レーシーで扱いやすさも増した「全方位的スープアップ」

スーパースポーツからカウルを剥ぎ取り、ネイキッド化したモデルは少なくないが、ドゥカティのストリートファイターが姿を消した今、エンジンはスーパースポーツベースでも、車体を専用設計し、ストリートスポーツとしたものがほとんどと言っていい。

アプリリアのトゥオーノは、そんな中、スーパースポーツ・RSV4との共通点を多く残していて、RSV4を一般走行に適合させたような性格をしている。当然、サーキット性能には光るものがある。

そのトゥオーノが生まれ変わった。トゥオーノV4RからV4・1100RRとなったネーミングが物語るように、排気量アップされ、レーシー度を一層高めている。

ベースとなる新型のRSV4は、エンジンが共通部品がないほどに刷新され201PSを発揮。車体もスイングアームを14㎜延ばすなど変更点は多く、サーキット性能が高められている。トゥオーノ1100はそのRSV4への変更点を踏襲した上で、ボアを3㎜アップ、最高出力は従来型から8PSアップの175PSだ。

とは言っても、より先鋭化されたわけではない。高性能になっても、新型トゥオーノは扱いやすくもなっているのだ。

従来型は足着き性が良くなく、またがったときのサスの沈み込みも少なかったが、新型は車高がフロントで20㎜、リアは10㎜低く、シート高は15㎜も落とされている。当然ながら、足着き性は良く、車体を足で支えていて安定感がある。ストリートファイター然としたハンドル幅もいくらか狭まって、違和感がない。もう、これだけでホッとさせられる。

走り出しても、その印象は損なわれない。サスは公道走行に合ったしなやかさだし、エンジンもこれまでより唐突さがない。中回転域が豊かになり、公道で高回転域まで回す必要がなくなったことも、こうした扱いやすさに貢献してくれている。

新型RSV4譲りの、レーシングエンジンのようなフィーリングも心地良い。スロットルオンで、不等間隔パルスを伴うトルクが湧き出てきて、その特性は実にフラット。日常域でもV4らしさを満喫できる。粘りも良く、トップギアでも40㎞/hで走れる。ハンドリングも素直だ。ヘッドライトが1・5㎏も軽くなり、スイングアームも長くなって、軽快かつ安定性も高まっている。

今回試乗したイタリアのワインディングは、日本では考えられないほど路面状況が劣悪でスリッピーな上、わだちによるうねりが逆バンク状態になって滑り出す始末。そんな状況で、ABSのおかげで冷や汗をかかずに済んだ場面が多く、またトラコンがスライドを瞬時に止めてくれた。RSV4譲りの電子制御は、実にいい仕事をしてくれた。そのおかげで何とかやり過ごすことができたという気がしないでもないが、トゥオーノの「全方位的高水準化」が功を奏していたことも事実だろう。

SPECIFICATION
全長×全幅×全高 NA
ホイールベース NA㎜
シート高 825㎜
車両重量 184㎏
エンジン形式 水冷4ストDOHC4バルブV型2気筒
総排気量 1077㏄
ボア×ストローク 81×52.3㎜
圧縮比 NA
最高出力 175HP/11000rpm
最大トルク 12.3㎏-m/9000rpm
燃料供給方式 FI
燃料タンク容量 18.5ℓ
キャスター角/トレール 24.7度/99.7㎜
変速機形式 6速リターン
ブレーキ形式 前・後 φ320㎜ダブルディスク・φ220㎜ディスク
タイヤサイズ 前・後 120/70ZR17・190/55ZR17

REPORT:和歌山 利宏

公式サイト

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