年間100本以上の映画を鑑賞する筆者が独自の視点で、お届けする100分の1の映画評。
今回は感動のヒューマン・ドラマ『ワンダー 君は太陽』。

人とは違う、生まれ持った異形の容姿に苦しむ少年を取り巻く多くの愛の物語

遺伝子系の疾患のため、顔にひどい後遺症を残す少年オギー。27回もの手術を経たものの、その顔は"普通"とは違う・・。顔以外はいたって普通の子供、それどころか人一倍賢い子なのに、外出すれば怪物を見たかのような視線を浴び、顔を背けられてしまう。両親の愛と、優しい姉の庇護のもと健やかに育った彼だったが、自分の”醜さ”を自覚することで常に傷ついている。

だから10歳になるまで、母親を教師に、自宅学習をしてきたオギーだったが、5年生の新学期、新入生として、普通の子供たちが通う学校に入ることになった。果たして子供特有の残酷さの洗礼を浴びるオギーだったが、徐々に家族以外の理解者を得ていく。

主人公の少年オギーを演じたのは、衝撃的な設定と感動的なストーリーで世界が涙した名作『ルーム』で、物心着くまで母親と共に狭い部屋に監禁されていた少年ジャック役でデビューしたジェイコブ・トレンブレイ。ちなみにジャックの母親を演じたのは2019年3月15日に日本でも公開されるマーベルの新作『キャプテン・マーベル』でスーパーヒーローを演じるブリー・ラーソンだ。

目に見える痛みだけではなく、人の目に見えない痛みを抱えて皆生きていく。誰にでも分かりやすい悲しみを背負いながらも強く生きる少年の姿に力を得ていく。

実は僕は子供が辛い境遇の中で健気に生きていく話に弱い。本作では家の中では常に100%の愛情を注がれながらも、一歩家の外に出れば好奇の視線に耐えながら生きていかなければならない不遇の少年の話だ。始まってものの数分で涙腺は崩壊してしまう。

本作で障害を負っているのはオギーだけだが、一見何の問題もないように見える子供たち、いやその周りの大人たちも、生きていくうちでなにかしらの痛みを抱えている。映画を観ている我々とて、人に言えない辛さを抱えているものである。

分かりやすいハンディを抱えてなおかつ明るさを忘れずに生きるオギーを応援しながらも、彼の明るさに皆が救われていく。障害を背負って生きる少年の悲劇と、彼を取り巻く人々の厚意を描くようでいて、実はオギーの強さに我々自身が支えられていることを悟らされ勇気づけられる、本作はそんな映画である。

画像: 映画『ワンダー 君は太陽』本予告60秒 6.15(金)公開 youtu.be

映画『ワンダー 君は太陽』本予告60秒 6.15(金)公開

youtu.be
コメントを読む・書く

This article is a sponsored article by
''.