いやいや、とんでもないレースを見せつけられました! ワールドスーパーバイク開幕戦・オーストラリア大会レース1。事前テストから追いかけてきて、今週の直前テストを経ての金曜、土曜のフリー走行、スーパーポール、そしてレース1という流れの中で、まさかこんなに……ってほどのパニガーレV4R+アルバロ・バウティスタの強さを見せつけられたのです。
すでにRacingAUTOBYのFacebookでお知らせしたように(あっちも見てね♪)決勝レース1直前のスーパーポールでは、ジョナサン・レイ(カワサキ)がトップタイムをマークしました。
事前テストでは、バウティスタとパニガーレV4Rの驚速っぷりにやや力負けしていた感のあるレイでしたが、さすがに本番は強い! これは決勝も、いかにバウティスタとはいえ、そうそう上手くは行かないんじゃないか……と思った矢先の、土曜開催のレース1でした。

画像: 独走!圧倒!ブッチギリ!バウティスタ、完璧なWSBKデビューでした!

独走!圧倒!ブッチギリ!バウティスタ、完璧なWSBKデビューでした!

決勝レースでは、フロントロー3番手グリッドからスタートしたバウティスタですが、レイと折り重なるように1コーナーに進入、早くも4コーナーではレイのインを刺してトップに浮上します。3番手以下にレオン・ハスラム(カワサキ)、アレックス・ロウズ(ヤマハ)、トム・サイクス(BMW)が続き、ここまでは事前テストで上位に来た面々がペースを上げてきて、まずまずは予想していた通りの展開となりました。
しかし、どうもトップ争いの様子がおかしい。バウティスタが逃げる、レイが逃がさない……って展開のはずが、バウティスタが逃げる逃げる! レイとハスラムがかろうじて食らいついて、2周目にして早くも、4番手以下が離れていきます。2周目にはハスラムがレイをかわして2番手、すぐにレイが抜き返して……って、ダメだよこんなところで2番手争いしちゃ、バウティスタが逃げちゃう! と思ったら、まさにその通りなっていくんです。

バウティスタと2番手以下の差は、1周目に0秒4、2周目に1秒2、3周目に2秒5とみるみる広がって、8周目にはもう5秒の大差がついてしまうんです。
はは~ん、バウティスタは序盤から逃げて、それをタイヤ温存したレイが仕留めにかかるか、と思っていたらさにあらず。逃げるバウティスタはペースを落とすこともなく、トップ6のラップペースは以下のとおり。とうとう13周目にはバウティスタと2番手以下の差は10秒にも!

画像: <WSBK> 衝撃の開幕! 衝撃デビュー!
~バウティスタ圧勝! パニガーレ独走!

結局バウティスタはそのままペースを緩めることなく、2位レイに14秒983の差をつけてWSBKデビューウィン! フィニッシュラインを前に、ピットレーンに出たチームメイトにガッツポーズするためにスピードを落としましたから、実際は15秒以上の差をつけての優勝。近年、ここまで圧倒的な差がついたレース、ちょっと記憶にないなー……。

画像: リアタイヤの消耗が激しかった、というレイは「ハーフスロットル」なレースだった

リアタイヤの消耗が激しかった、というレイは「ハーフスロットル」なレースだった

2位には、さすがのペースをキープした4年連続チャンピオン、レイ。この人の場合、おそらくバウティスタに逃げられた、と判断したら、無理にペースを上げずにキッチリと2位狙いに切り替える能力がありますから、この2位は満足でしょう。もちろん、逃げられた悔しさ、こんなはずじゃなかった、って気持ちはあるでしょうが、感情に流されない軸のぶれなさが、レイの強さの秘密なのです。

画像: トップチームのロウズ、ファンデルマークに先着したメランドリ。さすがのシブとい走り

トップチームのロウズ、ファンデルマークに先着したメランドリ。さすがのシブとい走り

3位争いは、ロウズ、マイケル・ファン・デル・マーク、マルコ・メランドリというYZF-R1軍団の激しいバトルで、周回ごとに、コーナーごとにポジションを入れ替えながらメランドリ→ロウズ→ファンデルマークの順でフィニッシュ。ラスト5周くらいまではレイを加えての2番手争いでしたが、最後にレイが少しだけリードを広げましたね。これがレイの強さだし、最後の最後に、ヤマハトップチームのロウズを差し切った、ヤマハサテライトチームのメランドリの底力も見たような気がしました。

6位には、中盤あたりまでトップグループ(とはいえ、バウが逃げちゃったから2番手争いなんですが)に食らいついていたトプラク・ラガトリグ(カワサキ)が入りました。トプラク、やっぱりやりよる! 今シーズン、早いうちに表彰台に上がってくるんじゃないでしょうか。
注目のハスラムは、2番手争いでレイをかわしていた13周目にスリップダウン、再スタートして15位フィニッシュ。金曜に5番手に食い込んできたレオン・キャミア(ホンダ)は9周目に転倒、リタイヤしてしまいました。日本人唯一のWSBKライダー清成龍一は、まだWSBKマシンにてこずっています、屈辱のポイント圏外16位フィニッシュです。

バウティスタのWSBKデビューウィンは、数々の新記録を打ち立てました。ドゥカティでフィリップアイランドサーキットのファステストラップを記録したスペイン人ルーキーは2001年のルーベン・ザウス以来で、WSBKに優勝したスペイン人としては、2015年にカタールで勝ったジョルディ・トーレス以来、なによりWSBKのデビューウィンは2007年のマックス・ビアッジ以来だって!

