"自分、初心者なので・・・"
スポーツの現場で初めてお声がけする方からしばしば耳にするフレーズですが、謙遜は無用です。それはもちろん見てわかってます。誰もがスタートアップの頃は未熟で、失敗と気づきを繰り返しながら徐々に成長するわけで、あなたより早くこのスポーツに取り組み始めた我々は、自身の経験から、あなたが思うより早く・少しだけ速くする方法を知っています。ということで新年度1本目のコラムは、新入生のあなたに "正しく一人前のダートトラッカーを目指すための術" をお届けしましょう。

満を持して走り出したあなたは、実はもう"ビギナー"じゃない。

WELCOME RACE FANS!! ダートトラックライダー/FEVHOTSレースプロモーターのハヤシです。"新車は買った瞬間から中古車になる" などとよく言われますが、鉄スリッパをはじめとした様々な道具を揃えてマシンも用意し、緊張の中いざトラックINして走り出したあなたは、いわば1周目で新入生。2周目にはすでに "経験者" の仲間入りです。ご入学おめでとうございました。

とはいえあなたの走りが "駆け出しレベル" なのは誰の目にも明らかです。恥ずかしがる必要も、無駄にエエカッコする理由もありません。周囲に目をやる余裕などない?それでも努めて冷静に、他のライダーがどう走っているか、よく観察してください。きっと何かしらヒントが得られるはずです。

どうしていいかわからずあなたがオドオドしていたら、きっと誰かが気安く声をかけてくれることでしょう。単純な基本動作を軸に競うシンプルな種目だからこそ、ベーシックなスキルを知ること・習得に向けたチャレンジは大変重要ですし、そのために先達の言葉に耳を傾けるのも近道の一つです。

画像1: 撮影: 中尾省吾

撮影: 中尾省吾

あれ、センパイは何も声をかけてくれませんでした?もしかしたらその方もあなたと同じく新入生か、あるいは上級者のくせに恥ずかしがってるのかも。ライディングのみでお互い意思疎通が取れれば大したものですが・・・このシンプルなスポーツには最終的にはそういった深い洞察力とか精度の高い的確な操作が必要です・・・まずは何にせよコミュニケーションを取った方が良いでしょう。

転ぶかも?ですよね。誰でも最初はそれが心配です。まあ気にしながらビクビク走っても結局いつかは転ぶんですよ。後ろを走ってる我々は、本人以上に転ぶ直前の気配を察知できます。転んだあなたを避けられない位置取りでプレッシャーをかけるような真似をするセンパイは、いないはずです。

というわけでまずノビノビと走ってみてください。知るべきマナーや守るべきルール、新しい仲間となるあなたへの "身の危険を防ぐためのダメ出し" があれば、すぐにキッパリとお伝えしますから。

プロビー = PROBIE = probational: 見習い期間 っていつごろまでの予定?

"自分、初心者なので・・・" と一種の萎縮状態で走り出してしまうことは、あなた自身の "成長の実感" を希薄にさせます。トラックを走るライダーそれぞれのスキルレベル・速さはまちまちですが、"より速くよりスムーズに" という純粋な目的が共有できてさえいれば、そこには抜くものと抜かれるものがいるだけ。さほど危険なシーンは生まれないはずです。

ただし速さ以外の目的、見栄えとか特殊な操法とかを練習するライダーもいないとは限りません。明らかに "流れに乗れない" 走行ラインの異なるマシンを持ち込む方もいるかもしれません。他意なく言いますがそのような場面ではことさら注意が必要になります。トラブルやアクシデントの種を未然に嗅ぎ分ける "嗅覚" を養ってください。

画像2: 撮影: 中尾省吾

撮影: 中尾省吾

走り出したばかりのころ、1周で2度転ぶような不安定な段階では、レース?競争?なんて、あまりに恐ろしくて自分が参加することなど想像できないかもしれません。しかしレースとは、誰よりも速く走り、誰よりも先にゴールするという "だけ" 。普段の練習走行に比べても極めて限定的な状況です。その場に参加者として身を置くことは、明確な指針を手に入れる大きなチャンスでもあります。

場合によっては上位のライダーに周回遅れにされるかもしれませんね。彼らが高度なパフォーマンスであなたを抜き去るシーンは、上級者の本領を特等席で感じる、またとない機会ともなるでしょう。

走る場・環境・景色を自ら作り上げることのできる希有なスポーツです。

走者同士のライディング面でのコミュニケーション・・・信頼関係の構築なしに、特に他者との距離の近くなるショートトラックで激しいアクションを成立させるのは極めて困難な作業です。またレーストラックのコンディションも、実際に走るライダーの意思を反映して可能な限り高度に = より安全に維持する必要があります。走行料金さえ払えばいつでも好きなだけ楽しめて、苦情は係員に・・・というわけにはいきません。

画像3: 撮影: 中尾省吾

撮影: 中尾省吾

気楽に足を突っ込んでしまった方には残念なお知らせ?ですが、他のモータースポーツに比べ、本当に手間のかかるカテゴリーです。だからこそ、走る我々自身でシーンを土台から・周辺整備から作り上げることのできる、真に稀有なスポーツだとも言えるのですが。

3月31日予定だった筆者主宰のダートトラックレースシリーズFEVHOTSの開幕戦は、諸事情により来る4月14日 (日) 、埼玉県・オフロードヴィレッジでの開催に日程を変更して実施となります。今月はその他にも各地に足を運んで多くの方とお会いできそうなスケジュール。親愛なる読者の皆様にはまた金曜の "Flat Track Friday!!" で。あるいは各地のレーストラックでお目にかかりましょう!

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