数あるグループBカーの中でも、もっともプライベーターに愛されたのが日産 240RSだと言えるだろう。欧州メーカーはホモロゲ用の200台を生産し、ラリーには事実上のワンオフ車で出たのに対して、日産はそのまま競技車として使えるように販売したからである。(ホリデーオート2017年12月号より)

ラリー好きのメーカーがラリーのためにリリース

画像: 1982年10月に世界限定200台で発売された240RSだが、日本では未発売。当時の販売価格は邦貨換算で600万円以上だった。

1982年10月に世界限定200台で発売された240RSだが、日本では未発売。当時の販売価格は邦貨換算で600万円以上だった。

かつて日産自動車が「ラリーの日産」と呼ばれていた時代、同社の歴代マシンは、サファリラリーに代表される長距離耐久ラリーを得意としていた。

そこで活躍したのが510ブルーバードSSS、フェアレディ240Z、PA10バイオレットなどで、抜群の耐久性で好成績を挙げ1970年代のラリーシーンを彩った。

画像: テールランプなどは、ベース車のシルビアと共通。現オーナーはマフラーを静粛性の高いものに交換している。

テールランプなどは、ベース車のシルビアと共通。現オーナーはマフラーを静粛性の高いものに交換している。

その後、80年代に入るとFIAの車両規定が市販車をベースとしたグループ4からグループBに変わる。その規定は、ざっくり言えば12カ月間に200台だけベースとなるホモロゲーションモデルを生産すればいいという内容だった。

画像: FJ24型4バルブDOHCはインジェクションではなく50PHHという大径のソレックス製ツインキャブを装着。

FJ24型4バルブDOHCはインジェクションではなく50PHHという大径のソレックス製ツインキャブを装着。

日産は、その規定に合わせて240RSを生産した。ベースとなったのはS110シルビアだが、張り出したオーバーフェンダーなど只者ではない雰囲気を醸し出している。エンジンは名機と呼ばれるFJ24で、市販のFJ20とは全くの別モノだ。

画像: いかにも1980年代のラリー車らしいメーターパネル。ナルディ製ステアリングはノンオリジナル。

いかにも1980年代のラリー車らしいメーターパネル。ナルディ製ステアリングはノンオリジナル。

ちなみに他メーカーはワークスカーを走らせるためにとりあえず市販用の200台を作る姿勢だったのだが、日産はホモロゲーション用の200台も安全装備を装着すればラリーに出られる競技車としてリリースした。

画像: ステアリングの正面には、比較的小ぶりなタコメーターとスピードメーターがシンプルに並ぶ。

ステアリングの正面には、比較的小ぶりなタコメーターとスピードメーターがシンプルに並ぶ。

それは量産車メーカーである日産の良心であったろうし、そのおかげで240RSがプライベーターに愛されるグループBカーになったと言える。

画像: インパネ右には水温や油圧などのサブメーターとライト類のスイッチが並ぶ。

インパネ右には水温や油圧などのサブメーターとライト類のスイッチが並ぶ。

ここで紹介する240RSも、そんな中の1台だ。ラリーにこそ出場していないが、ロールケージなどの安全装備を入れればクラシックカーラリーなどに出られる状態で、まだまだ現役だ。

画像: 熱対策のためにボンネットには多くのルーバーが切られている。

熱対策のためにボンネットには多くのルーバーが切られている。

イグニッションキーをひねると、11:1という当時としては高圧縮比のFJ24ユニットのためかクランキングは重い。だがエンジンがかかってしまえば、きわめて機嫌良くアイドリングする。

画像: トランクリッド後端のリアスポイラーも標準装備。

トランクリッド後端のリアスポイラーも標準装備。

新車時のスペックは最高出力240ps/最大トルク24.0kgmで、現在でもほぼカタログ値の出力を発生しているという。トランスミッションは、オリジナルで装着されているのはクロスレシオの5速MT。ファクトリー仕様ではシンクロレスのドグクラッチミッションが採用された。

画像: 撮影車は、ワークの市販品アルミホイールに225/50R15タイヤを装着。

撮影車は、ワークの市販品アルミホイールに225/50R15タイヤを装着。

サスペンション形式は、フロントはストラット、リアが4リンクリジッドとなる。ここはサファリラリーで無敵を誇ったPA10バイオレットの頑丈な足を引き継いだ。ただし、そこはグループB。サスペンションの可動部に使われるゴムブッシュはピロボールに置き換えられて、より正確な動きを可能としている。

画像: ボンネット前端にはシルビアのエンブレムが装着されていた。これも標準装備だった。

ボンネット前端にはシルビアのエンブレムが装着されていた。これも標準装備だった。

240RSが不運だったのは、時代がミッドシップ4WDを求めていたことだろう。WRCでは、1983年のニュージーランドラリーでの2位が最高位で、得意のサファリでの優勝も叶わなかった。ただ、国産グループBとして今でも根強い人気を誇っているクルマであることは事実だ。(文:ホリデーオート編集部/写真:森 浩輔)

画像: ハンドリングは今でもシャープなものと現オーナーは語る。

ハンドリングは今でもシャープなものと現オーナーは語る。

日産 240RS(ホモロゲーションモデル) 主要諸元

●全長×全幅×全高:4330×1800×1310mm
●ホイールベース:2400mm
●重量:970kg
●エンジン型式・種類:FJ24型・直4 DOHC
●排気量:2340cc
●最高出力:240ps/7400rpm
●最大トルク:24.0kgm/6000rpm
●トランスミッション:5速MT
●タイヤサイズ:215/60HR14

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