画像: 初戦で結果を出してホッとしたでしょう、バウティスタ 2009年のGP250(!)以来の優勝です

初戦で結果を出してホッとしたでしょう、バウティスタ 2009年のGP250(!)以来の優勝です

「WSBKでこんなスタートが切れて本当にうれしい! スーパーポールではトップになれなかったけれど、あれはまだスーパーポール用のタイヤを上手く使えなかったからで、レースには自信があったんだ。レースでは、スタートから自分のリズムをつかむことができて、2番手以降を周回ごとに引き離すことができた。だから、あとはタイヤをセーブしながら、レース後半に備えていたんだ。本当にうれしい! ウィンターテストで、ドゥカティとチームが信じられないほどよく仕事してくれたおかげだよ」(アルバロ・バウティスタ)

「キツいレースだった。バウティスタは本当にすごかったね、おめでとうを言わなきゃ。リアタイヤに少し問題があって、まずはレースを走り切ることを目標にしていたんだ。なかなか全開では走れなくてハーフガス状態だったから、あんまりいいレースだとは言い難かったかもね。それでも2位に入れたし、スーパーポールも獲ったのはよかったね。今日は2位が」精いっぱいだったよ」(ジョナサン・レイ)

「スタートからしばらくは新品タイヤが上手く機能しなくて苦しかったけど、何周後からはうまく走り始めたんだ。ヤマハとチームがいいバイクを作ってくれたおかげで、ラクに自分のリズムで走れたよ。ロウズが見えてからはプッシュし始めて、最終ラップでは何度も抜きあったよね。ロウズも諦めなかったけど、僕もすごく表彰台に上がりたかったからね!」(マルコ・メランドリ)

まさに衝撃の開幕戦でした! けれど1戦3レースあるWSBKは、もう明日の午前中にレース2があって、午後にレース3が控えています。レース2は「スーパーポールレース」という名の超スプリントレースで、9位までがポイントを獲得。レース3はまた通常の周回数を走ります。特にこのスーパーポールレースは、特にタイヤ消耗が激しいフィリップアイランドでカギになりそうですね。タイヤがしんどくてそーっと走った、とコメントしているレイが、今日のうっぷん晴らしにガツンと走る可能性もあるんです。いやぁ日曜も楽しみ!

画像: 終盤ペースをキープできず、転倒埼スタートのハスラムにもかわされてしまった清成

終盤ペースをキープできず、転倒埼スタートのハスラムにもかわされてしまった清成

ちなみに今次シーズンから復帰したホンダWSBKチームの近況も、随時お知らせしていきます。
開幕戦レース1は、キャミアが転倒リタイヤ、清成が16位フィニッシュ。これは、事前テスト不足がモロに響いている感じですね。
「今日はポイント圏内を目標にレースしていました。ひとまず完走できたのは良かったけど、もちろんこんな順位じゃだめだよね。ひとまず1レース走った経験ができて、データを取ることができて、明日のレースに役立てられる、ってこと。今日のレースを終わって、タイヤマネジメントの仕方も理解できました。なにしろ、レース終盤はタイヤがまったく消耗してしまっていてポジションをキープできませんでしたからね」(清成龍一)
「なにも特別なことはしていなかったのに、どうして転んだか、正直わかっていないんだ。バイクは予想以上にいいフィーリングで、まわりの集団と同じようなペースで走れていたから、本当に残念だった。デイビスをかわして、メランドリとファンデルマークを捕えようとしていて、そうペースを上げすぎじゃなかったのにね。10番手スタートはちょっと厳しかったけど、メランドリたちの集団では一緒に走れたからね。タイヤのミスチョイスだったかはわからないけど、そんなに悪かったわけじゃない。とにかく日曜に、また頑張ります!」(レオン・キャミア)

以上、開幕戦レース1だから、たっぷりお送りしました!

■■■■■■■開幕戦 オーストラリア大会 レース1結果■■■■■■■
1 アルバロ・バウティスタ     ドゥカティ 33分38秒901
2 ジョナサン・レイ        カワサキ  +14.983s
3 マルコ・メランドリ       ヤマハ   +16.934s
4 アレックス・ロウズ       ヤマハ   +16.984s
5 マイケル・ファン・デル・マーク  ヤマハ   +19.179s
6 トプラク・ラガトリグ      カワサキ  +21.203s
7 トム・サイクス         BMW    +21.488s
8 サンドロ・コルセテ       ヤマハ   +23.018s
9 マイケル・ルーベン・リナルディ  ドゥカティ  +25.580s
10 チャズ・デイビス        ドゥカティ  +27.124s

写真/Honda YAMAHA Worldsbk.com 文責/中村浩史

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