEDGやWXが存在します。
・ストラップはニコンの伝統でぶ厚いパッドがおごられ、長期間の連続使用も考慮され、ケースもしっかりしています。
・中央繰り出し部(CF)や視度調節リングもカッチリした使用感で使い易い。
・レンズを保護する接眼キャップも、はめはずしがしっかりできて安心感があります。
・一方、対物キャップは成型が甘いのか、最初から何度しっかりはめても自重で落ちます。これが、一番困りました(画像)。できれば、接眼キャップと同じ形状/製品に(是非!)して欲しいです。

●製品の概要

画像: 対物側から白色光の下で見ると、少なくとも「緑系」のコーティングが二つ、「青系」が二つ、「紫系」が一つ見えます。

対物側から白色光の下で見ると、少なくとも「緑系」のコーティングが二つ、「青系」が二つ、「紫系」が一つ見えます。

画像: ●製品の概要
画像: タイルの目地の中の粒状性まで、ありありとはっきり見える描写力にびっくりしました。「歪曲」ついては、ごく僅かに「糸巻き」が見られました。

タイルの目地の中の粒状性まで、ありありとはっきり見える描写力にびっくりしました。「歪曲」ついては、ごく僅かに「糸巻き」が見られました。

この製品の最大の特徴はダハプリズムの採用です。4cmクラスなのに、手の中にすっぽり納まるのはちょっと感動的です。また、一般的にダハ式の機種はポロ式に比べて特に「軽い」という訳ではありませんが(大型のダハ式は逆に重い)、思った以上に「軽い」のは、やはりマグネシウム製のボディの採用が大きい。この、Monarchの660gという重量は、4cm級のダハ式双眼鏡の中では「最下限」に近く、3cm級のコンパクト機の上限にも迫り、双眼鏡の「携帯性」を十分に高めていると言えます。
・光学系について見てみると、接眼部からは「ケラレ」は見られず、対物側から白色光の下で見ると(画像)、少なくとも「緑系」のコーティングが二つ、「青系」が二つ、「紫系」が一つ見えます。採用されているダハプリズムは、小型の「シュミット・ペシャン型」の筈なので、5つの面を経由するため、カタログに記載のある、(1面は必要な)銀蒸着面+マルチコート(アンバーやマゼンタなどの単層コートは見えません)とよく符合します。
・アイレリーフが、16.5mmなのも助かります(メガネのまま使える!)。更に1.5mm伸びると、ゴーグルにも対応できるので、雪上での利用も広がると思います。
・防水性の高い丁寧なラバーコートや窒素封入は、(レンズにカビを生やした経験から)とても助かります。
・光学系のチェックのために、近くの、一面タイル目地の建物へ向かいました(画像)。主に「歪曲収差」を見るつもりだったのですが、なにより、そのタイルの目地の中の粒状性まで、ありありとはっきり見える描写力にびっくりしました。
「歪曲」ついては、ごく僅かに「糸巻き」が見られました。その「程度」は、円形の視野いっぱいに横長の長方形をイメージした場合、その左右端の縦の辺の上で、上下にそれぞれ半径の5~6%ほどになります。

●ファーストライト

・製品を手にした時点で、火星の大接近からちょうど2週間のタイミングでしたので、10回ほど観測しました。何より、周辺の星々が、文字通り「真砂を撒き散らした」ように見えるのは感動を禁じえませんでした。こんなにくっきり見えるものなのか、改めて設計の良さを感じました。火星自体は、視直径も20"もあり、大きな円盤状に見えたのですが、大接近の直前から大規模な砂嵐である「ダストストーム」が発生して、火星全体を覆っていたようで、表面のいくつかの模様はおろか、ぎりぎり見えるかもしれない「南極冠」もついに観測できませんでした。
・月齢3の三日月に双眼鏡を向けて驚いたのは、地球からの光の反射による、いわゆる「地球照」がはっきり見えたこと。いつもは見えない「影」の部分が半影のように、青白く浮かび上がり、コペルニクスやティコなどのクレーターから伸びる「光条」が美しい。こんなに美しい月面を見たのは初めてで、吸い込まれるようにずっと見ていました。
・8/13をピークとするペルセウス座流星雨はちょうど新月にあたり期待されたのですが、うす曇りの天気で、淡い蒸気を通しての「カラーフリンジ」もひどく、あきらめかけていました。が、それでもこの双眼鏡の「集光力」のおかげで、シーイングも悪い中、雲の間に、10秒に約1個の流星が観測でき、びっくりしました。(事前の予想では「肉眼」でシーイングが良い条件で1分に1個でしたので)
・オリオン座のオリオン大星雲ですが、台風がたて続けに通過し、時期的に無理か思っていた時、真夜中に外が異様に明るいので覗くと、ピーカンの星夜の光でオリオン座が天頂にかかっていました。あわてて双眼鏡を取り出し観測点に向かうと、オリオン座の「小三ツ星」の中央の大星雲が、文字通り羽根を広げたように見えます! 淡い細部までくっきりと。本当に倒れそうなほどの映像で、ずっと見ていました。
・プレアデス星団も、まるでタピオカジュースのように、ギッシリと「詰まって」見え、16個まで星を数えることができました。

●最後に

この手持ちの上限に近い双眼鏡の上級機をテストして強く感じたのは、重量の面からこれ以上に口径を大きくはできず、かといって、倍率だけを上げようとすると手ブレが邪魔になります。
「口径を大きく、手ブレも少なく、でも軽く」というのは無理なのでしょうか?
手ブレ防止機構は主要なメーカーによって何度か市販化されてきました。しかし、どうしても重量増(2割up)や価格帯(2~3倍)、またバッテリなど必須のかさばる携行品が必要になります。
古典的な製品としては「おもり」を用いた「安定器」(スタビライザー)もありますが、当然ながらかさばり、重い。
しかし、現在、周りを見渡すと「スマホの自撮り」の普及により、「スマホの手振れ防止」というニッチな市場が生まれ、軽く小さな(モーター駆動の)「ジンバル」製品が多く安価に出ています。
双眼鏡以外の分野では精細な4Kのムービーカメラ用の外付けのジンバルや、防振機構自体を超小型化し「内蔵」した(ドローン技術を応用した)ハンディな小さな一般向けの4Kムービーカメラまで進んでいます。
でありますから双眼鏡も、ニコンさんの手で技術的に全く新しい、文字通り「画期的な双眼鏡ver.2.0」を作っていただければと思います。

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