世界最速の電動レーサーは驚くほど扱いやすかった

試乗会の朝、「いいか、オレのバイクだ。壊すなよ」と笑いながら、マン島TTの優勝ライダー、J・マクギネスが「神電 四」の横に立っていた。…かなりごつい体格で、ボクよりずっと重そう。神電は、こんな重いライダーを乗っけて、マン島を600㏄クラスのレーサーより速く周回したことになる。

神電 四は電動レーサークラス「TT ZERO」の15年度優勝マシン。僅差で2位になった「貮」(2代目)以降、神電は1、2位を常に独占している電動レーサーだ。
電動レーサーの問題は、大量のバッテリーを積んで非常に重くなること。モーターの出力を支えるのがバッテリーで、この容量、つまり蓄電量で速さも決まる。だから簡単には減らせない。さらにモーターや電気制御系の発熱対策で、ヒートシンクやラジエターなどの重量もかさむ。とにかく重いのだ。

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神電の車重は現在250㎏で最高出力は昨年の「參」から10kWアップの110kW。12年度出走の初代が270㎏で90kWだったことを考えると、その技術の進歩は驚異的だ。あらゆる軽量化とパワーアップを同時に行い、かつ、車格も少しずつ小柄になってきた。

この「四」は、車体の基本ディメンション、フレームレイアウトは「參」と同じ。違うのはサスがエアサスに変わったことと、空力特性を改善したカウル類、性能アップしたバッテリー、モーター、小型軽量、冷却性能を向上させた制御インバーターなど。

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いざ走り出すと、拍子抜けするほど扱いやすい。我々用に、いくらかマイルドなピックアップ設定なのか、まるで無神経にスロットルを操作できる。付いていないはずのトラクションコントロールが介入しているかのように、スライドさせずにフルバンク状態で柔軟にトルクを引き出せる。ピークパワーは直4の600SSより強力な150馬力弱、低速からの強力なトルクはリッターバイク以上。そう考えると非常に扱いやすい。

軽くなったとはいえ、車重は250㎏。ハンドリングはいくらかゴロリとした感触だ。ただ、この「四」は、これまで乗ったどの神電より軽い手応えで素直にリーンする。ちなみに、写真の1号車は、マクギネス選手との乗り方、体重の違いによるものか、減速しつつコーナーに入ると、フロントフォークにチャタリング(フォークの上下振動)が出た。

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もっと開け気味でアプローチしたり、前輪に荷重を乗せないようにすると振動は減る。リアサスをもっと動かせばいいのかな? と考えつつ、マン島2位・アンスティ選手の5号車にも乗ったが、そんな振動は出ない。やはり、体格や乗り方の違いだろう。

操作はまるでビッグスクーターのようだが、飛ばせば265㎞/hまで出て、ヒジが擦れるくらいフルバンクできる。運動性能はミドルスポーツネイキッドの手応え、ミドルSSの旋回性といった感じ。これが今、最速の電動レーサーだ。

SPECIFICATION
全長×全幅×全高 2125×680×1130㎜
ホイールベース 1485㎜
シート高 790㎜
車両重量 250㎏
モーター形式 油冷式三相ブラシレスモーター
バッテリー仕様 日立マクセル製リチウムイオン
最高出力 149.6PS
最大トルク 22.4㎏-m
バッテリー出力電圧 370V以上
ブレーキ形式 前・後 ダブルディスク・ディスク
タイヤサイズ 前・後 120/70ZR17・200/55ZR17

PHOTO:赤松 孝

公式サイト

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