1年に100本以上の映画を鑑賞する筆者の映画評。今回は2015年4月2日に106歳で永眠したマノエル・ド・オリヴェイラ監督が101歳のときに撮影した『アンジェリカの微笑み』。夭逝した美女アンジェリカの遺影の撮影を依頼されたユダヤ人の青年イザクの前に現れる、摩訶不思議な現象を描いた、非常に幻想的な作品。
死者との心の交わりをしてしまった青年の悲劇?
主人公のイザクは、たまたま撮影に応じた若くして亡くなった美女アンジェリカに魅入られ、次第に生気を失っていく。死者と魂を交わりを持てば行く末は誰もが想像する通り。
本作は一種のホラーとも言えるし、幻想的な愛の物語であるとも言える。
ただ、イザクが死してなお美しい娘に心を奪われるということはあるにしても、作中のアンジェリカは結婚もしているし(彼女の死を悼んでまともに歩けなくなるほど、彼女を愛していたと思われる夫がいるし)、初めて出会うユダヤ人青年を惑わせる理由があるとも思えない。そのあたりの背景や理由を、オリヴェイラ監督は何も説明してはいない。
正直なところ、僕にはこの映画の本当の良さがわかっていないかもしれない。かなり難解だし、古臭く感じてしまったのだが、そもそもあまりアーティスティックな映画やインディーズ的な作品に興味を持たない俗物であり、この映画の評価を下す資格がないと自分でも思う。
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